封印されし聖剣戦記!~幻のアーティファクトを求めて~

naturalsoft

文字の大きさ
上 下
17 / 84
2章:旅立ち!

北へ行こう!

しおりを挟む
シオン達は今後に付いて話し合った。

「早くここを離れた方が良いわね。すぐに魔王軍がやってくるわ。せっかく救ってもらったのに、このまま捕まったら意味がないわ」

シオンの言葉にアークが首を振った。

「いや、逆にここは安全になったようだぞ?君の母、賢者アイラだったか?彼女が放った聖属性魔法『聖なる審判』は落ちた地域を強力な聖属性の土地に変えるんだ。魔王軍は魔将軍でもここに来ることはできないだろう」
「そうなの!?」

「ああ、ここは聖なる力で満ちているのがわかる。対魔族用の魔法なだけあるな。本来なら術者の身体が負荷に耐えきれず、自分の命と引き換えに放つ技なんだが………」

石像になったアイラを見てアークは言った。

「まさか、石化した身体を逆手に取って使うなんてな。君の母親に助けられたよ」
『本当に、憎しみで満ちた俺の心まで救ってくれたなんてな。凄い人だった』

「私のお母さんだもん!そういう所はちゃっかりしているわ。でもここが大丈夫ならお願い手伝って!亡くなったお爺ちゃんとお婆ちゃんを弔いたいの………」

アークとグレンは頷くと、1日掛かりで20人以上の老人達を近く墓地に埋めて弔なった。

シオン達はそのまま隠れ里で一泊して、早朝になると、家から必要な物を収納袋に入れて旅立つ事にした。

「シオン、もう良いのか?」

石像になったアイラを家の中に入れたシオンは行ってきますと言って家を出たのだった。

「さて、昨日話し合った通り村のみんなが避難した南の辺境の街ライザに向かうぞ」
「そうだね。取り敢えず村が無事である事を伝えないとね」

アークとシオンが話しているとグレンがやってきた。

「おーい!」
「グレン!遅いぞ!」

グレンは手に手紙を持っていた。

「何それ?」
「村長の遺書だ」

!?

「村長さん…………」

グレンは歩きながら話すと言って、シオン達は長年暮らした隠れ里を出て辺境の街へと向かうのだった。

「それで、遺書には何が書かれていたの?」

遺書には長老達の行っていた蛇炎龍王の召還と盟約について書かれていた。

「あの遠くからでも見えた火柱はその蛇炎龍王っていう超強力な幻獣のせいだったんだ!?」
「本当に隠れ里の住人には驚かされるな。まさか100年前からそんな幻獣と盟約を結んでいたとはな」

アークは顎に手を当てながら考え込む仕草をした。

「最悪、また呼ぶことが出来れば魔王も倒せるかもな」

グレンはあっけらかんとした風に言うのだった。









少し時間が遡る─

アイラが聖なる審判を使った後の事だった。

「クソッ………礼は言わんぞシェイドデス」
『別に貴方を失っては私が魔王様に怒られるから助けたまでですよ』

シェイドデスの特殊能力であった短距離転移で、キングレオと一緒にワープして直撃を免れたのだった。

「しかし、最後の最後でなんという魔法を放ったんだ。ここからでも聖属性の魔力を感じて肌がヒリヒリするぞ」
『ええ、ここはアイラを仕留めた事で満足して、撤退するべきですね。この大賢者が勇者と出会い魔王様討伐の仲間になっていたかと思うと、冷や汗がでますよ』

キングレオもシェイドデスの言葉に賛成だった。これ程の力を持つ者が居なくなっただけでも良しとするべきだろう。
何より、賢者アイラより勇者の隠れ里の老人達に師団が手痛いダメージを受けたため、しばらくは軍備の増強に勤めなければならなかった。

「………さすがは勇者の隠れ里だったと言うべきか」

もし、他の村人が逃げずに戦いを挑んできたら、間違いなく自分の師団は壊滅して、シェイドデスの助けがあって辛うじて勝利していたぐらいだった。今回は勇者の隠れ里の奴らが犠牲を嫌って避難した事が幸いした。

キングレオの胸には『愛』の文字が焼き印の用に刻まれて屈辱に震えるのだった。


しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

貞操逆転世界の男教師

やまいし
ファンタジー
貞操逆転世界に転生した男が世界初の男性教師として働く話。

処理中です...