上 下
66 / 104

海に料理はないのよ?

しおりを挟む
海龍のリヴァイアサンを仲魔(魔物だから間違ってない!)にしたシオン達は、二手に別れる事になった。
体力の低下しているクリスを王都へ戻って療養させる為に帰還するのと、亜人連合へ使者として向かう者と別れる事になった。

「では私が亜人連合へと向かいますわ」

レイラ公爵婦人が手を挙げた。

「しかし、レイラだけと言うのは………」

国交の事を考えるなら王妃様を使者と向かわせた方が位は高いのだが、息子のクリスに付き添ってあげたいと思って使者を買ってでたのだ。

「なに、武装船が3隻付くしワシも一緒に行くからのぅ」

ギルド長のお爺ちゃんも付いていってくれるそうだ。ギルド長も数少ない転移の事を知る人間であるから安心だろう。

「私も一緒に行くわね!」

四大精霊のノームも行けば話が通り易いよね!
こうして海龍の騒ぎは終息したのでした。











「全然終息してないんですけど!?」

王都へ戻った時は大歓声が起こった。海の怪物である海龍を『倒した』事になったからだ。

「聞けーーーーい!!!今回、四大精霊殿の力を借りて海龍の討伐が成功した。しかも、ただ倒した訳ではなく、海龍を改心させ近隣の海の守り神とする事ができたのだ!これは有史以来の快挙である!我が息子クリスも無事に戻ってきた。自らを囮にして、多くの者を救ったクリスにも盛大な拍手を頼む!」

きゃーーーー!!!!!!
王子様ばんざーーーーい!!!!!
四大精霊様、最高です!!!!!

この日は盛大なお祭り騒ぎになった。

「これは…………騒がしいな」

海龍のリヴィは少し鬱陶しそうであった。

「ごめんね。明日には私の領地へ戻るからね。リヴィは騒がしいのは苦手?」
「うむ、海の底は静かだった。しかし、たまにはこういうのも悪くないな。人魚達などから陸の事は聞いていたしな」

そう言ってリヴィは目の前にあったワイングラスを持つと一気に飲んだ。

「ちょっ!?急に飲んで大丈夫?」

シオンが心配すると、リヴィは目を開いて叫んだ!

「この飲み物はなんだ!?こんな美味な物は初めて飲んだぞ!」

それからリヴィは料理もうまうまと豪快に食べ尽くした。
そう言えば、海龍の時って生魚を丸呑みしかしてなかったもんね。料理なんて初めて食べたんじゃないかな?

「まさか、地上の食べ物がここまで進化していたとは!?」

至福な顔でリヴィはワインボトルを抱えながら飲み潰れるのでした。着物が着崩れてエロいよ!?男子どもは見ちゃダメ!

翌日、転移で領地へ戻ったシオン達はシルクード領をリヴィに案内した。後ろからウンディーネが無言で付いてきたのは少し怖かった。

「ウンディーネ殿、何か我に用でもあるのかな?」

着物姿のリヴィは扇子を口に当ててウンディーネに尋ねた。

「リヴィよ。1度、妾と勝負して欲しいのじゃ!どちらがより水魔法を扱えるのか勝負じゃ!」

!?

なんだ!?なんだ!?
急にウンディーネが勝負を挑んできたぞ?

「ちょっとディーネ!急にどうしたの?」
「先の戦いで、妾は自分の不甲斐なさを痛感したのじゃ。だから同じ水を扱う者と腕試しの『修行』がしたいのじゃ」

シオンがどうしようかなー?とリヴィを見ると・・・。

「うむ、我も『本気』で戦ってみたいと思っていた所だ。是非ともお願いしたいぞ!」

リヴィも了承したのだった。うわぁ~!リヴィも戦闘狂だったの!?
とはいえ、この伝説級の二人がぶつかると地形が変わりそうなので、シルクード領の真下にある魔境の森の『近海』でお願いした。

「いい!二人の本気のバトルだと、津波が起こるから近くの島に迷惑が掛からない様にしてね!」

シオンは二人に厳命し、さらに夜に戦うようにお願いした。夜だと漁師とか海に出てないからだ。

こうして、伝説級の力を持つ二人が腕試しという名の本気のバトルを始める事になったのだった。


マジで?



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】烏公爵の後妻〜旦那様は亡き前妻を想い、一生喪に服すらしい〜

七瀬菜々
恋愛
------ウィンターソン公爵の元に嫁ぎなさい。 ある日突然、兄がそう言った。 魔力がなく魔術師にもなれなければ、女というだけで父と同じ医者にもなれないシャロンは『自分にできることは家のためになる結婚をすること』と、日々婚活を頑張っていた。 しかし、表情を作ることが苦手な彼女の婚活はそううまくいくはずも無く…。 そろそろ諦めて修道院にで入ろうかと思っていた矢先、突然にウィンターソン公爵との縁談が持ち上がる。 ウィンターソン公爵といえば、亡き妻エミリアのことが忘れられず、5年間ずっと喪に服したままで有名な男だ。 前妻を今でも愛している公爵は、シャロンに対して予め『自分に愛されないことを受け入れろ』という誓約書を書かせるほどに徹底していた。 これはそんなウィンターソン公爵の後妻シャロンの愛されないはずの結婚の物語である。 ※基本的にちょっと残念な夫婦のお話です

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

【完結】ドケチ少女が断罪後の悪役令嬢に転生したら、嫌われ令息に溺愛されました。

やまぐちこはる
恋愛
仁科李依紗は所謂守銭奴、金を殖やすのが何よりの楽しみ。 しかし大学一年の夏、工事現場で上から落ちてきた鉄板に当たり落命してしまう。 その事故は本当は男子学生の命を奪うものだったが、李依紗が躓いた弾みで学生を突き飛ばし、身代わりになってしまったのだ。 まだまだ寿命があったはずの李依紗は、その学生に自分の寿命を与えることになり、学生の代わりに異世界へ転生させられることになった。 異世界神は神世に現れた李依紗を見て手違いに驚くが今回は李依紗で手を打つしかない、いまさらどうにもならぬと、貴族令嬢の体を与えて転生させる。 それは李依紗の世界のとある小説を異世界神が面白がって現実化したもの。 李依紗も姉のお下がりで読んだことがある「帝国の気高き薔薇」という恋愛小説。 それは美しい子爵令嬢と王太子のラブストーリー。そして李依紗は、令嬢を虐めたと言われ、嫌われることになるありがちな悪役令嬢リイサ・サレンドラ公爵令嬢の体に入れ替わってしまったのだ。 =============================== 最終話まで書き終え、予約投稿済です。年末年始は一日3〜4話、それ以外は毎日朝8時に更新です。 よろしくお願い致します。

前世を思い出したのでクッキーを焼きました。〔ざまぁ〕

ラララキヲ
恋愛
 侯爵令嬢ルイーゼ・ロッチは第一王子ジャスティン・パルキアディオの婚約者だった。  しかしそれは義妹カミラがジャスティンと親しくなるまでの事。  カミラとジャスティンの仲が深まった事によりルイーゼの婚約は無くなった。  ショックからルイーゼは高熱を出して寝込んだ。  高熱に浮かされたルイーゼは夢を見る。  前世の夢を……  そして前世を思い出したルイーゼは暇になった時間でお菓子作りを始めた。前世で大好きだった味を楽しむ為に。  しかしそのクッキーすら義妹カミラは盗っていく。 「これはわたくしが作った物よ!」  そう言ってカミラはルイーゼの作ったクッキーを自分が作った物としてジャスティンに出した…………──  そして、ルイーゼは幸せになる。 〈※死人が出るのでR15に〉 〈※深く考えずに上辺だけサラッと読んでいただきたい話です(;^∀^)w〉 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇なろうにも上げました。 ※女性向けHOTランキング14位入り、ありがとうございます!!

夫の不貞現場を目撃してしまいました

秋月乃衣
恋愛
伯爵夫人ミレーユは、夫との間に子供が授からないまま、閨を共にしなくなって一年。 何故か夫から閨を拒否されてしまっているが、理由が分からない。 そんな時に夜会中の庭園で、夫と未亡人のマデリーンが、情事に耽っている場面を目撃してしまう。 なろう様でも掲載しております。

【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~

イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」   どごおおおぉっ!! 5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略) ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。 …だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。 それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。 泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ… 旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは? 更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!? ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか? 困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語! ※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください… ※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください… ※小説家になろう様でも掲載しております ※イラストは湶リク様に描いていただきました

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する

cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。 しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は 「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」 夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。 自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。 お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。 本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。 ※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

処理中です...