5 / 5
序章
騎士団昇級試験5
しおりを挟む
ドラゴンの話は突拍子のないものだったが、嘘を言っている様にも見えなかった。
「これからはあやつがお主に何かしてくるだろう。あいつの筋書き通りに動くのか、あやつの趣旨に抗うのかお主次第だ。あやつに名前は無いが名称を付けるなら【闇夜の影】と呼べば良い。表舞台には立たず、影から操る奴の名称だ。」
これからどんな事が起きるかわからないがドラゴンに礼を言った。
「忠告ありがとう。お前の言葉は忘れないよ。そしてすまなかった」
操られていただけのドラゴンを倒してしまったのだ。こちらも死ぬ所だったとはいえ正直に悪いと思ったからだ。そう言うとドラゴンは軽く笑ったのだった。
「そろそろお別れの時間だ。あやつに目を付けられては平穏な人生は送れまいが、精一杯後悔の無いように生きろ。お主の人生だからな。」
一呼吸後に最後の声が聞こえてきた。
「最後に、お主に力を与えよう。我の血を使い、我の力を使え。運命に負けず、自分の未来を歩んで行くために。」
そう言うとドラゴンの声は聞こえなくなり、倒したドラゴンの身体も消えて大きな魔石が残ったのだった。
「いろいろな事があって疲れたな・・急いで戻るか」
俺は魔石をしまうと攻撃したときに落ちたドラゴンの鱗も拾って部屋を出たのだった。
身体は疲れていたが早く戻らないと騎士団試験も不合格になってしまう。部屋を出ると驚いた事に別の階段が隣に現れていた。来た道を戻るか、新しい階段を行くか少し悩んだが新しい階段を行く事にした。理由としては来た道を戻ると落とし穴を登らないといけなく、体力が残っていないのと、新しい階段の方が急斜面で地上に延びていたからだ。
「早く戻らないと・・」
重たい体を引きずりながら階段を登る。来たときと同じぐらいの時間を掛けて登り切ると少し開けた場所になっており行き止まりだった。
だけど俺は絶望しなかった。壁の隙間から灯りが見えたからだ。壁の向こう側がある。俺は剣を構え、光の差す隙間に剣を刺した。するとちょっとした力で壁が崩れて向こう側へと繋がったのだった。
「知ってる道出られればいいな」
そう呟きにつつ崩れた壁の向こう側に出ると、驚きの声が聞こえた。
「アキ騎士見習い!無事だったか!」
そこに居たのは第2騎士団長のクルス・サロン・コクトーだ。若き天才と呼ばれ、その様々な功績から平民から男爵の位を授かった騎士であり、この騎士団試験の監督でもある。
「アキ、君の帰りが遅いから探査隊を出す所だったんだ。」
良く見るとここはダンジョンの入口に入ってすぐの所だった。これには俺も驚いた。そして俺は隠し部屋を見付け、ドラゴンと戦闘になった事を大まかに伝えた。
「驚いたな・・隠し部屋はここから出て来た所を見れば分かるが、ドラゴンを倒したとは、にわかには信じられないな」
まぁ~確かに見習い騎士にドラゴンが倒せる訳も無いのだからそうだろうな。そこで俺は魔石と鱗を見せた。
「なんて大きな魔石だ。それにこの鱗は・・!?」
騎士団長もこれを見て驚いたようだ。
「嘘を言っている訳でも無さそうだね」
騎士団長は口に手を当て何かを考えているようだった。俺はドラゴンを倒した高揚感と騎士団試験完了に気持ちが高ぶるのだった。
「これで試験終了ですね!」
団長に証を差し出すと、思いがけない言葉が返ってきた。
「アキ、確かに試験は完了だが・・試験結果は良くないと言わざる終えない」
っえ!?何で???
「これから君の話の検証を騎士団でするが、あくまで試験内容は奥にある騎士の証を出来るだけ早く持って来ることだからね。現時点では最下位であり、捜索隊も投入する所だったので歴代最下位のおまけ付きだ」
騎士団長は申し訳なさそうに言うと、俺は目眩がした。俺の頑張りは何だったんだと!ただ、その後に隠し部屋の発見などで評価出来ないか上層部に掛け合ってくれると騎士団長は言ってくれた。
「さっきは試験は出来るだけ早く証を持って来ることと言ったが、その他にもレポートを提出しないといけない。どんな罠があり、どんな魔物をどうやって倒したなどを書かなければならない」
確かに実体験レポートを書かないと試験は完了した事にはならない。
「今回はイレギュラーな事だけど、隠し部屋の発見やそこにいた魔物の危険性など考慮すれば何とかなると思うよ」
俺は団長に感謝し、頭を下げた
「よろしくお願いします!」
そう言うと、気が緩んだのか全身の力が抜けて倒れみ気を失った。そんな俺に団長は優しく微笑み、お疲れ様と言った。
こうして俺の騎士団昇級試験は終了したのだった
「これからはあやつがお主に何かしてくるだろう。あいつの筋書き通りに動くのか、あやつの趣旨に抗うのかお主次第だ。あやつに名前は無いが名称を付けるなら【闇夜の影】と呼べば良い。表舞台には立たず、影から操る奴の名称だ。」
これからどんな事が起きるかわからないがドラゴンに礼を言った。
「忠告ありがとう。お前の言葉は忘れないよ。そしてすまなかった」
操られていただけのドラゴンを倒してしまったのだ。こちらも死ぬ所だったとはいえ正直に悪いと思ったからだ。そう言うとドラゴンは軽く笑ったのだった。
「そろそろお別れの時間だ。あやつに目を付けられては平穏な人生は送れまいが、精一杯後悔の無いように生きろ。お主の人生だからな。」
一呼吸後に最後の声が聞こえてきた。
「最後に、お主に力を与えよう。我の血を使い、我の力を使え。運命に負けず、自分の未来を歩んで行くために。」
そう言うとドラゴンの声は聞こえなくなり、倒したドラゴンの身体も消えて大きな魔石が残ったのだった。
「いろいろな事があって疲れたな・・急いで戻るか」
俺は魔石をしまうと攻撃したときに落ちたドラゴンの鱗も拾って部屋を出たのだった。
身体は疲れていたが早く戻らないと騎士団試験も不合格になってしまう。部屋を出ると驚いた事に別の階段が隣に現れていた。来た道を戻るか、新しい階段を行くか少し悩んだが新しい階段を行く事にした。理由としては来た道を戻ると落とし穴を登らないといけなく、体力が残っていないのと、新しい階段の方が急斜面で地上に延びていたからだ。
「早く戻らないと・・」
重たい体を引きずりながら階段を登る。来たときと同じぐらいの時間を掛けて登り切ると少し開けた場所になっており行き止まりだった。
だけど俺は絶望しなかった。壁の隙間から灯りが見えたからだ。壁の向こう側がある。俺は剣を構え、光の差す隙間に剣を刺した。するとちょっとした力で壁が崩れて向こう側へと繋がったのだった。
「知ってる道出られればいいな」
そう呟きにつつ崩れた壁の向こう側に出ると、驚きの声が聞こえた。
「アキ騎士見習い!無事だったか!」
そこに居たのは第2騎士団長のクルス・サロン・コクトーだ。若き天才と呼ばれ、その様々な功績から平民から男爵の位を授かった騎士であり、この騎士団試験の監督でもある。
「アキ、君の帰りが遅いから探査隊を出す所だったんだ。」
良く見るとここはダンジョンの入口に入ってすぐの所だった。これには俺も驚いた。そして俺は隠し部屋を見付け、ドラゴンと戦闘になった事を大まかに伝えた。
「驚いたな・・隠し部屋はここから出て来た所を見れば分かるが、ドラゴンを倒したとは、にわかには信じられないな」
まぁ~確かに見習い騎士にドラゴンが倒せる訳も無いのだからそうだろうな。そこで俺は魔石と鱗を見せた。
「なんて大きな魔石だ。それにこの鱗は・・!?」
騎士団長もこれを見て驚いたようだ。
「嘘を言っている訳でも無さそうだね」
騎士団長は口に手を当て何かを考えているようだった。俺はドラゴンを倒した高揚感と騎士団試験完了に気持ちが高ぶるのだった。
「これで試験終了ですね!」
団長に証を差し出すと、思いがけない言葉が返ってきた。
「アキ、確かに試験は完了だが・・試験結果は良くないと言わざる終えない」
っえ!?何で???
「これから君の話の検証を騎士団でするが、あくまで試験内容は奥にある騎士の証を出来るだけ早く持って来ることだからね。現時点では最下位であり、捜索隊も投入する所だったので歴代最下位のおまけ付きだ」
騎士団長は申し訳なさそうに言うと、俺は目眩がした。俺の頑張りは何だったんだと!ただ、その後に隠し部屋の発見などで評価出来ないか上層部に掛け合ってくれると騎士団長は言ってくれた。
「さっきは試験は出来るだけ早く証を持って来ることと言ったが、その他にもレポートを提出しないといけない。どんな罠があり、どんな魔物をどうやって倒したなどを書かなければならない」
確かに実体験レポートを書かないと試験は完了した事にはならない。
「今回はイレギュラーな事だけど、隠し部屋の発見やそこにいた魔物の危険性など考慮すれば何とかなると思うよ」
俺は団長に感謝し、頭を下げた
「よろしくお願いします!」
そう言うと、気が緩んだのか全身の力が抜けて倒れみ気を失った。そんな俺に団長は優しく微笑み、お疲れ様と言った。
こうして俺の騎士団昇級試験は終了したのだった
0
お気に入りに追加
13
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は大好きな絵を描いていたら大変な事になった件について!
naturalsoft
ファンタジー
『※タイトル変更するかも知れません』
シオン・バーニングハート公爵令嬢は、婚約破棄され辺境へと追放される。
そして失意の中、悲壮感漂う雰囲気で馬車で向かって─
「うふふ、計画通りですわ♪」
いなかった。
これは悪役令嬢として目覚めた転生少女が無駄に能天気で、好きな絵を描いていたら周囲がとんでもない事になっていったファンタジー(コメディ)小説である!
最初は幼少期から始まります。婚約破棄は後からの話になります。
訳ありヒロインは、前世が悪役令嬢だった。王妃教育を終了していた私は皆に認められる存在に。でも復讐はするわよ?
naturalsoft
恋愛
私の前世は公爵令嬢であり、王太子殿下の婚約者だった。しかし、光魔法の使える男爵令嬢に汚名を着せられて、婚約破棄された挙げ句、処刑された。
私は最後の瞬間に一族の秘術を使い過去に戻る事に成功した。
しかし、イレギュラーが起きた。
何故か宿敵である男爵令嬢として過去に戻ってしまっていたのだ。
魔法のせいだからって許せるわけがない
ユウユウ
ファンタジー
私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。
すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。
私のお父様とパパ様
棗
ファンタジー
非常に過保護で愛情深い二人の父親から愛される娘メアリー。
婚約者の皇太子と毎月あるお茶会で顔を合わせるも、彼の隣には幼馴染の女性がいて。
大好きなお父様とパパ様がいれば、皇太子との婚約は白紙になっても何も問題はない。
※箱入り娘な主人公と娘溺愛過保護な父親コンビのとある日のお話。
追記(2021/10/7)
お茶会の後を追加します。
更に追記(2022/3/9)
連載として再開します。
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる