悪女と言われた令嬢は隣国の王妃の座をお金で買う!

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旅は続くよ

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一泊した後に子爵家を後にしたシオン達は、そのまま北東へと向かった。

「良い天気ね~~」

のどかに馬車は走っている。
ちなみに、馬車は2台で移動しており、馬に乗っているのは2名だけである。

2台目の馬車には各街で購入したアイテム……商品が積まれている。

シオンは途中で休憩した平原である物を見つけた。

「アメリア、【アレ】はよく見かけるものかしら?」
「アレですか?どこにでもありますね。私の住んでいた男爵領と子爵領でも見かけました」

キランッ!
シオンの目が輝いた!

「やったわ!私の当初の目的が達成されたわ!」

珍しく飛び上がって喜ぶシオンに首を傾げた。

「どうしましたお嬢?」
「なんだなんだ?またトラブル発生か?」
「いや、多分トラブルを発生させたの間違いじゃ?」

周囲を見張っていた他の仲間も集まってきた。
お前達、言いたい放題だなっ!?

「でもどうしようかしら?アレを採取するには時間が掛かるし………うん、アメリア!アレをしっかりと覚えていてね。多分、次の街にもあると思うから見つけたら教えてね」

「わかりました。でも、何をするのか教えて下さいよ~」

「それはお楽しみにね♪」

休憩を終わらせると、次の街に急いだ。
コソッ
「珍しくトラブルがなかった」
「ああ、珍しい事もあるものだ」
「ハラハラ、平和って素晴らしい!」

盗賊に襲われる事もなく、目的地の街にたどり着いた。

「はぁ~刺激がなくて少し退屈でしたわ」
「本当にね~」

ハルとアキの言葉に護衛騎士達が反論した!

「お前達!何事もないのが良いんだぞ!」
「お嬢様付きのメイドがそんな物騒な事を言ってはダメだ!」
「そうだぞ!平和が1番だ!」
「お嬢が危険な目にあったらどうするんだ!」

護衛騎士たちがズモモモッ!と二人に近付き、そんな事を言っちゃダメだ!と注意した。

「「ごめんなさい!」」

余りにも護衛騎士の必死さが怖くて素直に謝る二人だった。
まぁ、帝国に入ってからトラブルの連続で感覚がマヒしてしまっているのだ。

仕方がない。そう仕方がないのだ………うん。

「おーい!なに遊んでんのよ~!早く宿屋に行くよ~」
「はい!今行きます!」

こうしてシオン達はいつも通りに騒がしく到着したのだった。

「さて、ここでもやることは変わらないわ」
「ヴァイス侯爵をぶっ殺すんですね!」

「違うわボケッーー!!!!」

シオンは何処から出したのか、ハリセンでアキの頭を叩いた。

「痛いデスお嬢………」
「はぁ~ここでも市場調査をするってことよ。だいたい、ヴァイス侯爵は配下の貴族に多額の献金をさせているでしょう?自分の領地ではそんな悪さをしなくてもお金が入ってくるんだから、まともな領地経営しているでしょうよ?」

一晩経って街に出るまでは、そう思ってた時期がありました。ありましたとも!

「シオン様、この街はおかしいです。物価が高過ぎます!あの屋台の串焼きの値段が男爵領の3倍ですよ!?軽くこの通りのお店の値段を見ても、他の領地より平均3~4倍は高いです」

アメリアは素早く調べた結果を伝えた。

「なんでこの街だけインフレしてんのよ?」
「税が高いから?」

アキが何も考えずに答えた。

「まぁ、税が高いのはあるのだけど、男爵領よりはまだマシなのよね。これだけ高くても、何とか街の人々やっていけてるのが気になるわね」

取り敢えずシオン達は街の中を隅々まで歩き周り、市場調査という仕事をこなした。

今日はもう終わりかな?と思った時、メイン通りが騒がしくなった。

「何かしら?」

見に行こうとしたら、目にいた店主が止めた。

「あなた達、旅行者かい?今は行かない方がいいわよ。女王様のお通りだからねぇ~」
「女王様!?何それ?」

コソッと教えてくれた。

「この辺り一帯を治めているヴァイス侯爵様の御令嬢だよ。今度、皇帝陛下の妃様になられるそうだけど、この街では女王様なのさ。目をつけられると酷い目に合うから、通り過ぎるまではこの辺りで時間を潰しておいた方がいいわよ」

「へぇ~そうなんですね」

シオンは店主のおばちゃんの、有り難い助言を無視してメイン通りへと向かうのだった。

ちょっとは人の話を聞こうよ?






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