2 / 52
漫才?
しおりを挟む
王立ユグドラ魔術学園は成績順にS、A、B、Cのクラスがある。年に何回かクラスの入替えテストがあり、クラス落ちする場合もあるので、みんな必死に頑張るんだ。
ザワッと『俺達』が歩いて行くと、周囲がざわめいた。
はぁ~だからこの『二人』と歩くのは嫌なんだよ。
軽くため息を付きながらチラッと横を見た。
右側には、俺の『婚約者』である美しい女の子がいた。
まだ12歳という幼さが残るとはいえ、腰まで伸ばした美しい【赤髪】を靡かせて、出ている所は12歳とは思えないほど出ているせいで、そのアンバランス差が周囲の男達の視線を釘付けにしていた。
「あら、シオン?何かしら?貴方も私(わたくし)に見惚れていたのかしら?」
フフンッと口元を釣り上げて微笑む俺の婚約者【ルビー・ローズ】公爵令嬢が意地悪そうに言った。
こいつは口は悪いが、実家が公爵家で礼儀作法や魔法の腕は一級品だ。この歳で『二つ名』持ちであり【紅蓮蝶の魔女】と言われている。
そして機嫌を損ねると黒焦げにされるので、俺は適当に機嫌を取る癖が付いていた。
「ああ、そうだよ。美しい婚約者を見ていたんだ」
不貞腐れたように言う俺はルビーをチラッと見ると───
ルビーは、あわあわっ、しながら動揺していた。
「な、ななな、なにを言っていますの!?」
ルビーはテレ隠しの為に、シオンに強烈なボディーブローを喰らわせた。
「ゴフッ!!!?」
その場で膝を着く俺に笑い声が聞こえてきた。
「くっ、あははは!いつもの夫婦漫才は最高だね♪あははははっ!」
腹を抱えて笑うイケメンは、幼馴染みの【アッシュ・グレー】と言う。こいつは国内外でも有名で、『全属性の魔法』が使える【勇者候補】の筆頭である。肩まである金髪の髪に、女子受けする甘いマスクで、老若男女ともに人気がある。
( ´Д`)=3はぁ~
だからこいつ等と一緒に居たくないんだよ。
俺の容姿は平凡だ。父親譲りの真っ黒い髪に、何処にでもいる様な顔。そして女子と同じぐらいの低い身長が、この二人に挟まれて歩くと、その平凡差が際立つんだよな。ルビーも長身長で俺より身長高いしなっ!
(コンプレックス)
「笑い過ぎだ。馬鹿アッシュ!」
痛みに耐えながら文句を言うとアッシュは両手で俺の顔を優しく掴むと自分の顔を近付けて言った。
「大丈夫だよ。ルビー嬢に振られたら僕が貰ってあげるから」
は~な~せ~~~
ジタバタ暴れる俺にアッシュは飛んできた火球を避けるために後ろへ飛んだ。
「離れなさい!変態め!!!」
「危ないじゃないかルビー嬢。それに僕は変態じゃないよ?ただシオンを好きなだけだよ」
おわかりだろうか?
アッシュはとても変わった感性の持ち主である事を。天才と馬鹿は紙一重なのだ。
(なんか違う)
「シオンは私の婚約者よ!手を出したら消し炭にして、畑の肥やしにしてあげますわ!」
アッシュは両手を広げて、やれやれといった仕草で言った。
「だって仕方がないじゃないか?それだけシオンがステキなんだから。ルビー嬢はそうではないのかな?」
「え゛っ!?そ、それはシオンはステキですけれど……………ゴニョゴニョ」
チョロッ!?
ルビー!チョロイよっ!?
いつもアッシュに言いくるめられるんだよなぁ~
「アッシュ、いい加減に女の子にも目を向けたらどうだ?お前なら選び放題だろうに…………」
「えっ?僕は女の子【も】好きだよ?」
シオンとルビーは、えっ、そうなの!?みたいな顔でアッシュを見た。アッシュも失礼な!みたいな顔をした。
「どんなタイプが好きなんだ?」
「う~ん?そうだね。ルビーの様に無駄な脂肪が付いていなくて、ルビーみたいに乱暴じゃなくて、ルビーみたいに童顔じゃない、スレンダーな女の子かな?あっ、シオンの妹ちゃんが理想だね!」
あぁー、こいつはダメだぁ~~~
俺の妹を狙っている以前にルビーに殺されるな。
後ろを見るとゴゴゴゴッ……………と、全身を怒りで燃やしているルビーが見えた。
「…………コイツテキ、コロシテイイ!」
「いやいや!落ち着け!ほ、ほらっ、クラス表を見に行こうぜ!」
流石に殺人はヤバイと思い、シオンはルビーを羽交い締めにして、引きずるように連れて行くのだった。
「あはははっ、ちょっと悪ノリし過ぎたかな?」
笑顔でそう言うと、アッシュは目を前髪で隠すとサッと、周囲を見渡した。
『これで、僕とルビーがシオンと仲が良いと周囲は思ったはずだ。余計な奴らが邪魔してこないようにしないとな』
アッシュはすぐに服装を正した。
『でも、自己評価が低いのがシオンの玉にキズだよ。あの童顔で、【美少女】にしか見えない容姿!低身長で、もし短パンを穿いて僕って言ったら、僕っ娘属性の美少女……………ハァハァ♪萌える!』
アッシュは脳内で妄想しながら、ニコニコと後を追った。アッシュは目に見えない悪意からシオンを守ろうと決めていた。
すでに学園での派閥争いは始まっているのだ。油断すればすぐに蹴落とされるのだから。
ここはそういう学園なのだ。
ザワッと『俺達』が歩いて行くと、周囲がざわめいた。
はぁ~だからこの『二人』と歩くのは嫌なんだよ。
軽くため息を付きながらチラッと横を見た。
右側には、俺の『婚約者』である美しい女の子がいた。
まだ12歳という幼さが残るとはいえ、腰まで伸ばした美しい【赤髪】を靡かせて、出ている所は12歳とは思えないほど出ているせいで、そのアンバランス差が周囲の男達の視線を釘付けにしていた。
「あら、シオン?何かしら?貴方も私(わたくし)に見惚れていたのかしら?」
フフンッと口元を釣り上げて微笑む俺の婚約者【ルビー・ローズ】公爵令嬢が意地悪そうに言った。
こいつは口は悪いが、実家が公爵家で礼儀作法や魔法の腕は一級品だ。この歳で『二つ名』持ちであり【紅蓮蝶の魔女】と言われている。
そして機嫌を損ねると黒焦げにされるので、俺は適当に機嫌を取る癖が付いていた。
「ああ、そうだよ。美しい婚約者を見ていたんだ」
不貞腐れたように言う俺はルビーをチラッと見ると───
ルビーは、あわあわっ、しながら動揺していた。
「な、ななな、なにを言っていますの!?」
ルビーはテレ隠しの為に、シオンに強烈なボディーブローを喰らわせた。
「ゴフッ!!!?」
その場で膝を着く俺に笑い声が聞こえてきた。
「くっ、あははは!いつもの夫婦漫才は最高だね♪あははははっ!」
腹を抱えて笑うイケメンは、幼馴染みの【アッシュ・グレー】と言う。こいつは国内外でも有名で、『全属性の魔法』が使える【勇者候補】の筆頭である。肩まである金髪の髪に、女子受けする甘いマスクで、老若男女ともに人気がある。
( ´Д`)=3はぁ~
だからこいつ等と一緒に居たくないんだよ。
俺の容姿は平凡だ。父親譲りの真っ黒い髪に、何処にでもいる様な顔。そして女子と同じぐらいの低い身長が、この二人に挟まれて歩くと、その平凡差が際立つんだよな。ルビーも長身長で俺より身長高いしなっ!
(コンプレックス)
「笑い過ぎだ。馬鹿アッシュ!」
痛みに耐えながら文句を言うとアッシュは両手で俺の顔を優しく掴むと自分の顔を近付けて言った。
「大丈夫だよ。ルビー嬢に振られたら僕が貰ってあげるから」
は~な~せ~~~
ジタバタ暴れる俺にアッシュは飛んできた火球を避けるために後ろへ飛んだ。
「離れなさい!変態め!!!」
「危ないじゃないかルビー嬢。それに僕は変態じゃないよ?ただシオンを好きなだけだよ」
おわかりだろうか?
アッシュはとても変わった感性の持ち主である事を。天才と馬鹿は紙一重なのだ。
(なんか違う)
「シオンは私の婚約者よ!手を出したら消し炭にして、畑の肥やしにしてあげますわ!」
アッシュは両手を広げて、やれやれといった仕草で言った。
「だって仕方がないじゃないか?それだけシオンがステキなんだから。ルビー嬢はそうではないのかな?」
「え゛っ!?そ、それはシオンはステキですけれど……………ゴニョゴニョ」
チョロッ!?
ルビー!チョロイよっ!?
いつもアッシュに言いくるめられるんだよなぁ~
「アッシュ、いい加減に女の子にも目を向けたらどうだ?お前なら選び放題だろうに…………」
「えっ?僕は女の子【も】好きだよ?」
シオンとルビーは、えっ、そうなの!?みたいな顔でアッシュを見た。アッシュも失礼な!みたいな顔をした。
「どんなタイプが好きなんだ?」
「う~ん?そうだね。ルビーの様に無駄な脂肪が付いていなくて、ルビーみたいに乱暴じゃなくて、ルビーみたいに童顔じゃない、スレンダーな女の子かな?あっ、シオンの妹ちゃんが理想だね!」
あぁー、こいつはダメだぁ~~~
俺の妹を狙っている以前にルビーに殺されるな。
後ろを見るとゴゴゴゴッ……………と、全身を怒りで燃やしているルビーが見えた。
「…………コイツテキ、コロシテイイ!」
「いやいや!落ち着け!ほ、ほらっ、クラス表を見に行こうぜ!」
流石に殺人はヤバイと思い、シオンはルビーを羽交い締めにして、引きずるように連れて行くのだった。
「あはははっ、ちょっと悪ノリし過ぎたかな?」
笑顔でそう言うと、アッシュは目を前髪で隠すとサッと、周囲を見渡した。
『これで、僕とルビーがシオンと仲が良いと周囲は思ったはずだ。余計な奴らが邪魔してこないようにしないとな』
アッシュはすぐに服装を正した。
『でも、自己評価が低いのがシオンの玉にキズだよ。あの童顔で、【美少女】にしか見えない容姿!低身長で、もし短パンを穿いて僕って言ったら、僕っ娘属性の美少女……………ハァハァ♪萌える!』
アッシュは脳内で妄想しながら、ニコニコと後を追った。アッシュは目に見えない悪意からシオンを守ろうと決めていた。
すでに学園での派閥争いは始まっているのだ。油断すればすぐに蹴落とされるのだから。
ここはそういう学園なのだ。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
二人の男爵令嬢の成り上がり!でも、結末は──
naturalsoft
恋愛
オーラシア大陸の南に姉妹国と呼ばれる二つの国があった。
西側のアネーデス王国
東側のイモート王国
過去にはお互いの王族を嫁がせていた事もあり、お互いにそれぞれの王族の血が受け継がれている。
そして、アネーデス王国で周辺国を驚かすニュースが大陸を駆け抜けた。
その国のとある男爵令嬢が、王太子に見初められ【正しい正規の手続き】を踏んで、王太子妃になったのである。
その出来事から1年後、隣のイモート王国でも、その国の男爵令嬢が【第一王子】の【婚約者】になったと騒がれたのだった。
しかし、それには公衆の面前で元婚約者に婚約破棄を突き付けたりと、【正規の手続きを踏まず】に決行した悪質なやり方であった。
この二人の結末はいかに──
タイトルイラスト
素材提供
『背景素材屋さんみにくる』
狐に娶られる猫~昔の夫を忘れられない猫は大妖狐に魅入られる~
村雨 妖
恋愛
長い年月を生きる猫又の彼女には秘密がある。妖怪と人間の姿を使い分ける猫又は妖怪界では珍しくはないけれど、女と男を使い分ける事が出来るとなると他に例はない。しかもその男の姿は彼女の過去に由来する後天的な能力で……
そんな男の姿をしている彼女、弥生は妖の世界をのらりくらりと1人旅し回っていていた。ある日、弥生は嫁入り道中の管狐の少女、撫子と出会う。彼女はは嫁入りを拒み、弥生に助けを求めてきた。弥生は情に負けて逃げ出す手助けをする事にしたのだけれど、運悪く撫子を連れ戻そうとする追手に追いつかれてしまう。しかもその追手は彼女の婚約者であり、世に名を轟かせている一家の頂点に君臨する大妖怪の妖狐、大和だった。責任を追及されるかと覚悟を決めたものの、大妖怪の狐の彼から思いがけない提案を持ちかけられる。それは”手合わせをして弥生が勝てば罪を問わず、負ければ大和と隷属の契りを結ぶ”というもの。この出会いをきっかけに、弥生の運命は大きく変わっていく事となる。
悪女と言われた令嬢は隣国の王妃の座をお金で買う!
naturalsoft
恋愛
隣国のエスタナ帝国では七人の妃を娶る習わしがあった。日月火水木金土の曜日を司る七人の妃を選び、日曜が最上の正室であり月→土の順にランクが下がる。
これは過去に毎日誰の妃の下に向かうのか、熾烈な後宮争いがあり、多くの妃や子供が陰謀により亡くなった事で制定された制度であった。無論、その日に妃の下に向かうかどうかは皇帝が決めるが、溺愛している妃がいても、その曜日以外は訪れる事が禁じられていた。
そして今回、隣の国から妃として連れてこられた一人の悪女によって物語が始まる──
※キャライラストは専用ソフトを使った自作です。
※地図は専用ソフトを使い自作です。
※背景素材は一部有料版の素材を使わせて頂いております。転載禁止
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
【連載版】異世界に転生した少女は異世界を満喫する
naturalsoft
恋愛
読書様からの要望により、短編からの連載版になります。
短編では描き切れ無かった細かい所を記載していきたいと思います。
短編と少し設定が変わっている所がありますがご了承下さい
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ふと目が覚めると赤ちゃんになっていた。Why?私を覗き込む金髪美人のお母さんを見て、あ、異世界転生だ!と気付いた私でした。前世ではラノベを読みまくった知識を生かして、魔力?を限界まで使えば総量が増えるはず!
よし、魔力チートを目指してエンジョイするぞ♪
これは神様にあった記憶もない楽天家な少女が前世の知識で異世界を満喫する話です。

聖女は支配する!あら?どうして他の聖女の皆さんは気付かないのでしょうか?早く目を覚ましなさい!我々こそが支配者だと言う事に。
naturalsoft
恋愛
この短編は3部構成となっております。1話完結型です。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
オラクル聖王国の筆頭聖女であるシオンは疑問に思っていた。
癒やしを求めている民を後回しにして、たいした怪我や病気でもない貴族のみ癒やす仕事に。
そして、身体に負担が掛かる王国全体を覆う結界の維持に、当然だと言われて御礼すら言われない日々に。
「フフフッ、ある時気付いただけですわ♪」
ある時、白い紙にインクが滲むかの様に、黒く染まっていく聖女がそこにはいた。

よくある父親の再婚で意地悪な義母と義妹が来たけどヒロインが○○○だったら………
naturalsoft
恋愛
なろうの方で日間異世界恋愛ランキング1位!ありがとうございます!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
最近よくある、父親が再婚して出来た義母と義妹が、前妻の娘であるヒロインをイジメて追い出してしまう話………
でも、【権力】って婿養子の父親より前妻の娘である私が持ってのは知ってます?家を継ぐのも、死んだお母様の直系の血筋である【私】なのですよ?
まったく、どうして多くの小説ではバカ正直にイジメられるのかしら?
少女はパタンッと本を閉じる。
そして悪巧みしていそうな笑みを浮かべて──
アタイはそんな無様な事にはならねぇけどな!
くははははっ!!!
静かな部屋の中で、少女の笑い声がこだまするのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる