七色の魔弾使い

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深夜遅くに、訓練場にて訓練と言う名の憂さ晴らしをしていたボルドー・ガーランドは全然怒りが収まなかった。

「クソッ!クソッ!クソッ!!!!」

訓練用の木刀を振り回しながら悪態を付いていた。

「あの女男め!国1番の剣技を持つ父親がいるのに、遠距離攻撃などと……………卑怯者めっ!!!!」

バキッと地面に木刀を叩き付けて折れた。

「ハァハァ…………クソッ!」

折れた木刀を投げ捨てて座り込んだ。
そこに声が掛けられた。

「クククッ、荒れているなボルドー・ガーランドよ」

黒いローブに身を包んだ怪しい男?がいつの間にか立っていた。

バッと身を起こすと身構えた。

「何者だ?」

ボルドーは油断せずに黒いローブの人物を見据えた。

「ほぅ?私の気配に気付かなかったのは減点だが、その後の行動は合格だ。シオンにボロ負けしたとはいえ、流石は第三騎士団長の息子なだけある。『それなり』に鍛えているようだ」

相手を馬鹿にした物言いにカチンッときたボルドーは近くに置いてあった自分の剣を素早く手に取ると黒いローブの人物に斬り掛かった!

ガキンッ!

刃が当たる前に結界に阻まれた。

「結界だと!?」

後ろに大きく飛びさると、油断せず剣を構え相手の動きを見た。

「クククッ、なかなかどうして。今ほどの注意深かさがあればもう少し善戦できただろうに。まぁいい。私はお前に良い話を持ってきたのだ」

「なに?」

黒いローブの男は懐から小さな【黒い玉】を取り出した。

「最近開発された【黒の宝珠】だ。体内に取り込めば、自身の力を数倍も高めてくれる優れものだぞ?」

手の中で転がしながら宝珠の説明をしていく。

「ふんっ!くだらん!そんな得体の知れないものを使う訳ないだろう。俺は自身の力で勝つ!」

そう言い放つボルドーに黒いローブの男は嘲笑った。

「クハハハッ!!!これは傑作だ!お前ごときが実力でシオンに勝てるわけなかろうに!お前、知らないだろう?シオン達がダンジョンを攻略した事を!」

!?

「な、なんだと!?」

「そう、それだ!戦いは武力だけではない。相手を調べる情報収集力も必要になるんだぞ?父親から習わなかったか?敵の戦力、実力、経歴、得意な戦術など調べ上げることで勝率が上がるんだ。お前には全てが足りない!今のままでは絶対にシオンには勝てないだろうよっ!」

ボルドーは何も言い返せなかった。
それは父親から口を酸っぱく言われ続けたことだったからだ。それでもボルドーは自身の実力だけを求めて訓練は欠かさなかった。しかし、相手を調べると言う情報収集の力を軽視していた。

「だからだよ。何もかも足りないお前が、この黒の宝珠を使えばシオンに勝ちが見えてくるだろう」

黒いローブの男は軽く黒の宝珠をボルドーに向けて投げた。

パシッとボルドーはそれを手でキャッチした。

「使うかどうかはお前に任せる。決闘に負けたお前は再度シオンと戦うには3ヶ月待たないといけないが、学校のテストである実技テストで当たれば、正々堂々と戦えるだろう。それまでせいぜい自身を鍛えるんだな。1が2になった所でシオンには勝てないのだから…………」


そういうと黒いローブ姿の男は闇に溶ける様に消えていった。

「…………黒の宝珠」

ボルドーは、手の中の黒い玉を見詰めながら呟くのだった。







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