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尋問2
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伯爵は真っ青になりながら震えていた。
「ワルノヨー伯爵よ。先程、リオン殿が説明した通りだ。確かに本人は屋敷にから出てはいないのだろうが、そんな言葉遊びをしている訳ではない。これからの質問に、嘘偽りなく答えよ。さすれば毒杯は許してやる。ただし、少しでも嘘だとわかったら、ギロチンの刑にする」
あれ?処罰のランク上がってない?
ワルノヨー伯爵はガクガクブルブルと頷いている。こんな小心者にあんな犯罪に加担できるのか?
「まず現在のワルノヨー伯爵領の状況は知っているのか?領地にはどれくらいの頻度で戻っている?」
皇帝の質問に伯爵は、恐る恐る答えた。
「げ、現状と言われましても、1ヶ月に1度、帝都に報告しにくる執事から、特に変わったことは無いと聞いています。領地には年に数えるほどしか戻らないもので………」
「何?ここから伯爵の領地はそれほど遠くないだろう?何故戻っていないのだ?」
「そ、それは仕事が忙しく………」
「確かに私が皇帝に就いてからここ1年は忙しかったからな。それについては申し訳ないが………」
コホンッ
リオンが、ワザと咳をした。
「どうしましたかなリオン殿?」
「恐れながら申し上げます。ただいま、伯爵が嘘をつきましたので……」
「なに?」
皇帝の怒りのオーラが肌で感じた。
「ち、ちがっ!?嘘なんて!??」
「では、私から。少なくとも伯爵は、自分の領地の現状を知っています。自分の息子が屁理屈で屋敷から出ていないが、金で雇ったゴロツキが領民の女性を拐っていることに」
!?
「巫山戯るな!一介の騎士が何故その様な事を知っていると言うのだ!!!」
オレだって言いたくねぇーよ!
だけど、お前の言い訳って、昔の同僚で浮気していたヤツの言い訳と同じなんだよなぁ?
まっ、証拠はないんだけど。
ここは、お嬢を見習いますか。
「何故、伯爵はここに連れて来られたか、まだわかっていないようですね。すでに調べて裏付けも取れているんですよ?だからこちらの集めた情報と一致しているかどうかの確認なだけなんですよ」
「なっ───」
「ギロチンですか。御愁傷様です。息子の育て方を間違えただけで、可哀想ですが貴方の息子さんはやり過ぎましたからねぇ~」
リオンはヤレヤレといった感じで言った。
「違う!違うのです!そんな事は──」
「伯爵、言ったでしょう?裏付けは取ってあると。貴方が領地に戻った時、領民が群がるそうじゃないですか?貴方に直接、嘆願書を渡したという人がいるんですよ?」
「そんなもの!その平民が嘘を言っているだけだ!?」
「確かにそうですよね。………1人だけなら」
ビクッと伯爵が震えた。
「貴方が領地に戻れない、戻りたくない理由は、領地に戻ると領民が馬車に群がり、ドラ息子を何とかしてくれ!と嘆願してくるからだ!それに恐れをなした貴方は、息子を放置し、代わりの代官を派遣して、息子が領地の仕事をしていますと言う体裁を整えて、息子からも、領地からも逃げ出したんだ!」
「ぐぅっ!」
痛い所を突かれたと顔をしかめた。
「後は仕事と愛人に逃げて、領地の事を気にしないようにしていた。違いますか?」
リオンの話した事は出発前に、父親が戻ってくると、領民が息子を何とかしてくれと、お願いしていたと言う情報を貰っていたからだ。残り半分はアドリブである。
少しして膝を付いたワルノヨー伯爵は、全てを認めた。最初の頃は叱って性格を直そうと試みたが、すでに手遅れで放置する事にした事を。
皇帝は深いため息をついて、リオンが持ってきたドラッグの葉巻を見せた。
「これについてはどうだ?」
「何ですか?葉巻?私は葉巻はしませんが……?」
伯爵の感じからドラッグの事は知らなさそうだな。
皇帝と宰相は視線を合せると、結論から言った。
「ワルノヨー伯爵、結論から言う。伯爵家は断絶する事が決まった。後は、貴様自身が何処まで関与していたかが知りたかったのだ」
伯爵は何故と呟いた。
「これはドラッグだ。貴様の息子は夜な夜な、悪友達とドラッグパーティーを楽しんでいるそうだ」
!?
「なんですって!」
「さらに、こっちの方が問題でな。『何処から』女性の【奴隷】を買ってきて、その奴隷にも薬を与えて、非人道的な行為を行っていた。断じて許されない事だ!」
皇帝の言葉に伯爵が急に吠えた。
「あ、あんのバカ息子がっーーーーー!!!!!!」
さっきまでの怯えは消えて怒りで叫んだ!
しばらく独り言の様に罵って、ようやく落ち着いてきた。
「ハァハァ、皇帝陛下!私は断じて関与しておりません!確かに、婦女暴行ついては黙認しました。しかし、薬や奴隷の事などまったく知りません!」
さっきと顔つきが代わり、必死に説明している。
「取り敢えずわかった。伯爵には事が済むまで貴族牢に入ってもらう。貴様の息子は死罪が確定だ。伯爵も最悪、連座になる事を覚悟しておくように。連れていけ!」
伯爵は、きた時と同じように、引きづられながら連れて行かれた。
「ワルノヨー伯爵よ。先程、リオン殿が説明した通りだ。確かに本人は屋敷にから出てはいないのだろうが、そんな言葉遊びをしている訳ではない。これからの質問に、嘘偽りなく答えよ。さすれば毒杯は許してやる。ただし、少しでも嘘だとわかったら、ギロチンの刑にする」
あれ?処罰のランク上がってない?
ワルノヨー伯爵はガクガクブルブルと頷いている。こんな小心者にあんな犯罪に加担できるのか?
「まず現在のワルノヨー伯爵領の状況は知っているのか?領地にはどれくらいの頻度で戻っている?」
皇帝の質問に伯爵は、恐る恐る答えた。
「げ、現状と言われましても、1ヶ月に1度、帝都に報告しにくる執事から、特に変わったことは無いと聞いています。領地には年に数えるほどしか戻らないもので………」
「何?ここから伯爵の領地はそれほど遠くないだろう?何故戻っていないのだ?」
「そ、それは仕事が忙しく………」
「確かに私が皇帝に就いてからここ1年は忙しかったからな。それについては申し訳ないが………」
コホンッ
リオンが、ワザと咳をした。
「どうしましたかなリオン殿?」
「恐れながら申し上げます。ただいま、伯爵が嘘をつきましたので……」
「なに?」
皇帝の怒りのオーラが肌で感じた。
「ち、ちがっ!?嘘なんて!??」
「では、私から。少なくとも伯爵は、自分の領地の現状を知っています。自分の息子が屁理屈で屋敷から出ていないが、金で雇ったゴロツキが領民の女性を拐っていることに」
!?
「巫山戯るな!一介の騎士が何故その様な事を知っていると言うのだ!!!」
オレだって言いたくねぇーよ!
だけど、お前の言い訳って、昔の同僚で浮気していたヤツの言い訳と同じなんだよなぁ?
まっ、証拠はないんだけど。
ここは、お嬢を見習いますか。
「何故、伯爵はここに連れて来られたか、まだわかっていないようですね。すでに調べて裏付けも取れているんですよ?だからこちらの集めた情報と一致しているかどうかの確認なだけなんですよ」
「なっ───」
「ギロチンですか。御愁傷様です。息子の育て方を間違えただけで、可哀想ですが貴方の息子さんはやり過ぎましたからねぇ~」
リオンはヤレヤレといった感じで言った。
「違う!違うのです!そんな事は──」
「伯爵、言ったでしょう?裏付けは取ってあると。貴方が領地に戻った時、領民が群がるそうじゃないですか?貴方に直接、嘆願書を渡したという人がいるんですよ?」
「そんなもの!その平民が嘘を言っているだけだ!?」
「確かにそうですよね。………1人だけなら」
ビクッと伯爵が震えた。
「貴方が領地に戻れない、戻りたくない理由は、領地に戻ると領民が馬車に群がり、ドラ息子を何とかしてくれ!と嘆願してくるからだ!それに恐れをなした貴方は、息子を放置し、代わりの代官を派遣して、息子が領地の仕事をしていますと言う体裁を整えて、息子からも、領地からも逃げ出したんだ!」
「ぐぅっ!」
痛い所を突かれたと顔をしかめた。
「後は仕事と愛人に逃げて、領地の事を気にしないようにしていた。違いますか?」
リオンの話した事は出発前に、父親が戻ってくると、領民が息子を何とかしてくれと、お願いしていたと言う情報を貰っていたからだ。残り半分はアドリブである。
少しして膝を付いたワルノヨー伯爵は、全てを認めた。最初の頃は叱って性格を直そうと試みたが、すでに手遅れで放置する事にした事を。
皇帝は深いため息をついて、リオンが持ってきたドラッグの葉巻を見せた。
「これについてはどうだ?」
「何ですか?葉巻?私は葉巻はしませんが……?」
伯爵の感じからドラッグの事は知らなさそうだな。
皇帝と宰相は視線を合せると、結論から言った。
「ワルノヨー伯爵、結論から言う。伯爵家は断絶する事が決まった。後は、貴様自身が何処まで関与していたかが知りたかったのだ」
伯爵は何故と呟いた。
「これはドラッグだ。貴様の息子は夜な夜な、悪友達とドラッグパーティーを楽しんでいるそうだ」
!?
「なんですって!」
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皇帝の言葉に伯爵が急に吠えた。
「あ、あんのバカ息子がっーーーーー!!!!!!」
さっきまでの怯えは消えて怒りで叫んだ!
しばらく独り言の様に罵って、ようやく落ち着いてきた。
「ハァハァ、皇帝陛下!私は断じて関与しておりません!確かに、婦女暴行ついては黙認しました。しかし、薬や奴隷の事などまったく知りません!」
さっきと顔つきが代わり、必死に説明している。
「取り敢えずわかった。伯爵には事が済むまで貴族牢に入ってもらう。貴様の息子は死罪が確定だ。伯爵も最悪、連座になる事を覚悟しておくように。連れていけ!」
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