8 / 106
人助け☆
しおりを挟む
【お知らせ】
GW中は毎日更新していましたが、ストックが無いため次の更新は1週間後になります。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
一通りの情報収集を終えたシオン達は日も暮れて暗くなってきたので、宿屋に戻ろうとしていた時だった。
「やめて下さい!誰か助けて!!!」
悲鳴の様な声が聞こえてきた。
「何かしら?行ってみるわよ!」
「あ、お嬢様、お待ち下さい!」
声のあった方へ駆け出した。
角を曲がった所で、ゴロツキと思われる男達が、若い女の子を拐おうとしていた。
「あなた達!何をしているの!?」
シオンの声に振り向くゴロツキ達が言った。
「ああ?なんだお前達は?言っておくがな、これは正当な権利なんだぜ?借金を返せなかったこいつが悪いんだ」
なるほど。
借金取りと言う訳なのですね。
「なんだ。そういう事でしたのね。これはお仕事の途中に申し訳ございませんでした」
シオンは深く頭を下げて謝ると踵を返して帰ろうとした。
「おおぅ、気を付けて帰れよ」
余りにも聞き分けの良いシオンにゴロツキ達も呆気に取られてしまった。
「い、いやっ!待って!?待って下さい!助けて!!!」
シオンは顔だけ振り向くと【冷酷】に言い放った。
「助ける?どうして私が?借金取りさん達にだって生活があります。借金を返せないあなたが悪いのでは?」
いや正論なんだけど!正論なんだけど!
もうちょっと言い方があるのでは!?
女の子は助けを求める人を間違えたかもしれないが、他に誰もきてくれ───
「お嬢様!勝手にイカれては困ります!」
「ちょっとハル?なんか含みのある言い方じゃない?私は至ってまともよ?」
この変な人のメイドさんみたいだ。
「私は騙されたんです!借りたお金はちゃんと返しました!助けて下さい!」
ようやくお嬢様は女の子の方へ近付いた。
「この娘はこう言ってますが本当ですの?」
ゴロツキ達は笑いだした。
「何だか育ちの言いお嬢様じゃねぇか?確かに借りた金は返して貰ったぜ?だがな、借りる時に利息ってもんが掛かるんだよ。それを返せてねぇのさ」
「ちなみにおいくらかしら?」
「わ、私は銀貨1枚借りて、一ヶ月で銀貨と利息の銅貨1枚返しました!」
ちなみにこの世界の貨幣は、銅貨、銀貨、金貨、白金貨となっている。
銅貨10枚で銀貨1枚となる。
「一ヶ月で返すなんてきちんとしてますね。それで利息が違うと言うのは?」
「一ヶ月での利息は銀貨1枚なんだよ。この契約書に書いてあるだろう?」
バッと見せられた契約書をみると、利息は【銅貨10枚】となっている。
これをみてシオンは【悪】がどちらか判断した。
「なるほど。まさかこんな古典的な詐欺をやっている方がいるなんてびっくりですわね」
「なんだと!ケチつけるつもりか!サッサと返せっ!」
奪い返そうとしたゴロツキの手を躱してシオンが逆に突き付けた!
「この契約書は無効ですわ!利息の所に銅貨1枚と書いておき、そこの女の子がサインした後、【◯】を足して10枚にしたのでしょう。契約書の◯の字が歪んでいますもの」
「うるせぇ!そんな証拠はねぇだろう!?」
シオンは深くため息をついた。
「そもそも!一ヶ月で借りたお金と同額の利息は帝国法の違反に当たります!故に無効です!」
ビリビリッとシオンは契約書を破った。
「何しやがる!お前達!こいつ等も連れて行くぞっ!」
ゴロツキ達は5人ほどいてシオン達に襲いかかってきた。
「ハル、アキ、左右の男達をお願い。正面は私が」
「「はっ!」」
シオンは腰を落して手を前にして構えた。
ゴロツキ達も女と見くびっているのか、武器を持たず襲ってきた。
「少し痛い目みてもらう──」
下卑た顔で向かってきた男の顎に掌底を喰らわせる。そしてグラついた男の腹に強烈なボディーブローを打ちこむ。
そのまま男は気を失い崩れ落ちた。
まさに一瞬の出来事である。
シオンのメイド二人も残りのゴロツキ達を昏倒させ、気付けば全員が地面に倒れていた。
「この街には衛兵はいるの?」
「いるにはいますが、こいつらは領主に献金して見逃してもらっているので、動いてはもらえないですね………」
シオンは、う~~んと考えながら答えた。
「殺して埋めちゃダメ?」
!?
アメリアは驚いて止めて!と叫んだ。
「お嬢様、それは良いアイデアですが、騒ぎが大きくなるのは少々マズイです。泊まっている宿屋の裏に馬車を停めておく場所があります。馬小屋もありましたから、取り敢えずそこに閉じ込めておきましょう」
お連れのメイドも普通では無かったと女の子は後悔した。
「わかったわ。護衛の騎士を呼んできて貰える?」
「かしこまりました」
シオン達は素手でゴロツキ達をあっという間に叩きのめして、そしてこの女の子から詳しい話を聞くために場所を移動するのだった。
GW中は毎日更新していましたが、ストックが無いため次の更新は1週間後になります。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
一通りの情報収集を終えたシオン達は日も暮れて暗くなってきたので、宿屋に戻ろうとしていた時だった。
「やめて下さい!誰か助けて!!!」
悲鳴の様な声が聞こえてきた。
「何かしら?行ってみるわよ!」
「あ、お嬢様、お待ち下さい!」
声のあった方へ駆け出した。
角を曲がった所で、ゴロツキと思われる男達が、若い女の子を拐おうとしていた。
「あなた達!何をしているの!?」
シオンの声に振り向くゴロツキ達が言った。
「ああ?なんだお前達は?言っておくがな、これは正当な権利なんだぜ?借金を返せなかったこいつが悪いんだ」
なるほど。
借金取りと言う訳なのですね。
「なんだ。そういう事でしたのね。これはお仕事の途中に申し訳ございませんでした」
シオンは深く頭を下げて謝ると踵を返して帰ろうとした。
「おおぅ、気を付けて帰れよ」
余りにも聞き分けの良いシオンにゴロツキ達も呆気に取られてしまった。
「い、いやっ!待って!?待って下さい!助けて!!!」
シオンは顔だけ振り向くと【冷酷】に言い放った。
「助ける?どうして私が?借金取りさん達にだって生活があります。借金を返せないあなたが悪いのでは?」
いや正論なんだけど!正論なんだけど!
もうちょっと言い方があるのでは!?
女の子は助けを求める人を間違えたかもしれないが、他に誰もきてくれ───
「お嬢様!勝手にイカれては困ります!」
「ちょっとハル?なんか含みのある言い方じゃない?私は至ってまともよ?」
この変な人のメイドさんみたいだ。
「私は騙されたんです!借りたお金はちゃんと返しました!助けて下さい!」
ようやくお嬢様は女の子の方へ近付いた。
「この娘はこう言ってますが本当ですの?」
ゴロツキ達は笑いだした。
「何だか育ちの言いお嬢様じゃねぇか?確かに借りた金は返して貰ったぜ?だがな、借りる時に利息ってもんが掛かるんだよ。それを返せてねぇのさ」
「ちなみにおいくらかしら?」
「わ、私は銀貨1枚借りて、一ヶ月で銀貨と利息の銅貨1枚返しました!」
ちなみにこの世界の貨幣は、銅貨、銀貨、金貨、白金貨となっている。
銅貨10枚で銀貨1枚となる。
「一ヶ月で返すなんてきちんとしてますね。それで利息が違うと言うのは?」
「一ヶ月での利息は銀貨1枚なんだよ。この契約書に書いてあるだろう?」
バッと見せられた契約書をみると、利息は【銅貨10枚】となっている。
これをみてシオンは【悪】がどちらか判断した。
「なるほど。まさかこんな古典的な詐欺をやっている方がいるなんてびっくりですわね」
「なんだと!ケチつけるつもりか!サッサと返せっ!」
奪い返そうとしたゴロツキの手を躱してシオンが逆に突き付けた!
「この契約書は無効ですわ!利息の所に銅貨1枚と書いておき、そこの女の子がサインした後、【◯】を足して10枚にしたのでしょう。契約書の◯の字が歪んでいますもの」
「うるせぇ!そんな証拠はねぇだろう!?」
シオンは深くため息をついた。
「そもそも!一ヶ月で借りたお金と同額の利息は帝国法の違反に当たります!故に無効です!」
ビリビリッとシオンは契約書を破った。
「何しやがる!お前達!こいつ等も連れて行くぞっ!」
ゴロツキ達は5人ほどいてシオン達に襲いかかってきた。
「ハル、アキ、左右の男達をお願い。正面は私が」
「「はっ!」」
シオンは腰を落して手を前にして構えた。
ゴロツキ達も女と見くびっているのか、武器を持たず襲ってきた。
「少し痛い目みてもらう──」
下卑た顔で向かってきた男の顎に掌底を喰らわせる。そしてグラついた男の腹に強烈なボディーブローを打ちこむ。
そのまま男は気を失い崩れ落ちた。
まさに一瞬の出来事である。
シオンのメイド二人も残りのゴロツキ達を昏倒させ、気付けば全員が地面に倒れていた。
「この街には衛兵はいるの?」
「いるにはいますが、こいつらは領主に献金して見逃してもらっているので、動いてはもらえないですね………」
シオンは、う~~んと考えながら答えた。
「殺して埋めちゃダメ?」
!?
アメリアは驚いて止めて!と叫んだ。
「お嬢様、それは良いアイデアですが、騒ぎが大きくなるのは少々マズイです。泊まっている宿屋の裏に馬車を停めておく場所があります。馬小屋もありましたから、取り敢えずそこに閉じ込めておきましょう」
お連れのメイドも普通では無かったと女の子は後悔した。
「わかったわ。護衛の騎士を呼んできて貰える?」
「かしこまりました」
シオン達は素手でゴロツキ達をあっという間に叩きのめして、そしてこの女の子から詳しい話を聞くために場所を移動するのだった。
18
お気に入りに追加
51
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました
Kouei
恋愛
私セイシェル・メルハーフェンは、
あこがれていたルパート・プレトリア伯爵令息と婚約できて幸せだった。
ルパート様も私に歩み寄ろうとして下さっている。
けれど私は聞いてしまった。ルパート様の本音を。
『我慢するしかない』
『彼女といると疲れる』
私はルパート様に嫌われていたの?
本当は厭わしく思っていたの?
だから私は決めました。
あなたを忘れようと…
※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。

【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない
曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが──
「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」
戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。
そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……?
──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。
★小説家になろうさまでも公開中

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

【完結】引きこもり令嬢は迷い込んできた猫達を愛でることにしました
かな
恋愛
乙女ゲームのモブですらない公爵令嬢に転生してしまった主人公は訳あって絶賛引きこもり中!
そんな主人公の生活はとある2匹の猫を保護したことによって一変してしまい……?
可愛い猫達を可愛がっていたら、とんでもないことに巻き込まれてしまった主人公の無自覚無双の幕開けです!
そしていつのまにか溺愛ルートにまで突入していて……!?
イケメンからの溺愛なんて、元引きこもりの私には刺激が強すぎます!!
毎日17時と19時に更新します。
全12話完結+番外編
「小説家になろう」でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる