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2章:旅立ち!
北へ行こう!
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シオン達は今後に付いて話し合った。
「早くここを離れた方が良いわね。すぐに魔王軍がやってくるわ。せっかく救ってもらったのに、このまま捕まったら意味がないわ」
シオンの言葉にアークが首を振った。
「いや、逆にここは安全になったようだぞ?君の母、賢者アイラだったか?彼女が放った聖属性魔法『聖なる審判』は落ちた地域を強力な聖属性の土地に変えるんだ。魔王軍は魔将軍でもここに来ることはできないだろう」
「そうなの!?」
「ああ、ここは聖なる力で満ちているのがわかる。対魔族用の魔法なだけあるな。本来なら術者の身体が負荷に耐えきれず、自分の命と引き換えに放つ技なんだが………」
石像になったアイラを見てアークは言った。
「まさか、石化した身体を逆手に取って使うなんてな。君の母親に助けられたよ」
『本当に、憎しみで満ちた俺の心まで救ってくれたなんてな。凄い人だった』
「私のお母さんだもん!そういう所はちゃっかりしているわ。でもここが大丈夫ならお願い手伝って!亡くなったお爺ちゃんとお婆ちゃんを弔いたいの………」
アークとグレンは頷くと、1日掛かりで20人以上の老人達を近く墓地に埋めて弔なった。
シオン達はそのまま隠れ里で一泊して、早朝になると、家から必要な物を収納袋に入れて旅立つ事にした。
「シオン、もう良いのか?」
石像になったアイラを家の中に入れたシオンは行ってきますと言って家を出たのだった。
「さて、昨日話し合った通り村のみんなが避難した南の辺境の街ライザに向かうぞ」
「そうだね。取り敢えず村が無事である事を伝えないとね」
アークとシオンが話しているとグレンがやってきた。
「おーい!」
「グレン!遅いぞ!」
グレンは手に手紙を持っていた。
「何それ?」
「村長の遺書だ」
!?
「村長さん…………」
グレンは歩きながら話すと言って、シオン達は長年暮らした隠れ里を出て辺境の街へと向かうのだった。
「それで、遺書には何が書かれていたの?」
遺書には長老達の行っていた蛇炎龍王の召還と盟約について書かれていた。
「あの遠くからでも見えた火柱はその蛇炎龍王っていう超強力な幻獣のせいだったんだ!?」
「本当に隠れ里の住人には驚かされるな。まさか100年前からそんな幻獣と盟約を結んでいたとはな」
アークは顎に手を当てながら考え込む仕草をした。
「最悪、また呼ぶことが出来れば魔王も倒せるかもな」
グレンはあっけらかんとした風に言うのだった。
・
・
・
・
・
・
・
少し時間が遡る─
アイラが聖なる審判を使った後の事だった。
「クソッ………礼は言わんぞシェイドデス」
『別に貴方を失っては私が魔王様に怒られるから助けたまでですよ』
シェイドデスの特殊能力であった短距離転移で、キングレオと一緒にワープして直撃を免れたのだった。
「しかし、最後の最後でなんという魔法を放ったんだ。ここからでも聖属性の魔力を感じて肌がヒリヒリするぞ」
『ええ、ここはアイラを仕留めた事で満足して、撤退するべきですね。この大賢者が勇者と出会い魔王様討伐の仲間になっていたかと思うと、冷や汗がでますよ』
キングレオもシェイドデスの言葉に賛成だった。これ程の力を持つ者が居なくなっただけでも良しとするべきだろう。
何より、賢者アイラより勇者の隠れ里の老人達に師団が手痛いダメージを受けたため、しばらくは軍備の増強に勤めなければならなかった。
「………さすがは勇者の隠れ里だったと言うべきか」
もし、他の村人が逃げずに戦いを挑んできたら、間違いなく自分の師団は壊滅して、シェイドデスの助けがあって辛うじて勝利していたぐらいだった。今回は勇者の隠れ里の奴らが犠牲を嫌って避難した事が幸いした。
キングレオの胸には『愛』の文字が焼き印の用に刻まれて屈辱に震えるのだった。
「早くここを離れた方が良いわね。すぐに魔王軍がやってくるわ。せっかく救ってもらったのに、このまま捕まったら意味がないわ」
シオンの言葉にアークが首を振った。
「いや、逆にここは安全になったようだぞ?君の母、賢者アイラだったか?彼女が放った聖属性魔法『聖なる審判』は落ちた地域を強力な聖属性の土地に変えるんだ。魔王軍は魔将軍でもここに来ることはできないだろう」
「そうなの!?」
「ああ、ここは聖なる力で満ちているのがわかる。対魔族用の魔法なだけあるな。本来なら術者の身体が負荷に耐えきれず、自分の命と引き換えに放つ技なんだが………」
石像になったアイラを見てアークは言った。
「まさか、石化した身体を逆手に取って使うなんてな。君の母親に助けられたよ」
『本当に、憎しみで満ちた俺の心まで救ってくれたなんてな。凄い人だった』
「私のお母さんだもん!そういう所はちゃっかりしているわ。でもここが大丈夫ならお願い手伝って!亡くなったお爺ちゃんとお婆ちゃんを弔いたいの………」
アークとグレンは頷くと、1日掛かりで20人以上の老人達を近く墓地に埋めて弔なった。
シオン達はそのまま隠れ里で一泊して、早朝になると、家から必要な物を収納袋に入れて旅立つ事にした。
「シオン、もう良いのか?」
石像になったアイラを家の中に入れたシオンは行ってきますと言って家を出たのだった。
「さて、昨日話し合った通り村のみんなが避難した南の辺境の街ライザに向かうぞ」
「そうだね。取り敢えず村が無事である事を伝えないとね」
アークとシオンが話しているとグレンがやってきた。
「おーい!」
「グレン!遅いぞ!」
グレンは手に手紙を持っていた。
「何それ?」
「村長の遺書だ」
!?
「村長さん…………」
グレンは歩きながら話すと言って、シオン達は長年暮らした隠れ里を出て辺境の街へと向かうのだった。
「それで、遺書には何が書かれていたの?」
遺書には長老達の行っていた蛇炎龍王の召還と盟約について書かれていた。
「あの遠くからでも見えた火柱はその蛇炎龍王っていう超強力な幻獣のせいだったんだ!?」
「本当に隠れ里の住人には驚かされるな。まさか100年前からそんな幻獣と盟約を結んでいたとはな」
アークは顎に手を当てながら考え込む仕草をした。
「最悪、また呼ぶことが出来れば魔王も倒せるかもな」
グレンはあっけらかんとした風に言うのだった。
・
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少し時間が遡る─
アイラが聖なる審判を使った後の事だった。
「クソッ………礼は言わんぞシェイドデス」
『別に貴方を失っては私が魔王様に怒られるから助けたまでですよ』
シェイドデスの特殊能力であった短距離転移で、キングレオと一緒にワープして直撃を免れたのだった。
「しかし、最後の最後でなんという魔法を放ったんだ。ここからでも聖属性の魔力を感じて肌がヒリヒリするぞ」
『ええ、ここはアイラを仕留めた事で満足して、撤退するべきですね。この大賢者が勇者と出会い魔王様討伐の仲間になっていたかと思うと、冷や汗がでますよ』
キングレオもシェイドデスの言葉に賛成だった。これ程の力を持つ者が居なくなっただけでも良しとするべきだろう。
何より、賢者アイラより勇者の隠れ里の老人達に師団が手痛いダメージを受けたため、しばらくは軍備の増強に勤めなければならなかった。
「………さすがは勇者の隠れ里だったと言うべきか」
もし、他の村人が逃げずに戦いを挑んできたら、間違いなく自分の師団は壊滅して、シェイドデスの助けがあって辛うじて勝利していたぐらいだった。今回は勇者の隠れ里の奴らが犠牲を嫌って避難した事が幸いした。
キングレオの胸には『愛』の文字が焼き印の用に刻まれて屈辱に震えるのだった。
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