悪女と言われた令嬢は隣国の王妃の座をお金で買う!

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シオンには知識があった。

それは前世の知識である。
そう、シオンは転生者だったのだ。

この世界に産まれた時に、前世の記憶はあったが、前世でどうして死んだのかや、神様にあった記憶は無かった。
そして、この世界にも記憶が無かった。普通、転生といえば乙女ゲームの世界に転生が定番だが、前世でそれなりにゲームを嗜んでいた自分も、まったく知らない世界だった。

それはそれとして、シオンはこの世界で生きていく事を決めたのだ。ならば定番の前世の知識を活かして内政無双しようとした訳である。

現在シオンは18歳。
内政無双はある程度成功を納めた。

新しい調味料開発や、新しい玩具の開発。農作業を楽にさせる道具など、辺境伯領では【発明女王】として知られていた。

大陸側に領地があるにも関わらず、シオンが立ち上げた【大商会】の利益で巨万の富を得ていた。

それに王家はオリオン辺境伯家が武力以外に富まで手に入れた事を危険視し始めた。国王と王妃は贅沢三昧で、気にしていなかったが、第一王子を始めとした、国王の子供達が王位継承もあるシオンを危険視したのだ。

第一王子が無い頭で考えたのが、先の戦だった。
上手く行けば、辺境伯の兵士を死なせて、兵力を下げて、戦の出費で財力も減らせる。自分は帝国に勝ったという実績だけ貰えるという、意外と一石三鳥という有効な作戦だった。

…………そこに辺境伯の王家の【信頼】と【忠誠】も失うと言うことを除けばだが。

シオンは発明女王として、オリオン辺境領に必要な人材になった事で、シオンに見合う婚約者が見つからないという問題も抱えていた。

周辺の貴族を婿に迎えてもオリオン辺境伯には旨味が無いのだ。ただただ、相手にメリットがあるだけで、辺境伯も最悪をシオンが恋した相手ならばメリット無くても婚姻させるつもりはあったのだが───

当の本人シオンが、発明にハマって恋愛のれの字も今まで出て来なかったのだ。

故にこれが、高位貴族としては珍しく18歳まで婚約者が居なかった理由である。


と、話が脱線したが、シオンの思わぬ事で敵国の皇帝に嫁ぐ事になった。今まで帝国兵を撃退してきた辺境伯の娘である。きっと、嫌がらせならまだしも、命の危険があるのは明白だった。

そう言った家柄なので、シオンも幼い頃から自分の身は守れる様に、剣術の訓練は受けている。しかし孤立無援の敵地で、自分の身を守るには、自分が有能だと証明して、金と権力を手にするしか生き残るには方法がないと思っていた。


ここでのシオンの不幸は、ゼノン皇帝の思惑は、王国に対する嫌がらせであって、姫を寄越せと停戦条約に盛り込んだが、シオンが通常通りに顔見せのお茶会に参加していたら、そのまま辞退して帰れたのだ。

シオンは妃になる事を辞退できる事を知らなかった。

だからこそ、本気で王妃を目指したために、シオンはわざと挑発するような手紙を送り、妃選定の儀で、皇帝が自分に興味が向くよう緻密に計算してあの様な挑発した手紙を送ったのだった。







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