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3章:アーティファクト
過去の出来事…………
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シオン達が村にたどり着くと日が落ちそうな時間であった。
「なんとかたどり着いたな」
「ええ、でも不思議ね。ここからでも廃墟になった都市の『城壁』が見える距離なのに、どうして都市を復興させないのかしら?」
新しく村や街を作るより、まだ原型のある都市を開拓し直した方がいいだろうに。
村に着くと、入口に誰か立っていた。
「おーい!貴方がシオンさんですか?」
グレンと同じく赤毛の女の子だった。
「ええ、そうだけどどうして私達の事を?」
「国の騎士さんが来て、この後来るシオンって方に都市の事を詳しく教えて欲しいって言われたの」
ふむ、どうやら国王様達は伝令を飛ばしてくれてたみたいだ。
「そうなんだ。それじゃお願いしていいかな?」
「うん!じゃ、村長の家に行きましょう。私はルビーって言うの、よろしくね♪」
私と同じくらいの女の子だよ。同性の女の子なんて余り話した事がないから、ちょっと戸惑った。
「よろしくね」
ルビーに連れられて少し大きめの家に着きました。
「どうも、お話は伺っております。村長のクラマと申します」
小柄な老人が挨拶してきました。私達も頭を下げて都市の事を伺いました。
「まず、50年ほど前に魔王軍が攻めてきた時の事を話ましょう。私は大公に仕える家臣の1人でした。攻めてきた魔王軍は当時最強と言われていた第一軍の『龍王軍』で率いる魔将軍は【ディザスター】と呼ばれていたドラゴニュートでした。大公のバラン様と共に戦いました」
うわぁ~龍王軍って災害のようなものよね。
1体でも強力な魔物だし!
「しかし、ご存知の通り強力な龍の軍勢に城壁を破壊され、援軍も間に合わず絶体絶命の危機に晒されました。魔将軍が単騎で、火のアーティファクトを奉ってあった地下聖堂に乗り込んできたときでした。大公とその精鋭の近衛騎士団が戦いましたが、とても敵わず次々と倒されていきました。そして最後に残ったのは大公とその奥方様と私の3人になりました」
「えっ、大公の奥様も戦ったの!?」
「ええ、私は攻撃魔法担当で、奥方様は回復魔法が得意でした」
ここで1度お茶を飲み、喉を潤してから続けた。
「残った我々は、最後の特攻をしようとした時、僅かなスキを突かれて奥方様が討たれました。私は魔法で魔将軍を牽制して動きを少しの間止めました。大公は奥方様の亡骸を抱えて涙を流しながら叫んだのです。それは怨嗟だったのか、怒り悲しみからだったのかわかりません。その時、火のアーティファクトが光だし、奥方様の亡骸が炎に包まれました………」
ごくりっ、誰かの喉がなった。
「正直、その後の事は良く覚えていないのです。最後に奥方様が【炎の天使】に変わり、魔将軍に向かって行った所で、大公は私に脱出の魔法を掛けて都市の郊外に飛ばしました。その後、都市全体が炎に包まれ、魔王軍だけではなく、都市で戦っていた仲間ごと炎に焼かれて亡くなりました」
思った以上にヘビィーな話でした。
「なんとかたどり着いたな」
「ええ、でも不思議ね。ここからでも廃墟になった都市の『城壁』が見える距離なのに、どうして都市を復興させないのかしら?」
新しく村や街を作るより、まだ原型のある都市を開拓し直した方がいいだろうに。
村に着くと、入口に誰か立っていた。
「おーい!貴方がシオンさんですか?」
グレンと同じく赤毛の女の子だった。
「ええ、そうだけどどうして私達の事を?」
「国の騎士さんが来て、この後来るシオンって方に都市の事を詳しく教えて欲しいって言われたの」
ふむ、どうやら国王様達は伝令を飛ばしてくれてたみたいだ。
「そうなんだ。それじゃお願いしていいかな?」
「うん!じゃ、村長の家に行きましょう。私はルビーって言うの、よろしくね♪」
私と同じくらいの女の子だよ。同性の女の子なんて余り話した事がないから、ちょっと戸惑った。
「よろしくね」
ルビーに連れられて少し大きめの家に着きました。
「どうも、お話は伺っております。村長のクラマと申します」
小柄な老人が挨拶してきました。私達も頭を下げて都市の事を伺いました。
「まず、50年ほど前に魔王軍が攻めてきた時の事を話ましょう。私は大公に仕える家臣の1人でした。攻めてきた魔王軍は当時最強と言われていた第一軍の『龍王軍』で率いる魔将軍は【ディザスター】と呼ばれていたドラゴニュートでした。大公のバラン様と共に戦いました」
うわぁ~龍王軍って災害のようなものよね。
1体でも強力な魔物だし!
「しかし、ご存知の通り強力な龍の軍勢に城壁を破壊され、援軍も間に合わず絶体絶命の危機に晒されました。魔将軍が単騎で、火のアーティファクトを奉ってあった地下聖堂に乗り込んできたときでした。大公とその精鋭の近衛騎士団が戦いましたが、とても敵わず次々と倒されていきました。そして最後に残ったのは大公とその奥方様と私の3人になりました」
「えっ、大公の奥様も戦ったの!?」
「ええ、私は攻撃魔法担当で、奥方様は回復魔法が得意でした」
ここで1度お茶を飲み、喉を潤してから続けた。
「残った我々は、最後の特攻をしようとした時、僅かなスキを突かれて奥方様が討たれました。私は魔法で魔将軍を牽制して動きを少しの間止めました。大公は奥方様の亡骸を抱えて涙を流しながら叫んだのです。それは怨嗟だったのか、怒り悲しみからだったのかわかりません。その時、火のアーティファクトが光だし、奥方様の亡骸が炎に包まれました………」
ごくりっ、誰かの喉がなった。
「正直、その後の事は良く覚えていないのです。最後に奥方様が【炎の天使】に変わり、魔将軍に向かって行った所で、大公は私に脱出の魔法を掛けて都市の郊外に飛ばしました。その後、都市全体が炎に包まれ、魔王軍だけではなく、都市で戦っていた仲間ごと炎に焼かれて亡くなりました」
思った以上にヘビィーな話でした。
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