【改稿版】微笑みの悪役令嬢!~微笑むだけで上手くいくものですわ~

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微笑み42

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あれから一週間経ちました。

シオンは顔を合わせづらく感じていましたが、クラスメイト達は照れていると好意的に思って、微笑ましく見守っている状態です。

「さて、アルカ、ナイカ、冒険に行くよ!」

ストレスを感じていたシオンは、冒険者としてストレス発散のため、魔物退治などの依頼を受けに家を飛び出しました。

「お嬢様~~待って下さーーーい!!!!」

慌てて追いかける侍女である双子の姉妹は、シオンを捕まえて馬車に放り投げて乗せました。

「いつも思うけど、君たち主人に対して無礼過ぎないかな?かな?」
「シオンお嬢様が勝手に歩いて外に出ようとするからです!何度も言いますがシオンお嬢様が外に出ると、すぐに人攫いに会うのですから気をつけて下さい!」

首を傾げるシオンに、アルカとナイカは深いため息をつくのだった。

冒険者ギルドに着くとクエストボードを見ました。

「何か良いクエストないかな?」

シオンと一緒にクエストを確認したところ、アルカが一つ見つけました。

「これなんかどうですか?」

アルカが見つけたクエストはここから2時間ほど行った所にある港町だった。

「海に魔物がでて漁猟ができなく困っているそうですよ」
「あ、良いじゃないですか!海ならシオンお嬢様の大魔法を放っても大丈夫でしょうし!」

確かに良いかも知れないね!
シオンも頷くとグレイさんに言って馬車で港町に向かって貰いました。
シオンはストレス発散ができると上機嫌でした。
港町に着くとそれなりに大きな町にもかかわらず活気がありません。

「ねぇ?そのクエストって緊急ではなかったんだよね?」
「はい。依頼も1週間前に張り出されたばかりです。依頼内容には海に大型の魔物が出たとしか書いてありませんね。詳しくは直接依頼を受けにきた方にお伝えするとーーー」

「それも少しおかしな話ですね。普通はわかっている情報を詳しく記載するのですが」
「まっ、受けたものは仕方がありませんけどね。次はもう少し確認してから受けましょう。流石にシオンお嬢様に危険過ぎる依頼は当主様に止められているので」

馬車を運転しながらグレイさんが言いました。

ゆっくり街中を進んで港町の冒険者ギルドに着きました。

冒険者ギルドの中もガランッとしてました。

「あら?いらっしゃい。ご依頼かしら?見ての通り今は依頼を受けれる状態じゃないんだけどね」

受付のお姉さんも疲れ切った顔で出迎えてくれました。

「私達は冒険者です。王都のギルドのクエストを見てきました。詳しいお話を聞かせて下さい」

!?

受付のお姉さんは驚いた顔でこちらを見ました。

「本当ですか!?ちょうど王都から騎士団の方がきて、そのクエストについて詳しい話を聞きにきた後、ギルドマスターを捕まえてしまったんです」

「なんだって!?」

シオン達は詳しい話を聞くと、事のあらましはこうだった。

海に大型の魔物が出て、この港町の冒険者総出で打って出たが、作戦は失敗して多くの冒険者が亡くなった。
ここのギルドマスターは、その事実が知られると降格処分になるので隠そうとした。

それがあのクエスト内容だ。

外部から冒険者を呼び込み退治してもらうとした訳だ。グレイさんも言っていたが、内容が少し怪しいかった。少し前に王都のギルドでも副ギルドマスターの不正があったので、騎士団がギルドの依頼内容をチェックしていた様で、今回そのチェックに引っかかり、事情聴取を受けて判明したという訳だった。

「本来は緊急クエストにすべき物を、従来のクエストで申請していたので、重大な規律違反となったそうで、我々職員もギルマスが緊急クエストを申告していないと知らなかったのよ」

この依頼は一週間前から貼ってあったが、海に大型の魔物が出たのは一ヶ月以上前からだったそうだ。
困窮する港町のために、シオン達は気合いを入れてこの依頼を改めて受けるのだった。

「今は騎士団の方が海に行っています。そちらで協力して頂けますか?」

「わかりました!」

そう言って、港の方へ向かうのだった。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】

愚者の声
「ああ、ヤダヤダ。どこにも自身の保身の為に失態を隠そうとするヤツがいるんだよねー」

シオン
「あなたは駄作を世に広める愚者ですけれどね」

愚者の声
「酷いっ!これでも頑張っているんだよ!」

シオン
「なら世に認められる話を書くことね」

ガンバリマス!





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