47 / 84
4章:クロスロード公国
隣国へ
しおりを挟む
「ラインハルトよ、ワシは今回の戦いで魔王との決着を願っている。前回、なぜ完全に滅することが出来なかったのか?それを勇者の隠れ里の村長に調べて貰っていた」
!?
「そんな話は初耳ですよ!」
「すまぬ。これはワシが弟を守ってやれなかった贖罪の為に勝手に動いたのだ。お前には迷惑を掛けたくなかったのだ」
「水くさいですよ。妹のアイラが勇者の隠れ里に嫁いだ時から打診していたのですね?」
「………流石じゃな。その通りじゃ。完全ではないが一部の碑文を解き明かして、定期的に情報を貰っておった。だが、今わかっている事は、魔王を倒す為に勇者の仲間の命を犠牲にしなければならなかったのと、魔王にはどうやら『心臓』が『2つ』あるみたいなのだ」
国王のラインハルトは驚いた。それが本当なら物凄い情報である。
「もしそれが本当なら凄い情報ですね。それをシオンに伝えなくて宜しいのですか?」
「正直、迷っておる。魔王の心臓の事は明日の出発の時に伝えるが、魔王を滅する為に仲間の命を犠牲にする事が必要なのかという事はのぅ?」
「しかし、それはその時の場合であって、何かしらの魔法などの触媒に命が必要なのかわからないですよね?」
元国王は顎に手を置いて答えた。
「うむ、勇者の隠れ里にあった碑文を完全に読み解いた訳ではないからのぅ。この事実はもう少し判明してから伝えても良いかも知れんな」
碑文は隠されており、あの魔王軍襲撃の後も確認が取れている。解読を行っていた者も無事なので、引き続き調査はできるだろう。
ここで1度話を区切り、別の話を切り出した。
「それで、今回の事実は各国へ包み隠さず連絡することで宜しいですか?」
「そうじゃな、勇者の隠れ里の襲撃と大賢者アイラの石化………そして魔王軍の第3軍に壊滅的ダメージを与えたことは細かく伝えるのが良いじゃろう。下手に隠してもすぐにバレる。ただ─」
「シオン………勇者と聖剣の事は秘密にすると?」
元国王グランハルトは眼を細めて続けた。
「そうじゃ、各国一枚岩ではない。できる限り、シオン達の事は隠して置きたい。そして、紹介状を手に順番にその存在を伝えていけば良いと考えておる」
「下手に目を付けられるよりはいいですね。隣国クロスロード公国は信用出来ますが、北の国は心配ですからね」
二人は少しでもシオンの負担を減らせるように夜遅くまで話し合うのだった。
・
・
・
・
・
・
・
次の日
「では、気を付けてな」
「大勢で見送れずすまないのぅ」
国王様達自身のお見送りに、シオンは逆に恐縮していた。
「いいえ、これで十分です。それと、軍資金や装備をありがとうございました」
「僕は大公バランさんの形見を頂いて本当にありがとうございます」
シオン達は深く頭を下げた。
「これくらいしか出来なくて申し訳ない。それグレン君、その弟の形見は貸すだけじゃぞ?」
!?
「えっ、あ!すみません!!!」
「ふぉふぉふぉ、気にしなくてよい。………だから必ず返しに戻って来なさい」
ここでグレンも気付いた。無事に戻ってくるようにというメッセージに。
「はい!必ず返しに戻ってきます!」
「短い間でしたがお世話になりました」
「ああ、無事に魔王を倒して戻ってきて欲しい」
「魔王の情報ありがとうございました!必ず倒してきます!」
こうしてシオン達は隣国クロスロード公国へと旅立つのだった。
!?
「そんな話は初耳ですよ!」
「すまぬ。これはワシが弟を守ってやれなかった贖罪の為に勝手に動いたのだ。お前には迷惑を掛けたくなかったのだ」
「水くさいですよ。妹のアイラが勇者の隠れ里に嫁いだ時から打診していたのですね?」
「………流石じゃな。その通りじゃ。完全ではないが一部の碑文を解き明かして、定期的に情報を貰っておった。だが、今わかっている事は、魔王を倒す為に勇者の仲間の命を犠牲にしなければならなかったのと、魔王にはどうやら『心臓』が『2つ』あるみたいなのだ」
国王のラインハルトは驚いた。それが本当なら物凄い情報である。
「もしそれが本当なら凄い情報ですね。それをシオンに伝えなくて宜しいのですか?」
「正直、迷っておる。魔王の心臓の事は明日の出発の時に伝えるが、魔王を滅する為に仲間の命を犠牲にする事が必要なのかという事はのぅ?」
「しかし、それはその時の場合であって、何かしらの魔法などの触媒に命が必要なのかわからないですよね?」
元国王は顎に手を置いて答えた。
「うむ、勇者の隠れ里にあった碑文を完全に読み解いた訳ではないからのぅ。この事実はもう少し判明してから伝えても良いかも知れんな」
碑文は隠されており、あの魔王軍襲撃の後も確認が取れている。解読を行っていた者も無事なので、引き続き調査はできるだろう。
ここで1度話を区切り、別の話を切り出した。
「それで、今回の事実は各国へ包み隠さず連絡することで宜しいですか?」
「そうじゃな、勇者の隠れ里の襲撃と大賢者アイラの石化………そして魔王軍の第3軍に壊滅的ダメージを与えたことは細かく伝えるのが良いじゃろう。下手に隠してもすぐにバレる。ただ─」
「シオン………勇者と聖剣の事は秘密にすると?」
元国王グランハルトは眼を細めて続けた。
「そうじゃ、各国一枚岩ではない。できる限り、シオン達の事は隠して置きたい。そして、紹介状を手に順番にその存在を伝えていけば良いと考えておる」
「下手に目を付けられるよりはいいですね。隣国クロスロード公国は信用出来ますが、北の国は心配ですからね」
二人は少しでもシオンの負担を減らせるように夜遅くまで話し合うのだった。
・
・
・
・
・
・
・
次の日
「では、気を付けてな」
「大勢で見送れずすまないのぅ」
国王様達自身のお見送りに、シオンは逆に恐縮していた。
「いいえ、これで十分です。それと、軍資金や装備をありがとうございました」
「僕は大公バランさんの形見を頂いて本当にありがとうございます」
シオン達は深く頭を下げた。
「これくらいしか出来なくて申し訳ない。それグレン君、その弟の形見は貸すだけじゃぞ?」
!?
「えっ、あ!すみません!!!」
「ふぉふぉふぉ、気にしなくてよい。………だから必ず返しに戻って来なさい」
ここでグレンも気付いた。無事に戻ってくるようにというメッセージに。
「はい!必ず返しに戻ってきます!」
「短い間でしたがお世話になりました」
「ああ、無事に魔王を倒して戻ってきて欲しい」
「魔王の情報ありがとうございました!必ず倒してきます!」
こうしてシオン達は隣国クロスロード公国へと旅立つのだった。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる