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序章
騎士団昇級試験4
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オーブの光が消え、ドラゴンに意識を戻すと苦しそうに動いているドラゴンの姿があった。
「まさか神珠が力を貸すとは・・身体が動かん!」
ドラゴンの呟きに俺は剣を構える。兎に角、今がチャンスだ!これを逃すと死ぬ!!!
「何だかわからないが行くぞ!」
俺は動きの悪いドラゴンに向かって駆け出した。ドラゴンはブレスを吐こうとしたが動作が遅く、先に斬りかかる事が出来た。
「喰らえ!!!!」
先ほどと同じく全力で斬りかかった!
ザシュ!
今度は簡単にドラゴンの鱗が引き裂かれ、肩から斜めに深く剣が刺さった。
「グギャャーー!!!」
ドラゴンの断末魔が響く!
「切れた・・?」
切った俺も一瞬、呆けてしまった。ドラゴンの体調が悪くなったとは言え、ここまで剣がバターを切るように入ると思わなかったからだ。すぐに我に戻ると剣を抜き距離を取る。傷が深いせいかドラゴンはその場で痛みを堪える様にうずくまるが、顔を上げて俺から視線を逸らそうとはしない。まだ諦めていない証拠だ。
「これで最後だ!」
俺はもう一度全力で斬りかかった!今度は先にドラゴンがブレスを吐いた。しかし、先ほどより威力は無く、スピードも遅かった。俺は、斜めに飛びながら炎を避け、懐に飛び込むと剣を突き刺した。
「グフッ…」
胴体に剣を全体重を乗せ根本まで差し込むとドラゴンは倒れ動かなくなった。
「はぁはぁ・・終わったのか?」
ドラゴンが動かなくなり、注意深く見守ってからその場に座り込んだ。
「死ぬかと思った・・」
肩で息をしながら命が助かった事を喜ぶ。全身にドラゴンの血を浴びて気持ちが悪いがそれどころでは無かったのだ。この部屋の事は気になるが落ちてきた穴を登って出口まで行かないといけないと思うと憂鬱になる。騎士団試験の途中だと完全に忘れいた。かなりの時間ロスをしたが、この部屋の事を伝えて試験官を説得するしかないか…
「はぁ・・そろそろ行くか」
疲れた体を引きずる様に入口に向かうとするとー
「神珠が力を貸したとは言え、見事だった。」
突然、頭の中に声が響いた。まさかと思いドラゴンを見ると身体から光の粒子が出て来ていた。この世界のモンスターは死ぬと体が消え魔石になる。消える前に皮など剥げば残るのだが今の俺にそんな体力は無かったのだ。それよりも光の粒子が出始めていると言う事は死んでいると言うことなのだが?
「・・まだ生きてるのか?」
俺はまさかの可能性を口にしたところ意外にも回答が返ってきた。
「否、我は滅びた。我の血を大量に浴びた御主に、我の魔力が宿り短い間だけ精神に語り掛ける事が出来たのだ」
「最後に何か言いたいことでもあるのか?」
「そうだ、我は御主に伝えたい事がある。最後の我の我儘を聞いて欲しい・・」
全く、問答無用で襲って来た癖に・・とは思ったが、出会いの時に言ったドラゴンの言葉が気になったのだ。
「時間が無いなら早く言え、俺もお前に聞きたい事がある」
「感謝する。これから話す事はお主の問い掛けにも関わるだろう。我と精神で話せるのもあやつ・・・にも予想外の出来事の筈だからな。我もあやつを出し抜けて、とても気分が良いのだ。例え、我がお主に倒される事も仕組まれていたとしても・・今後、お主があやつの存在を知っている・・・・・事が強みになるだろう。」
「お前の言うあやつ・・・とは誰なんだ?」
ドラゴンの口調から好意的な印象を受けないが、これだけ力のある者から嫌悪される存在って…
「・・・神を退けた者だ」
はぁ?神?神様っているの?そう言えばそんな事言ってたな!俺が転生したのに記憶を失い、特別なチートスキルなど授けてくれなかったのは、既に殺されたから!?
「あやつに名は無い。急に現れ、神を退け神の玉座に居座ったのだ。神は死ぬ事は無いが力を奪われ封印されている。神の眷属であった我も主を失い、奴の奴隷となってしまったのだ」
ゴクリッ
「俺の手に負える話では無い・・な」
神様を倒した奴に勝てる訳がない。そいつが世界を滅ぼすとか考えなければ・・
「奴の考えはわからない。ただ奴は神の真似事が好きで、気に入った人間に近付き、時には肉親を操り、時には夢で進むべき道を示し、時には予言と言う神託を下し、自分の描いた未来に誘導しその過程を楽しむ癖がある」
「それって神様その者じゃねーか!」
「神とは自然と一緒なのだ。どんな時でも温かく見守り、時に優しく時には厳しくする者なのだ。あやつはもし気に入った人間がいて英雄にしたいと思った時は、裏で手を廻し、敵を弱らせ勝利しやすくする。本人は気付かずに自分の力だと思いそのまま作られたレールを歩きながら進んで行くのだ。本来、未来とは自ら進み掴み取るものだろう。決して他人に与えられる物ではない!」
俺はドラゴンの言葉に何も言えなかった・・
「まさか神珠が力を貸すとは・・身体が動かん!」
ドラゴンの呟きに俺は剣を構える。兎に角、今がチャンスだ!これを逃すと死ぬ!!!
「何だかわからないが行くぞ!」
俺は動きの悪いドラゴンに向かって駆け出した。ドラゴンはブレスを吐こうとしたが動作が遅く、先に斬りかかる事が出来た。
「喰らえ!!!!」
先ほどと同じく全力で斬りかかった!
ザシュ!
今度は簡単にドラゴンの鱗が引き裂かれ、肩から斜めに深く剣が刺さった。
「グギャャーー!!!」
ドラゴンの断末魔が響く!
「切れた・・?」
切った俺も一瞬、呆けてしまった。ドラゴンの体調が悪くなったとは言え、ここまで剣がバターを切るように入ると思わなかったからだ。すぐに我に戻ると剣を抜き距離を取る。傷が深いせいかドラゴンはその場で痛みを堪える様にうずくまるが、顔を上げて俺から視線を逸らそうとはしない。まだ諦めていない証拠だ。
「これで最後だ!」
俺はもう一度全力で斬りかかった!今度は先にドラゴンがブレスを吐いた。しかし、先ほどより威力は無く、スピードも遅かった。俺は、斜めに飛びながら炎を避け、懐に飛び込むと剣を突き刺した。
「グフッ…」
胴体に剣を全体重を乗せ根本まで差し込むとドラゴンは倒れ動かなくなった。
「はぁはぁ・・終わったのか?」
ドラゴンが動かなくなり、注意深く見守ってからその場に座り込んだ。
「死ぬかと思った・・」
肩で息をしながら命が助かった事を喜ぶ。全身にドラゴンの血を浴びて気持ちが悪いがそれどころでは無かったのだ。この部屋の事は気になるが落ちてきた穴を登って出口まで行かないといけないと思うと憂鬱になる。騎士団試験の途中だと完全に忘れいた。かなりの時間ロスをしたが、この部屋の事を伝えて試験官を説得するしかないか…
「はぁ・・そろそろ行くか」
疲れた体を引きずる様に入口に向かうとするとー
「神珠が力を貸したとは言え、見事だった。」
突然、頭の中に声が響いた。まさかと思いドラゴンを見ると身体から光の粒子が出て来ていた。この世界のモンスターは死ぬと体が消え魔石になる。消える前に皮など剥げば残るのだが今の俺にそんな体力は無かったのだ。それよりも光の粒子が出始めていると言う事は死んでいると言うことなのだが?
「・・まだ生きてるのか?」
俺はまさかの可能性を口にしたところ意外にも回答が返ってきた。
「否、我は滅びた。我の血を大量に浴びた御主に、我の魔力が宿り短い間だけ精神に語り掛ける事が出来たのだ」
「最後に何か言いたいことでもあるのか?」
「そうだ、我は御主に伝えたい事がある。最後の我の我儘を聞いて欲しい・・」
全く、問答無用で襲って来た癖に・・とは思ったが、出会いの時に言ったドラゴンの言葉が気になったのだ。
「時間が無いなら早く言え、俺もお前に聞きたい事がある」
「感謝する。これから話す事はお主の問い掛けにも関わるだろう。我と精神で話せるのもあやつ・・・にも予想外の出来事の筈だからな。我もあやつを出し抜けて、とても気分が良いのだ。例え、我がお主に倒される事も仕組まれていたとしても・・今後、お主があやつの存在を知っている・・・・・事が強みになるだろう。」
「お前の言うあやつ・・・とは誰なんだ?」
ドラゴンの口調から好意的な印象を受けないが、これだけ力のある者から嫌悪される存在って…
「・・・神を退けた者だ」
はぁ?神?神様っているの?そう言えばそんな事言ってたな!俺が転生したのに記憶を失い、特別なチートスキルなど授けてくれなかったのは、既に殺されたから!?
「あやつに名は無い。急に現れ、神を退け神の玉座に居座ったのだ。神は死ぬ事は無いが力を奪われ封印されている。神の眷属であった我も主を失い、奴の奴隷となってしまったのだ」
ゴクリッ
「俺の手に負える話では無い・・な」
神様を倒した奴に勝てる訳がない。そいつが世界を滅ぼすとか考えなければ・・
「奴の考えはわからない。ただ奴は神の真似事が好きで、気に入った人間に近付き、時には肉親を操り、時には夢で進むべき道を示し、時には予言と言う神託を下し、自分の描いた未来に誘導しその過程を楽しむ癖がある」
「それって神様その者じゃねーか!」
「神とは自然と一緒なのだ。どんな時でも温かく見守り、時に優しく時には厳しくする者なのだ。あやつはもし気に入った人間がいて英雄にしたいと思った時は、裏で手を廻し、敵を弱らせ勝利しやすくする。本人は気付かずに自分の力だと思いそのまま作られたレールを歩きながら進んで行くのだ。本来、未来とは自ら進み掴み取るものだろう。決して他人に与えられる物ではない!」
俺はドラゴンの言葉に何も言えなかった・・
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