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積もる話と事後処理と─
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シオン達が世界樹から戻って休んでいる時に、幾つかの決まりごとを決めた。
シルフィードがクイーン・アントに喰われて1度死んだ事は伏せられ、魔王軍の四天王に捕らわれていた事に留めた。世界樹が狙われていたが、四大精霊シルフィードが捕らわれていても、力を使いそれを防いでいたと発表する事になった。
突然の発表に驚く市民だったが、長年姿を現さなかった四大精霊のシルフィードが現れたことで信じざる負えなかった。人知れず世界樹を救ってくれていた四大精霊に感謝するお祭りが開催される事になった。
「あらあら、先を越されたわね」
お城に滞在していたレイラ夫人が少し残念そうに呟いた。
「リュミナス王国でも四大精霊の感謝祭をするの?」
「ええ、それはもう建国祭以上に盛大にするよう働き掛けるつもりよ♪毎年ね!」
シオンの問い掛けに、負けていられないわ!という感じでレイラは答えた。
「それにしても、地下では緊急時だったから気にしなかったけど、シオンは凄いわね。四大精霊の3柱と契約するなんて?どうなっているのかしら?」
同じ年齢っぽい外見とは裏腹に、シルフィードは気品あるしぐさで紅茶を飲んでいた。
「シルフィよ、我々の契約者シオンはレベルをカンストして前代未聞の99レベルなのじゃ」
「えっ!?」
「そうそう、この子に常識は通用しないわよ?気にするだけ無駄よ」
ノームはシルフィードを背中から抱き付いた。
「ちょっと…………!?」
ボイーン!ノーム胸に埋もれるシルフィード。
ムカッ
「やめてよ。何よ!ボインボインさせちゃって!こんな姿になった私に対して嫌味のつもり?」
「あははは、シルフィも何?そんなペッタンペッタンさせちゃって。前も変わらないんじゃなかったっけ?」
ぶちっ!
「キッ!ナニカイッタカシラ?」
ブルブル!シルフィードに胸の事は禁句みたいだ。
「そういえば私もシルフィって呼んでもいいかな?そっちの方が呼びやすいし」
「ええ、いいわよ♪親しい人からそう呼ばれているしね。ああ、ノームはシルフィード様と呼びなさい」
「なんでだよ!」
なんだかんだで仲が良さそうな二人であった。
「でも、ノームも長年に渡り石になっていたんでしょう?下手をしたら私の様になっていたかも知れないんだから、気をつけなさいよ!」
シルフィードはそういうと、ノームから視線を反らして、残りの紅茶を飲み始めた。
「ああっ!シルフィはツンデレさんなんだ!」
ぶっーーー!!!!
盛大に紅茶を吹き出すシルフィードであった。
・
・
・
・
・
・
「祭りは明日から開催だってさ」
「早く帰りたいけど主役がいないとね」
そういうが、すでに転移で戻って事の顛末は各王様に伝えてあった。四大精霊が死ぬ事に、王様達は酷く驚き動揺したが、その事実は秘匿される事になった。
「う~ん…………やっぱりダメか~」
1日暇になったシオンは、亜人のお城の裏手にある兵士の訓練所に来ていた。
「それはそうよ。水や土、植物と違って風魔法でゴーレムを造るなんて不可能でしょう?」
シオンの実験に付き合っているノームが答えた。
「せっかくシルフィと契約して風魔法が使えるようになったのになー!なんか便利な魔法とか知らない?」
う~んと悩んでいると、ノームとシオンの監視役としてシルフィードが様子を見に来た。
「それならレビテーションの魔法でも覚えてみる?」
「どんな魔法なの?」
シルフィードは説明より先に実演してみた。
「おおっ!浮いてる!浮遊魔法なんだね!便利そうだよ♪」
こうしてシオンは浮遊魔法を覚えたのだった。
「えっ?ノームも浮遊魔法が使えるの?」
「ええ、系統は違うけど、土属性は重力を操れるからその応用でね」
こうして実りある1日が過ぎて行くのであった。
「それにしても料理もだいぶん変わってきたわね」
夕食を食べているとシルフィードがそんな事を言ってきた。四大精霊は食べなくても生きていけるが、食べられない訳ではないのだ。
「ここの料理は香辛料を使ったピリ辛な味付けが多いわね。王国では余り辛い料理はありませんでしたので斬新です」
「でも美味しいよ♪それに料理といえばシオンだからね!」
レイラ夫人とノームはシオンを見た。
ガツガツッ
「モグモグ………どったの?」
食事に夢中だったシオンは首を傾げた。
こらこら口に物を入れてしゃべらないの!
「シオンが一流の料理人って話よ。今度、戻ったらシルフィにも食べさせてよ」
「了解だよ~!」
和やかな夕食が終わり後日、精霊感謝祭は大いに盛り上がり終了したのだった。
シオン達は表向きは船で帰ることになったが、人知れず転移で帰るのであった。
「ただいまー!」
【世界樹編】『完』
また一週間ほどお休みを頂いて、書き溜めます。
シルフィードがクイーン・アントに喰われて1度死んだ事は伏せられ、魔王軍の四天王に捕らわれていた事に留めた。世界樹が狙われていたが、四大精霊シルフィードが捕らわれていても、力を使いそれを防いでいたと発表する事になった。
突然の発表に驚く市民だったが、長年姿を現さなかった四大精霊のシルフィードが現れたことで信じざる負えなかった。人知れず世界樹を救ってくれていた四大精霊に感謝するお祭りが開催される事になった。
「あらあら、先を越されたわね」
お城に滞在していたレイラ夫人が少し残念そうに呟いた。
「リュミナス王国でも四大精霊の感謝祭をするの?」
「ええ、それはもう建国祭以上に盛大にするよう働き掛けるつもりよ♪毎年ね!」
シオンの問い掛けに、負けていられないわ!という感じでレイラは答えた。
「それにしても、地下では緊急時だったから気にしなかったけど、シオンは凄いわね。四大精霊の3柱と契約するなんて?どうなっているのかしら?」
同じ年齢っぽい外見とは裏腹に、シルフィードは気品あるしぐさで紅茶を飲んでいた。
「シルフィよ、我々の契約者シオンはレベルをカンストして前代未聞の99レベルなのじゃ」
「えっ!?」
「そうそう、この子に常識は通用しないわよ?気にするだけ無駄よ」
ノームはシルフィードを背中から抱き付いた。
「ちょっと…………!?」
ボイーン!ノーム胸に埋もれるシルフィード。
ムカッ
「やめてよ。何よ!ボインボインさせちゃって!こんな姿になった私に対して嫌味のつもり?」
「あははは、シルフィも何?そんなペッタンペッタンさせちゃって。前も変わらないんじゃなかったっけ?」
ぶちっ!
「キッ!ナニカイッタカシラ?」
ブルブル!シルフィードに胸の事は禁句みたいだ。
「そういえば私もシルフィって呼んでもいいかな?そっちの方が呼びやすいし」
「ええ、いいわよ♪親しい人からそう呼ばれているしね。ああ、ノームはシルフィード様と呼びなさい」
「なんでだよ!」
なんだかんだで仲が良さそうな二人であった。
「でも、ノームも長年に渡り石になっていたんでしょう?下手をしたら私の様になっていたかも知れないんだから、気をつけなさいよ!」
シルフィードはそういうと、ノームから視線を反らして、残りの紅茶を飲み始めた。
「ああっ!シルフィはツンデレさんなんだ!」
ぶっーーー!!!!
盛大に紅茶を吹き出すシルフィードであった。
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「祭りは明日から開催だってさ」
「早く帰りたいけど主役がいないとね」
そういうが、すでに転移で戻って事の顛末は各王様に伝えてあった。四大精霊が死ぬ事に、王様達は酷く驚き動揺したが、その事実は秘匿される事になった。
「う~ん…………やっぱりダメか~」
1日暇になったシオンは、亜人のお城の裏手にある兵士の訓練所に来ていた。
「それはそうよ。水や土、植物と違って風魔法でゴーレムを造るなんて不可能でしょう?」
シオンの実験に付き合っているノームが答えた。
「せっかくシルフィと契約して風魔法が使えるようになったのになー!なんか便利な魔法とか知らない?」
う~んと悩んでいると、ノームとシオンの監視役としてシルフィードが様子を見に来た。
「それならレビテーションの魔法でも覚えてみる?」
「どんな魔法なの?」
シルフィードは説明より先に実演してみた。
「おおっ!浮いてる!浮遊魔法なんだね!便利そうだよ♪」
こうしてシオンは浮遊魔法を覚えたのだった。
「えっ?ノームも浮遊魔法が使えるの?」
「ええ、系統は違うけど、土属性は重力を操れるからその応用でね」
こうして実りある1日が過ぎて行くのであった。
「それにしても料理もだいぶん変わってきたわね」
夕食を食べているとシルフィードがそんな事を言ってきた。四大精霊は食べなくても生きていけるが、食べられない訳ではないのだ。
「ここの料理は香辛料を使ったピリ辛な味付けが多いわね。王国では余り辛い料理はありませんでしたので斬新です」
「でも美味しいよ♪それに料理といえばシオンだからね!」
レイラ夫人とノームはシオンを見た。
ガツガツッ
「モグモグ………どったの?」
食事に夢中だったシオンは首を傾げた。
こらこら口に物を入れてしゃべらないの!
「シオンが一流の料理人って話よ。今度、戻ったらシルフィにも食べさせてよ」
「了解だよ~!」
和やかな夕食が終わり後日、精霊感謝祭は大いに盛り上がり終了したのだった。
シオン達は表向きは船で帰ることになったが、人知れず転移で帰るのであった。
「ただいまー!」
【世界樹編】『完』
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