12 / 106
貧しい人々が助かる!?
しおりを挟む
シオンとアメリアが夢中になって話し合っていた。
地元の平民であるアメリアの目の付け所の意見は、とてもシオンの役に立っていた。
自分にはない視点から、商品の価値や用途を言ってくれるので、とても助かった。
「ありがとうアメリア。とても参考になるわ」
「いえいえ、こちらも楽しいです!」
最初の混乱が嘘の様に会話が弾み、シオンはアメリアの意見を参考にメモしていく。
そこに、扉をノックする音が聞こえた。
「シオンお嬢様、昼食をお持ちしました」
護衛の騎士が入ってきた。
「もうそんな時間?時間が経つのは早いわね。アメリア、先に昼食にしましょう」
宿の食事は毒味も兼ねて、外で買ってきている。
出来立てのパンにチーズとサラダと言うシンプルなものだ。
「ここにはチーズはあるのよね?」
「はい。チーズは保存が効いて長持ちしますし、帝国では酪農も盛んなので安価で手に入りますので」
なるほどね。
このチーズ、なにか付加価値を付けて売れないかしら?
シオンがチーズを見ながら思案していると、心配になったアメリアが言った。
「大丈夫ですか?何か悪い事を企んでいる様な怖い顔でチーズをみてましたが?」
「怖い顔って失礼ね!ただ、このチーズで何か商売ができないかな?と思っただけよ」
シオンにそう言われてアメリアもチーズを直視した。
「普段食べているものですからね。安価で庶民の口に入るものですから、これに何かしようとは考えられないですね」
「でも、貴族もチーズは食べるわよ?」
「確かにそうですが、チーズにも種類がありますし、この寒い時期ですとホットワインと一緒に、干し葡萄とチーズを食べるのが一般的でしょうか?」
そこでシオンはうん?と思った。
「チーズを使った料理はないの?」
「あるにはありますが、基本的に塩気のあるチーズをパンやワインと一緒に食べるのが主流です」
「なるほど。お酒のおツマミと庶民のおかず程度の認識なのね。それなら──」
シオンの中で色々と構想が形になりつつある中で、アメリアの一言に衝撃を受けた。
「所でこれはなんですか?」
シオンの買ってきた作物をみて尋ねた。
「これはジャガイモ………こちらでは土芋と言う作物とサツマイモ………赤芋という作物ね。じゃがバタとか焼き芋とか美味しいのよね~」
シオンの言葉にアメリアは真っ青になって叫んだ!
「た、食べたんですか!!!?これには毒があるんですよ!」
???
「はっ?何を言っているの?バカなの?土芋は繁殖力もあるし、短期間で実るので食べ物として優秀でしょう?これのおかげで我が領地では、飢え死にする人が居なくなったほど優秀な食べ物よ?結構保存も長持ちするし軍の兵站にも使えるのよ」
シオンの言葉にアメリアは絶句した。
「う、嘘よ………飢えて我慢できなくなった人がこれを食べて苦しんだのも……」
それを聞いてシオンはようやくピンッときた。
「ああ、土芋にはこの緑色の芽には毒素が含まれるの、こっちの全て茶色状態なら食べられるのよ。芽の出た物は畑に植えれば次の収穫が見込めるの。それにこの土芋は様々な料理に使えるの。塩とバターで食べるだけでも美味しいし、バターの代わりにチーズを使っても良いわね♪」
この事を知っていれば、飢えて死ぬ人も少なくなり、今の領民の暮らしもマシになっていたはずだった。アメリアは自分の無知を知り落ち込むのだった。
地元の平民であるアメリアの目の付け所の意見は、とてもシオンの役に立っていた。
自分にはない視点から、商品の価値や用途を言ってくれるので、とても助かった。
「ありがとうアメリア。とても参考になるわ」
「いえいえ、こちらも楽しいです!」
最初の混乱が嘘の様に会話が弾み、シオンはアメリアの意見を参考にメモしていく。
そこに、扉をノックする音が聞こえた。
「シオンお嬢様、昼食をお持ちしました」
護衛の騎士が入ってきた。
「もうそんな時間?時間が経つのは早いわね。アメリア、先に昼食にしましょう」
宿の食事は毒味も兼ねて、外で買ってきている。
出来立てのパンにチーズとサラダと言うシンプルなものだ。
「ここにはチーズはあるのよね?」
「はい。チーズは保存が効いて長持ちしますし、帝国では酪農も盛んなので安価で手に入りますので」
なるほどね。
このチーズ、なにか付加価値を付けて売れないかしら?
シオンがチーズを見ながら思案していると、心配になったアメリアが言った。
「大丈夫ですか?何か悪い事を企んでいる様な怖い顔でチーズをみてましたが?」
「怖い顔って失礼ね!ただ、このチーズで何か商売ができないかな?と思っただけよ」
シオンにそう言われてアメリアもチーズを直視した。
「普段食べているものですからね。安価で庶民の口に入るものですから、これに何かしようとは考えられないですね」
「でも、貴族もチーズは食べるわよ?」
「確かにそうですが、チーズにも種類がありますし、この寒い時期ですとホットワインと一緒に、干し葡萄とチーズを食べるのが一般的でしょうか?」
そこでシオンはうん?と思った。
「チーズを使った料理はないの?」
「あるにはありますが、基本的に塩気のあるチーズをパンやワインと一緒に食べるのが主流です」
「なるほど。お酒のおツマミと庶民のおかず程度の認識なのね。それなら──」
シオンの中で色々と構想が形になりつつある中で、アメリアの一言に衝撃を受けた。
「所でこれはなんですか?」
シオンの買ってきた作物をみて尋ねた。
「これはジャガイモ………こちらでは土芋と言う作物とサツマイモ………赤芋という作物ね。じゃがバタとか焼き芋とか美味しいのよね~」
シオンの言葉にアメリアは真っ青になって叫んだ!
「た、食べたんですか!!!?これには毒があるんですよ!」
???
「はっ?何を言っているの?バカなの?土芋は繁殖力もあるし、短期間で実るので食べ物として優秀でしょう?これのおかげで我が領地では、飢え死にする人が居なくなったほど優秀な食べ物よ?結構保存も長持ちするし軍の兵站にも使えるのよ」
シオンの言葉にアメリアは絶句した。
「う、嘘よ………飢えて我慢できなくなった人がこれを食べて苦しんだのも……」
それを聞いてシオンはようやくピンッときた。
「ああ、土芋にはこの緑色の芽には毒素が含まれるの、こっちの全て茶色状態なら食べられるのよ。芽の出た物は畑に植えれば次の収穫が見込めるの。それにこの土芋は様々な料理に使えるの。塩とバターで食べるだけでも美味しいし、バターの代わりにチーズを使っても良いわね♪」
この事を知っていれば、飢えて死ぬ人も少なくなり、今の領民の暮らしもマシになっていたはずだった。アメリアは自分の無知を知り落ち込むのだった。
4
お気に入りに追加
51
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

夫は私を愛してくれない
はくまいキャベツ
恋愛
「今までお世話になりました」
「…ああ。ご苦労様」
彼はまるで長年勤めて退職する部下を労うかのように、妻である私にそう言った。いや、妻で“あった”私に。
二十数年間すれ違い続けた夫婦が別れを決めて、もう一度向き合う話。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる