悪女と言われた令嬢は隣国の王妃の座をお金で買う!

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夜会の後から

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あの夜会の後からシオンは大変忙しくなった。

各貴族達からのお茶会やパーティーの誘いの手紙がたくさん届いたのだ。
中にはお母様はいつまで帝国に滞在するかなど、お母様と一緒に参加して欲しい手紙も多かった。

ちなみに、我がオリオン辺境伯の領地から帝都までは、馬車で5日ほど掛かる。帝国は、帝都を中心に東西南北に大きな街道が通っており、道は整備されている。往復で10日と考えると滞在期間は限られてくるのだが………

「あれ?お母様はいつまでいらっしゃるのかしら???」

思い立ったら吉日と言うことで、お母様に尋ねました。

「えっ?いつまで滞在するかですって?取り敢えず1ヶ月間の長期休暇と言う名目できたから約20日ぐらいかしら?」

おふぅ!

意外と長く滞在されるようだ。
私はいつになったら西部に旅立てるのだろうか?

「それよりシオン、夜会やパーティーの手紙は私に回しなさい。代筆しておくから」

「えっ?よろしいのですか?」
「ここにいる限り、出来るだけ参加して、顔と名前を売っておくのよ」

な、なんですと!?

「それは、私も強制参加ですよね?」
「当然でしょう?あなたが主役なのだから」

デスよねーーーー!!!!!

正直、今は色々とやることが多くてお茶会とかどうでもいいのだけれど。

「シオン。貴女が余りパーティーなど好きではないのは知っています。でも、私がいる間に少しでも味方を作っておきたいのよ」

「お、お母様…………」

そっか。私の為に忙しい中、無理して来てくれたんだよね。感謝しなきゃね。
シオンはマリアに抱きついて甘えた。

「お母様、大好き♪」
「あらあら♪いつまで経っても甘えん坊さんね~~」

少しの間だが親子の時間を楽しんだ。

「ううぅ~~シオンお嬢様、なんて可愛らしいのでしょう」
「親子の絆は尊い!」

ドアの隙間からメイド達が空気を読んで、生暖かく見守るのでした。











「さて、砂糖の生産は順調のようね」

気を取り直して、仕事モード発動です!
カードをドローして、お母様カードを引いたので体力、気力とも全回復しました。
一回休みでしたが。

そして、次のカードはバフが掛かり、攻撃力が上がるのです!
カードオープン!
トラップカード発動!
仕事モードの発動なのです!

「お嬢様、カードゲームに例えられても、素人ではわかりません。普通でお願いします」

ショボーーーン
はい。わかりましたよ~~

「コホンッ、それで想定以上の砂糖が生産できているようね?」

「はい!お嬢様の見つけたサトウキビ………帝国では名も無い雑草と思われていましたが、お嬢様の予想以上に砂糖が精製できているようです」

なるほど。
植物は似ているけど、微妙に違っているからね。これは嬉しい誤算だったわ。

「それと、砂糖の精製の時に出る、廃糖蜜や絞り汁を原料にした【ラム酒】を製造中です。これには数年掛かりになるかと思いますが、酒職人にお願いして仕込んで貰っています。しかし、【蒸留酒】と言う技術をよくご存知でしたね。酒の量が減るから、今まで酒職人はやったことが無かったと言っていましたが?」

「酒好きでは有名なのよ。アルコール度数が高くなってね。海外の国では大量生産が始まっているわ。うちが遅れているのよ。サトウキビで作った酒はほんのり甘く、芳醇な香りがするはずよ。これはしばらくはプレミア価格で高値で売るわ」

「流石は発明女王と呼ばれたお嬢様です。私も出来上がるのが楽しみですね」

執事の言葉に頷くと次の議題に入った。

「他に変わった事はなかった?」
「しいて言うならば、何も無かったことでしょうか?」

うん?
どういうことやねん???

「ここ最近、暗殺者が送られてこなくなりました」
「え゛!?まだ来てたの!?」

執事は頭を下げた。

「シオンお嬢様にいらない心配を掛けないよう情報を止めておりました。申し訳ございません」
「それより怪我人とか居なかったの?」

「はい。怪我を負った者などいません。恐らくシオンお嬢様が先日の夜会で帝国の貴族に認められ、受け入れられたので、お嬢様を殺すより、味方に引き入れた方が良いと判断したのかも知れません。お嬢様の成そうとしている事は帝国全体の利益を底上げするものですから」

まだ、そんなにたいした事はしてないけどね~~

「ただ前に【捕まえた者】も含めて、雇い主が誰かは判明しておりません。仲介屋を通しているようでして、なかなか難航しております」

セバスは頭を下げて続けた。

「少なくとも、奥さまがいらっしゃる間はこの王妃宮に居て下さいね。護衛対象が分かれると、警護するのが大変ですので」

「わかっているわよ。私よりもお母様の警備を厳重にしてね?」

「はい。心得ております」

そうシオンが指示したが、数日後に大変な事が起きる事を、まだシオンは知らなかった。



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