67 / 106
夜会の後から
しおりを挟む
あの夜会の後からシオンは大変忙しくなった。
各貴族達からのお茶会やパーティーの誘いの手紙がたくさん届いたのだ。
中にはお母様はいつまで帝国に滞在するかなど、お母様と一緒に参加して欲しい手紙も多かった。
ちなみに、我がオリオン辺境伯の領地から帝都までは、馬車で5日ほど掛かる。帝国は、帝都を中心に東西南北に大きな街道が通っており、道は整備されている。往復で10日と考えると滞在期間は限られてくるのだが………
「あれ?お母様はいつまでいらっしゃるのかしら???」
思い立ったら吉日と言うことで、お母様に尋ねました。
「えっ?いつまで滞在するかですって?取り敢えず1ヶ月間の長期休暇と言う名目できたから約20日ぐらいかしら?」
おふぅ!
意外と長く滞在されるようだ。
私はいつになったら西部に旅立てるのだろうか?
「それよりシオン、夜会やパーティーの手紙は私に回しなさい。代筆しておくから」
「えっ?よろしいのですか?」
「ここにいる限り、出来るだけ参加して、顔と名前を売っておくのよ」
な、なんですと!?
「それは、私も強制参加ですよね?」
「当然でしょう?あなたが主役なのだから」
デスよねーーーー!!!!!
正直、今は色々とやることが多くてお茶会とかどうでもいいのだけれど。
「シオン。貴女が余りパーティーなど好きではないのは知っています。でも、私がいる間に少しでも味方を作っておきたいのよ」
「お、お母様…………」
そっか。私の為に忙しい中、無理して来てくれたんだよね。感謝しなきゃね。
シオンはマリアに抱きついて甘えた。
「お母様、大好き♪」
「あらあら♪いつまで経っても甘えん坊さんね~~」
少しの間だが親子の時間を楽しんだ。
「ううぅ~~シオンお嬢様、なんて可愛らしいのでしょう」
「親子の絆は尊い!」
ドアの隙間からメイド達が空気を読んで、生暖かく見守るのでした。
・
・
・
・
・
・
・
・
・
「さて、砂糖の生産は順調のようね」
気を取り直して、仕事モード発動です!
カードをドローして、お母様カードを引いたので体力、気力とも全回復しました。
一回休みでしたが。
そして、次のカードはバフが掛かり、攻撃力が上がるのです!
カードオープン!
トラップカード発動!
仕事モードの発動なのです!
「お嬢様、カードゲームに例えられても、素人ではわかりません。普通でお願いします」
ショボーーーン
はい。わかりましたよ~~
「コホンッ、それで想定以上の砂糖が生産できているようね?」
「はい!お嬢様の見つけたサトウキビ………帝国では名も無い雑草と思われていましたが、お嬢様の予想以上に砂糖が精製できているようです」
なるほど。
植物は似ているけど、微妙に違っているからね。これは嬉しい誤算だったわ。
「それと、砂糖の精製の時に出る、廃糖蜜や絞り汁を原料にした【ラム酒】を製造中です。これには数年掛かりになるかと思いますが、酒職人にお願いして仕込んで貰っています。しかし、【蒸留酒】と言う技術をよくご存知でしたね。酒の量が減るから、今まで酒職人はやったことが無かったと言っていましたが?」
「酒好きでは有名なのよ。アルコール度数が高くなってね。海外の国では大量生産が始まっているわ。うちが遅れているのよ。サトウキビで作った酒はほんのり甘く、芳醇な香りがするはずよ。これはしばらくはプレミア価格で高値で売るわ」
「流石は発明女王と呼ばれたお嬢様です。私も出来上がるのが楽しみですね」
執事の言葉に頷くと次の議題に入った。
「他に変わった事はなかった?」
「しいて言うならば、何も無かったことでしょうか?」
うん?
どういうことやねん???
「ここ最近、暗殺者が送られてこなくなりました」
「え゛!?まだ来てたの!?」
執事は頭を下げた。
「シオンお嬢様にいらない心配を掛けないよう情報を止めておりました。申し訳ございません」
「それより怪我人とか居なかったの?」
「はい。怪我を負った者などいません。恐らくシオンお嬢様が先日の夜会で帝国の貴族に認められ、受け入れられたので、お嬢様を殺すより、味方に引き入れた方が良いと判断したのかも知れません。お嬢様の成そうとしている事は帝国全体の利益を底上げするものですから」
まだ、そんなにたいした事はしてないけどね~~
「ただ前に【捕まえた者】も含めて、雇い主が誰かは判明しておりません。仲介屋を通しているようでして、なかなか難航しております」
セバスは頭を下げて続けた。
「少なくとも、奥さまがいらっしゃる間はこの王妃宮に居て下さいね。護衛対象が分かれると、警護するのが大変ですので」
「わかっているわよ。私よりもお母様の警備を厳重にしてね?」
「はい。心得ております」
そうシオンが指示したが、数日後に大変な事が起きる事を、まだシオンは知らなかった。
各貴族達からのお茶会やパーティーの誘いの手紙がたくさん届いたのだ。
中にはお母様はいつまで帝国に滞在するかなど、お母様と一緒に参加して欲しい手紙も多かった。
ちなみに、我がオリオン辺境伯の領地から帝都までは、馬車で5日ほど掛かる。帝国は、帝都を中心に東西南北に大きな街道が通っており、道は整備されている。往復で10日と考えると滞在期間は限られてくるのだが………
「あれ?お母様はいつまでいらっしゃるのかしら???」
思い立ったら吉日と言うことで、お母様に尋ねました。
「えっ?いつまで滞在するかですって?取り敢えず1ヶ月間の長期休暇と言う名目できたから約20日ぐらいかしら?」
おふぅ!
意外と長く滞在されるようだ。
私はいつになったら西部に旅立てるのだろうか?
「それよりシオン、夜会やパーティーの手紙は私に回しなさい。代筆しておくから」
「えっ?よろしいのですか?」
「ここにいる限り、出来るだけ参加して、顔と名前を売っておくのよ」
な、なんですと!?
「それは、私も強制参加ですよね?」
「当然でしょう?あなたが主役なのだから」
デスよねーーーー!!!!!
正直、今は色々とやることが多くてお茶会とかどうでもいいのだけれど。
「シオン。貴女が余りパーティーなど好きではないのは知っています。でも、私がいる間に少しでも味方を作っておきたいのよ」
「お、お母様…………」
そっか。私の為に忙しい中、無理して来てくれたんだよね。感謝しなきゃね。
シオンはマリアに抱きついて甘えた。
「お母様、大好き♪」
「あらあら♪いつまで経っても甘えん坊さんね~~」
少しの間だが親子の時間を楽しんだ。
「ううぅ~~シオンお嬢様、なんて可愛らしいのでしょう」
「親子の絆は尊い!」
ドアの隙間からメイド達が空気を読んで、生暖かく見守るのでした。
・
・
・
・
・
・
・
・
・
「さて、砂糖の生産は順調のようね」
気を取り直して、仕事モード発動です!
カードをドローして、お母様カードを引いたので体力、気力とも全回復しました。
一回休みでしたが。
そして、次のカードはバフが掛かり、攻撃力が上がるのです!
カードオープン!
トラップカード発動!
仕事モードの発動なのです!
「お嬢様、カードゲームに例えられても、素人ではわかりません。普通でお願いします」
ショボーーーン
はい。わかりましたよ~~
「コホンッ、それで想定以上の砂糖が生産できているようね?」
「はい!お嬢様の見つけたサトウキビ………帝国では名も無い雑草と思われていましたが、お嬢様の予想以上に砂糖が精製できているようです」
なるほど。
植物は似ているけど、微妙に違っているからね。これは嬉しい誤算だったわ。
「それと、砂糖の精製の時に出る、廃糖蜜や絞り汁を原料にした【ラム酒】を製造中です。これには数年掛かりになるかと思いますが、酒職人にお願いして仕込んで貰っています。しかし、【蒸留酒】と言う技術をよくご存知でしたね。酒の量が減るから、今まで酒職人はやったことが無かったと言っていましたが?」
「酒好きでは有名なのよ。アルコール度数が高くなってね。海外の国では大量生産が始まっているわ。うちが遅れているのよ。サトウキビで作った酒はほんのり甘く、芳醇な香りがするはずよ。これはしばらくはプレミア価格で高値で売るわ」
「流石は発明女王と呼ばれたお嬢様です。私も出来上がるのが楽しみですね」
執事の言葉に頷くと次の議題に入った。
「他に変わった事はなかった?」
「しいて言うならば、何も無かったことでしょうか?」
うん?
どういうことやねん???
「ここ最近、暗殺者が送られてこなくなりました」
「え゛!?まだ来てたの!?」
執事は頭を下げた。
「シオンお嬢様にいらない心配を掛けないよう情報を止めておりました。申し訳ございません」
「それより怪我人とか居なかったの?」
「はい。怪我を負った者などいません。恐らくシオンお嬢様が先日の夜会で帝国の貴族に認められ、受け入れられたので、お嬢様を殺すより、味方に引き入れた方が良いと判断したのかも知れません。お嬢様の成そうとしている事は帝国全体の利益を底上げするものですから」
まだ、そんなにたいした事はしてないけどね~~
「ただ前に【捕まえた者】も含めて、雇い主が誰かは判明しておりません。仲介屋を通しているようでして、なかなか難航しております」
セバスは頭を下げて続けた。
「少なくとも、奥さまがいらっしゃる間はこの王妃宮に居て下さいね。護衛対象が分かれると、警護するのが大変ですので」
「わかっているわよ。私よりもお母様の警備を厳重にしてね?」
「はい。心得ております」
そうシオンが指示したが、数日後に大変な事が起きる事を、まだシオンは知らなかった。
20
お気に入りに追加
51
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

お飾り王妃の死後~王の後悔~
ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。
王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。
ウィルベルト王国では周知の事実だった。
しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。
最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。
小説家になろう様にも投稿しています。

夫は私を愛してくれない
はくまいキャベツ
恋愛
「今までお世話になりました」
「…ああ。ご苦労様」
彼はまるで長年勤めて退職する部下を労うかのように、妻である私にそう言った。いや、妻で“あった”私に。
二十数年間すれ違い続けた夫婦が別れを決めて、もう一度向き合う話。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる