31 / 58
微笑み30
しおりを挟む
地下に作られたダンジョンの入口にある小部屋で、テーブルにお茶やクッキー、ケーキなど普通のお茶会にあるものは用意されている。唯一、地下の石レンガで作られた場所でなければ最高だったであろう。
「えっと………お招き頂きありがとうございます?」
流石のセーラ王女も疑問系で挨拶をする。
「うん………お友達が来るの初めてだから、頑張って作ってみたよ♪」
!?
「これ!シオン様の手作りですか!?」
「そう、お腹が空いては【戦えない】から……頑張ったよ」
シオンの語った不安な言葉はスルーして、それぞれが贈り物をシオンに渡した。通常、お茶会に呼ばれた場合は何かしらのプレゼントを持っていくのが通例であるのだ。
「はい!シオン嬢!」
「ありがとう……嬉しい」
ドッキューーーン!!!
『『『可愛い!!!』』』
奥ゆかしいシオンの仕草や言葉に一同がキュンとなってしまった。そこに、シオンの身の回りのお世話をするクールビューティ系の侍女さんがやって来ました。
「皆様、遠い所からお集まり下さり誠にありがとうございます。本日、公爵様より取り仕切らせて頂きます【エーコ】と申します。気軽に【Aさん】(エーサン)とお呼び下さい」
「これはご丁寧にどうも……」
「さて、このパーティー(お茶会)は公爵様が企画したものです。もしこのパーティー(お茶会)で優秀な成績を出した御方には正式なお嬢様の【婚約者候補】としての【名誉】が与えられます。ここまではよろしいでしょうか?」
!?
「本当にシオン嬢と婚約出来るのですか!?」
「はい、婚約者【候補】として正式に認められ、国王様に提出されます」
「「おおっ!?」」
(貴族としての正式な婚約は国王様に書類を提出しなければならないのです)
各皆さんの心情は──
レオン
『マジかよ!頑張るぜ!』
セーラ
『バカ兄は気付いていませんね。ただのお茶会と聞いていたのに、明らかに魔物と戦わせようとしている様子………魔力増強の杖を持ってきておいて良かったわ』
クロウ
『事前調査通りだな。公爵が何かしら企んでいると思ったが……しかし、商品がシオン嬢の婚約とは逃げる訳にはいかないか……戦わねばならんときもある』
アーレスト
『困ったな?下調べ通り、公爵が仕掛けてきたか。私は他の者と違い戦えない。この不利な条件をどうひっくり返すか……シオン嬢は他の令嬢と違い、贅沢はしないし、ちょっとしたデザートで無邪気に喜ぶ、珍しいタイプの女性だ。何としても手に入れたい!』
などと、各々が思惑を巡らせていました。
「まずは、難しいことは考えずに普通のお茶会をお楽しみ下さい。この後は厳しい試練が待っておりますので」
「みんな……グラスを持った?乾杯するよ」
各自、グラスを持って乾杯!!!
「この飲み物美味しいですわ!」
「このクッキーも美味しい!」
「甘くないケーキ?いやほんのりと甘いか。イケる!」
美味しい食べ物を食べて、みんなの緊張がほぐれていった。しばらくして─
「お楽しみの所、失礼致します。事前調査の【点数】(ポイント)をお伝えしておきます」
「「「点数?」」」
「はい、本日は1番高得点を稼いだ御方を【婚約者候補】にする【予定】です」
「どうすれば点数を貰えるのですか?」
「明確な基準を教える事は出来ません。現在のお茶会は関係ありませんのでご安心下さい」
『一体何を企んでおりますの!?』
「さて、現在の点数で1番高いのはクロウ様です。その次がアーレスト様、レオン様は最下位ですね」
!?
「何だって!?どういう事だ!まだ屋敷に来たばかりだぞ!」
レオン王子は動揺していた。試練が始まる前から最下位とは認められないのだ!
「では、点数の内訳としましてはクロウ様ご自身、今回のパーティーのきっかけの場所にはいませんでしたが、招待状が届いた時点ですぐに情報収集を始めました。シオンお嬢様にしっかりと裏付けと理由も問いだたしています。そして、本日は何かしらの試練があると踏んで動きやすい格好で来ています。一方、アーレスト様もその場にいて公爵様のパーティーを意図を汲んで、自分が戻らなかった時の為の準備も家の者に言ってありますね?」
アーレストは驚いた。自分に何かあったときの為に私設軍に声を掛けてあったがどうしてその事をフレイムハート家が知っているのだろうか?
「一方、レオン様は【何を】していましたか?御二人が、パーティーに向けて公爵様の意図の裏を探ろうと走り廻っていた時に貴方は【何を】していましたか?」
シオン王子は拳を強く握り、下を向いて小さく震えていた。自分の不甲斐なさを恥じて……
『あら♪この子、虐めがいがあるわね♪震えちゃって可愛い♪初物食べたいわぁ~』
クールビューティのAさんはドSであった。表情に出さずに不埒な事を考えているのでした。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
愚者の声
「さぁ、いきなり差をつけられたレオン王子はどうするのかな?」
シオン
「でも、これから魔物退治が始まるとアーレスト様は不利ですね。まだまだ挽回出来ますわ!」
愚者の声
「はてさてどうなるのやら!」
シオン
「楽しみね!」
「えっと………お招き頂きありがとうございます?」
流石のセーラ王女も疑問系で挨拶をする。
「うん………お友達が来るの初めてだから、頑張って作ってみたよ♪」
!?
「これ!シオン様の手作りですか!?」
「そう、お腹が空いては【戦えない】から……頑張ったよ」
シオンの語った不安な言葉はスルーして、それぞれが贈り物をシオンに渡した。通常、お茶会に呼ばれた場合は何かしらのプレゼントを持っていくのが通例であるのだ。
「はい!シオン嬢!」
「ありがとう……嬉しい」
ドッキューーーン!!!
『『『可愛い!!!』』』
奥ゆかしいシオンの仕草や言葉に一同がキュンとなってしまった。そこに、シオンの身の回りのお世話をするクールビューティ系の侍女さんがやって来ました。
「皆様、遠い所からお集まり下さり誠にありがとうございます。本日、公爵様より取り仕切らせて頂きます【エーコ】と申します。気軽に【Aさん】(エーサン)とお呼び下さい」
「これはご丁寧にどうも……」
「さて、このパーティー(お茶会)は公爵様が企画したものです。もしこのパーティー(お茶会)で優秀な成績を出した御方には正式なお嬢様の【婚約者候補】としての【名誉】が与えられます。ここまではよろしいでしょうか?」
!?
「本当にシオン嬢と婚約出来るのですか!?」
「はい、婚約者【候補】として正式に認められ、国王様に提出されます」
「「おおっ!?」」
(貴族としての正式な婚約は国王様に書類を提出しなければならないのです)
各皆さんの心情は──
レオン
『マジかよ!頑張るぜ!』
セーラ
『バカ兄は気付いていませんね。ただのお茶会と聞いていたのに、明らかに魔物と戦わせようとしている様子………魔力増強の杖を持ってきておいて良かったわ』
クロウ
『事前調査通りだな。公爵が何かしら企んでいると思ったが……しかし、商品がシオン嬢の婚約とは逃げる訳にはいかないか……戦わねばならんときもある』
アーレスト
『困ったな?下調べ通り、公爵が仕掛けてきたか。私は他の者と違い戦えない。この不利な条件をどうひっくり返すか……シオン嬢は他の令嬢と違い、贅沢はしないし、ちょっとしたデザートで無邪気に喜ぶ、珍しいタイプの女性だ。何としても手に入れたい!』
などと、各々が思惑を巡らせていました。
「まずは、難しいことは考えずに普通のお茶会をお楽しみ下さい。この後は厳しい試練が待っておりますので」
「みんな……グラスを持った?乾杯するよ」
各自、グラスを持って乾杯!!!
「この飲み物美味しいですわ!」
「このクッキーも美味しい!」
「甘くないケーキ?いやほんのりと甘いか。イケる!」
美味しい食べ物を食べて、みんなの緊張がほぐれていった。しばらくして─
「お楽しみの所、失礼致します。事前調査の【点数】(ポイント)をお伝えしておきます」
「「「点数?」」」
「はい、本日は1番高得点を稼いだ御方を【婚約者候補】にする【予定】です」
「どうすれば点数を貰えるのですか?」
「明確な基準を教える事は出来ません。現在のお茶会は関係ありませんのでご安心下さい」
『一体何を企んでおりますの!?』
「さて、現在の点数で1番高いのはクロウ様です。その次がアーレスト様、レオン様は最下位ですね」
!?
「何だって!?どういう事だ!まだ屋敷に来たばかりだぞ!」
レオン王子は動揺していた。試練が始まる前から最下位とは認められないのだ!
「では、点数の内訳としましてはクロウ様ご自身、今回のパーティーのきっかけの場所にはいませんでしたが、招待状が届いた時点ですぐに情報収集を始めました。シオンお嬢様にしっかりと裏付けと理由も問いだたしています。そして、本日は何かしらの試練があると踏んで動きやすい格好で来ています。一方、アーレスト様もその場にいて公爵様のパーティーを意図を汲んで、自分が戻らなかった時の為の準備も家の者に言ってありますね?」
アーレストは驚いた。自分に何かあったときの為に私設軍に声を掛けてあったがどうしてその事をフレイムハート家が知っているのだろうか?
「一方、レオン様は【何を】していましたか?御二人が、パーティーに向けて公爵様の意図の裏を探ろうと走り廻っていた時に貴方は【何を】していましたか?」
シオン王子は拳を強く握り、下を向いて小さく震えていた。自分の不甲斐なさを恥じて……
『あら♪この子、虐めがいがあるわね♪震えちゃって可愛い♪初物食べたいわぁ~』
クールビューティのAさんはドSであった。表情に出さずに不埒な事を考えているのでした。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
愚者の声
「さぁ、いきなり差をつけられたレオン王子はどうするのかな?」
シオン
「でも、これから魔物退治が始まるとアーレスト様は不利ですね。まだまだ挽回出来ますわ!」
愚者の声
「はてさてどうなるのやら!」
シオン
「楽しみね!」
1
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
逃げた村娘、メイドになる
家具付
恋愛
村で散々な扱いを受けてきたサイヴァは、端切れから美しい服を作り、村長の娘にやっかまれて物置に閉じ込められる。物置きで不思議な声に導かれ、やっとそこから脱した彼女は、家を滅茶苦茶にされた事から、村を逃げ出す事を決意した。祖母の手紙を頼りに、お屋敷のお嬢様にお仕えする事になったサイヴァだったが、物置で聞こえた不思議な声は、彼女の予想外の事をもたらし……!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
魅了の魔法を使っているのは義妹のほうでした・完
瀬名 翠
恋愛
”魅了の魔法”を使っている悪女として国外追放されるアンネリーゼ。実際は義妹・ビアンカのしわざであり、アンネリーゼは潔白であった。断罪後、親しくしていた、隣国・魔法王国出身の後輩に、声をかけられ、連れ去られ。
夢も叶えて恋も叶える、絶世の美女の話。
*五話でさくっと読めます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
もしもヒロインが生粋の貴族であったなら!(by転生悪役令嬢より
naturalsoft
恋愛
初めまして。いつもお馴染みの【シオン】と申します。今回は久々の悪役令嬢を務めさせて頂きますわ。
最近は、髪の色と同じく頭の中身がピンク色のヒロインばかりなので、一風変わったヒロインをお楽しみ下さいませ~
これが本当の【真】のヒロインの在るべき姿なのですから………
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
死に戻るなら一時間前に
みねバイヤーン
恋愛
「ああ、これが走馬灯なのね」
階段から落ちていく一瞬で、ルルは十七年の人生を思い出した。侯爵家に生まれ、なに不自由なく育ち、幸せな日々だった。素敵な婚約者と出会い、これからが楽しみだった矢先に。
「神様、もし死に戻るなら、一時間前がいいです」
ダメ元で祈ってみる。もし、ルルが主人公特性を持っているなら、死に戻れるかもしれない。
ピカッと光って、一瞬目をつぶって、また目を開くと、目の前には笑顔の婚約者クラウス第三王子。
「クラウス様、聞いてください。私、一時間後に殺されます」
一時間前に死に戻ったルルは、クラウスと共に犯人を追い詰める──。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
変な転入生が現れましたので色々ご指摘さしあげたら、悪役令嬢呼ばわりされましたわ
奏音 美都
恋愛
上流階級の貴族子息や令嬢が通うロイヤル学院に、庶民階級からの特待生が転入してきましたの。
スチュワートやロナルド、アリアにジョセフィーンといった名前が並ぶ中……ハルコだなんて、おかしな
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
愚か者の話をしよう
鈴宮(すずみや)
恋愛
シェイマスは、婚約者であるエーファを心から愛している。けれど、控えめな性格のエーファは、聖女ミランダがシェイマスにちょっかいを掛けても、穏やかに微笑むばかり。
そんな彼女の反応に物足りなさを感じつつも、シェイマスはエーファとの幸せな未来を夢見ていた。
けれどある日、シェイマスは父親である国王から「エーファとの婚約は破棄する」と告げられて――――?
悪役令嬢のビフォーアフター
すけさん
恋愛
婚約者に断罪され修道院に行く途中に山賊に襲われた悪役令嬢だが、何故か死ぬことはなく、気がつくと断罪から3年前の自分に逆行していた。
腹黒ヒロインと戦う逆行の転生悪役令嬢カナ!
とりあえずダイエットしなきゃ!
そんな中、
あれ?婚約者も何か昔と態度が違う気がするんだけど・・・
そんな私に新たに出会いが!!
婚約者さん何気に嫉妬してない?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】後妻に入ったら、夫のむすめが……でした
仲村 嘉高
恋愛
「むすめの世話をして欲しい」
夫からの求婚の言葉は、愛の言葉では無かったけれど、幼い娘を大切にする誠実な人だと思い、受け入れる事にした。
結婚前の顔合わせを「疲れて出かけたくないと言われた」や「今日はベッドから起きられないようだ」と、何度も反故にされた。
それでも、本当に申し訳なさそうに謝るので、「体が弱いならしょうがないわよ」と許してしまった。
結婚式は、お互いの親戚のみ。
なぜならお互い再婚だから。
そして、結婚式が終わり、新居へ……?
一緒に馬車に乗ったその方は誰ですか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる