【改稿版】微笑みの悪役令嬢!~微笑むだけで上手くいくものですわ~

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微笑み27

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「でっ?好みの男性は?」

シオンはセーラ王女の問い掛けに考えたが答えは出なかった。

「今の所は特にいないかな?」

セーラ王女はどこかホッとした気持ちと、残念な気持ちが入り交じっていたが、ヘタレ・キングのレオン王子は燃え尽きていた。

あっ、灰になった!

「おや?皆さんこちらにいましたか?」

そこにアーレスト様がやってきた。宰相の御子息なのだから当然、出席していたのでしょう。

「あら、アーレスト様もいらっしゃったのですね」

セーラ王女は内心で舌打ちをした。別にアーレストの事が嫌いではないのだが、今回は兄レオンの恋愛成就の為に有力貴族と会わないように調整していたのだ。

「シオン嬢、お久しぶりです」

女の扱いに慣れているアーレストは、自然な流れでシオンの手を取り手の甲にキスをした。

!?

余りにも自然な流れで行われたため、誰も止める事が出来なかった。

「あ、アーレスト様………」

シオンも恥ずかしながら頬を赤く染めた。貴族の挨拶として当たり前の事なのだが、夜会などに慣れていないシオンには刺激が強かったようだ。

「アーレスト様!シオン様になんて事を!!!!」

セーラ王女はアーレストに突っ掛かるが、アーレストはさらりと受け流した。

「なんの事でしょうか?貴族としての当たり前の挨拶をしただけですよ?」

ぐっ……!?

セーラ王女は苦虫を噛んだような表情をしたが、すぐに話題を変えた。

「アーレスト様はもう献花はお済みですか?」
「ええっ、少し遅れましたが先ほど済ませて来ました。それと……」

アーレストが良いかけた時、シオンの【両親】がやって来た。

「シオン、ここにいたのね。あら?」

シオンの母は、レオンとアーレストを見て優しく微笑んだ。どうやらシオンの微笑みは母親譲りみたいですね。

「うふふっ、シオンもすみに置けないわね♪こんな美男子と一緒にいるなんて♪意外に面食いなのかしら?」

「お母様!!!」

シオンは慌てて言い返すが、まさかのシオンの【両親】が来るとは思ってはいなく、セーラ王女は固まってしまっていた。しかし─

「これは公爵、それに公爵夫人お久しぶりです」
「ええ、ご無沙汰しておりますわ。レオン王子」

お母様も優雅に貴族の礼をする。ぽ~、流石はお母様!綺麗ですわ♪

大人の色気のあるお母様にみとれてしまったレオンとアーレストだった。
バカレオが!!!シオン様のお母様に即座に挨拶をしたのは誉めますが、何を母親にみとれているのですか!バカ?バカなの?バカなんですよね!?

セーラ王女もシオンの母親を、理想の女性としているが、シオンの目の前で醜態をさらすほどバカでは無かった。

すると突如、物凄い【殺気】が発生した!普段、身構えて入れば耐えられたが、気を緩めていた状態では耐えられなくその場で膝を付いた。

「我が娘と楽しそうに会話しているだけでも万死に値するのに、我が愛する妻にまで不純な目で見ることは許さんぞ!クソガキどもが!!!!」

今まで影の薄かったシオンの父親が敏感に、思春期のクソガキ………もとい、レオンとアーレストの視線に気付き殺気を放ったのだ。

シオンの家族では何かと影の薄い父親だが、隣国の戦争では軍を率いる指揮官もできるフレイム・ハート家の当主は無能では務まらないのだ。シオンの父親は、公爵家の立場として気配を抑える術を心得ている。普段は気配を抑え、いざというときに一気に気配を発生することで、存在感をより大きく見せることができるのである。

そして何より、家族愛がパッ無いのである。

「あら♪貴方ったら!こんな所で愛しているなんて恥ずかしいわ!」

両手を頬に当てて、いやん♪と顔を赤くしている母親に、シオンもいつまで新婚さんなんだよ!と突っ込みたくなったのでした。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】

愚者の声
「なかなか進まないなぁ~」

シオン
「ちょっと!なんで最後がお父様とお母様の馴れ初めの恋愛になっているのよ!」

愚者の声
「え~だって~」

シオン
無言の殺気レベル6!


愚者の声
泡を吹いて気絶中~
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