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序章

騎士団昇級試験5

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ドラゴンの話は突拍子のないものだったが、嘘を言っている様にも見えなかった。

「これからはあやつがお主に何かしてくるだろう。あいつの筋書き通りに動くのか、あやつの趣旨に抗うのかお主次第だ。あやつに名前は無いが名称を付けるなら【闇夜の影】と呼べば良い。表舞台には立たず、影から操る奴の名称だ。」

これからどんな事が起きるかわからないがドラゴンに礼を言った。

「忠告ありがとう。お前の言葉は忘れないよ。そしてすまなかった」

操られていただけのドラゴンを倒してしまったのだ。こちらも死ぬ所だったとはいえ正直に悪いと思ったからだ。そう言うとドラゴンは軽く笑ったのだった。

「そろそろお別れの時間だ。あやつに目を付けられては平穏な人生は送れまいが、精一杯後悔の無いように生きろ。お主の人生だからな。」

一呼吸後に最後の声が聞こえてきた。

「最後に、お主に力を与えよう。我の血を使い、我の力を使え。運命に負けず、自分の未来を歩んで行くために。」

そう言うとドラゴンの声は聞こえなくなり、倒したドラゴンの身体も消えて大きな魔石が残ったのだった。

「いろいろな事があって疲れたな・・急いで戻るか」

俺は魔石をしまうと攻撃したときに落ちたドラゴンの鱗も拾って部屋を出たのだった。
身体は疲れていたが早く戻らないと騎士団試験も不合格になってしまう。部屋を出ると驚いた事に別の階段が隣に現れていた。来た道を戻るか、新しい階段を行くか少し悩んだが新しい階段を行く事にした。理由としては来た道を戻ると落とし穴を登らないといけなく、体力が残っていないのと、新しい階段の方が急斜面で地上に延びていたからだ。

「早く戻らないと・・」

重たい体を引きずりながら階段を登る。来たときと同じぐらいの時間を掛けて登り切ると少し開けた場所になっておりだった。

だけど俺は絶望しなかった。壁の隙間から灯りが見えたからだ。壁の向こう側がある。俺は剣を構え、光の差す隙間に剣を刺した。するとちょっとした力で壁が崩れて向こう側へと繋がったのだった。

「知ってる道出られればいいな」

そう呟きにつつ崩れた壁の向こう側に出ると、驚きの声が聞こえた。

「アキ騎士見習い!無事だったか!」

そこに居たのは第2騎士団長のクルス・サロン・コクトーだ。若き天才と呼ばれ、その様々な功績から平民から男爵の位を授かった騎士であり、この騎士団試験の監督でもある。

「アキ、君の帰りが遅いから探査隊を出す所だったんだ。」

良く見るとここはダンジョンの入口に入ってすぐの所だった。これには俺も驚いた。そして俺は隠し部屋を見付け、ドラゴンと戦闘になった事を大まかに伝えた。

「驚いたな・・隠し部屋はここから出て来た所を見れば分かるが、ドラゴンを倒したとは、にわかには信じられないな」

まぁ~確かに見習い騎士にドラゴンが倒せる訳も無いのだからそうだろうな。そこで俺は魔石と鱗を見せた。

「なんて大きな魔石だ。それにこの鱗は・・!?」

騎士団長もこれを見て驚いたようだ。

「嘘を言っている訳でも無さそうだね」

騎士団長は口に手を当て何かを考えているようだった。俺はドラゴンを倒した高揚感と騎士団試験完了に気持ちが高ぶるのだった。

「これで試験終了ですね!」

団長に証を差し出すと、思いがけない言葉が返ってきた。

「アキ、確かに試験は完了だが・・試験結果は良くないと言わざる終えない」

っえ!?何で???

「これから君の話の検証を騎士団でするが、あくまで試験内容は奥にある騎士の証を出来るだけ持って来ることだからね。現時点では最下位であり、捜索隊も投入する所だったので歴代最下位のおまけ付きだ」

騎士団長は申し訳なさそうに言うと、俺は目眩がした。俺の頑張りは何だったんだと!ただ、その後に隠し部屋の発見などで評価出来ないか上層部に掛け合ってくれると騎士団長は言ってくれた。

「さっきは試験は出来るだけ早く証を持って来ることと言ったが、その他にもレポートを提出しないといけない。どんな罠があり、どんな魔物をどうやって倒したなどを書かなければならない」

確かに実体験レポートを書かないと試験は完了した事にはならない。

「今回はイレギュラーな事だけど、隠し部屋の発見やそこにいた魔物の危険性など考慮すれば何とかなると思うよ」

俺は団長に感謝し、頭を下げた

「よろしくお願いします!」

そう言うと、気が緩んだのか全身の力が抜けて倒れみ気を失った。そんな俺に団長は優しく微笑み、お疲れ様と言った。


こうして俺の騎士団昇級試験は終了したのだった
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