【改稿版】微笑みの悪役令嬢!~微笑むだけで上手くいくものですわ~

naturalsoft

文字の大きさ
上 下
14 / 58

微笑み14

しおりを挟む
すやすや…………

う~ん……

小鳥のさえずり声で目が覚める。
最上級の羽毛布団が、布団から出るのを躊躇わせるのだ。

もぞもぞ……

「ふわぁぁぁぁぁ!」

大きなアクビをしながら、意を決意して布団から出る。

あぁ、愛しい布団様………

いえ、ダメよ!シオン!しっかりするのよ!?
今日は冒険者ギルドに行ってストレス発散………ではなく、困っている人を助けるお仕事をするのよ!?

シオンは側にあるベルを鳴らすと、隣で控えていた侍女がすぐに部屋へ入ってきた。


「お呼びでしょうか?お嬢様」

「眠気覚ましに、冷たい水をお願い……」

眠たそうな目を、うとうとしながら侍女に注文をするシオン。朝方の侍女はもちろんサングラスを掛けている。それでもシオンの可愛いさに目眩を起こして倒れそうになるのを踏ん張るのは流石である。

『はぁはぁ、危ない所でした。シオンお嬢様が珍しくお呼びになるなんて、心構えをしておいて正解でしたね』

侍女はすぐに部屋を出るとトレイに水差しを乗せて運んだ。侍女から水を貰って飲むと冷たい感覚に意識が鮮明になっていった。

「ふぅ………美味しい」

ようやく目が覚めると動き易い服に着替えて、上から白いローブまとった。いつもより早い時間だが着替えている間に馬車の手配をお願いしてあり外に出ると、フレイムハート護衛騎士団長のグレイさんが待っていた。

「お嬢様、おはようございます。久々に冒険者ギルドへ行かれると伺いましたので【いつも】の様にお供致します」

「………ありがとう。グレイさん」


実は、私が冒険者の登録をするときにグレイさんも一緒に冒険者の登録をしたのだ。領内で色々と動き廻る時に魔物の情報も必要になって登録したのよね。私は魔法タイプだから前衛が必要なのと、私の護衛も兼ねてグレイさんとパーティーを組んでます。
後二人の仲間がいるのですが、まだ来てないみたいですね。

「シオンお嬢様~~」

おや?来たみたいですね。

「遅くなって申し訳ありません。でも、冒険者ギルドに行くならもっと早目に言って下さい!こちらのシフトもあるのですから」

あっ!そうだった!?

「ごめんなさい……」

私は頭を下げた。
そう、もうお分かりだろう。
残りの二人は私の侍女さんです!
私が襲われても護れるようにと戦闘冥土………じゃなかった、戦闘侍女のアルカさんとナイカさんです。

双子なんですよ?

パッと見、侍女の服ですが改造してあり、アルカさんは盗賊のシーフとして登録してあり罠の解除や、索敵をやってくれます。ナイカさんは大きな盾を持ったタンク役の戦士です。回復魔法とパブ系の身体能力向上魔法も使うので、その辺の男達にも力で負けません。

「お待たせ致しました。本日のシフト変更に時間が掛かってしまい申し訳ありません。では行きましょう」

グレイさんが馬車を引いて、私達は馬車に乗るのでした。馬車の中で私はもう一度二人に誤りました。


そして、ジャーーーーン!
到着しました!冒険者ギルドです!!!

冒険者ギルドに入るとクエストボードの前で、依頼を確認します。

シオンは頭からずっぽりフードを被っているので、目立っていないと思っていますが、冒険者ギルドへ馬車で来て、美人系の侍女二人とフレイムハート家の鎧を来た人達が居れば目立たないはずがない事に気付かないシオンでした。
( ノД`)ホロリ

「シオンお嬢様、本日はどうしますか?」

「………日帰りか、1泊で魔法を使って倒せる魔物退治がしたいの」

「では、これなんかどうでしょう?」

アルカさんが見つけたのは、ワイバーンの退治だった。ワイバーンは空を飛ぶ龍の亜種で、龍よりは弱いのですが空を飛ぶのが早く、小型なので(それでも人の4~5倍は大きい)攻撃が当てずらい。それでもAランク討伐レベルである。

「どうやら、辺境の村にワイバーンが1匹居着いたようで森の動植物が逃げてしまい、狩りが出来なくなったそうですね。しかも森に入り、木を切ると襲ってくるので、森に入れないと生活が出来ないと、切羽詰まった緊急クエストになってます」

「……それにします」

「かしこまりました。では、受付してきます」

アルカさんは受付嬢の所に行き、クエストを受けに行ってくれた。シオンは朝早くにきてクエストを受けきたが、何人かの冒険者達はすでに来ていて、店内のテーブルでクエストの打ち合わせをしていた。

コソコソッ
『おいっ、あれってSランクパーティーの【熱き心】じゃないか!?』
『ああ!間違いないぜ!メイド服2人と白いローブに騎士だもんな!』
『最近は余り活動していなかったが、今日はAランク依頼を受けるみたいだな』
『緊急クエストを受けるみたいだぜ!さすがは慈愛深い、微笑みの令嬢様だぜ』
『ローブのせいで顔が見えない!くそ、その美しいお顔を拝見したい!』


シオン達に聞こえ無いように小声でしゃべる冒険者達だった。
すでにシオンは有名になっているのです。
それは冒険者の最高峰のSランク冒険者として活動していて、惜しむらくはフレイムハート領内のみで活動していた事だろう。ただ逆に同じ領内で活動しているので、地元の民衆からは王家以上に絶大な人気があるのではあるが………

そして今は学園に通う事で王都に来ている。王都でもシオンの活躍は届いていて、今回は王都での初めての活動となる。

さて、本日は馬車で半日ほど向かった場所にある村に行きワイバーンを倒しましょう!











◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】

愚者の声
「学園の恋愛はもう少しお待ち下さい。ちょっとネタに困っていつものファンタジーに逃げました。ごめんなさい!」


シオン
「さいてーですわね。でも、私の活躍を描くのでしたら許しあげるわよ」


愚者の声
「ははーー!ありがたき幸せ」
( ノ;_ _)ノ


シオン
「でも、パーティーの名前のが【熱き心】って可愛くないわね」


愚者の声
「あれ?気付いて無いの????」


シオン
「何がですの????」


愚者の声
「自分の家名を忘れないでよ………」


シオン
!?


【フレイムハート→熱き心】


聡明な読者の方々はお気付きでしたね。安直で申し訳ないです。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

逃げた村娘、メイドになる

家具付
恋愛
村で散々な扱いを受けてきたサイヴァは、端切れから美しい服を作り、村長の娘にやっかまれて物置に閉じ込められる。物置きで不思議な声に導かれ、やっとそこから脱した彼女は、家を滅茶苦茶にされた事から、村を逃げ出す事を決意した。祖母の手紙を頼りに、お屋敷のお嬢様にお仕えする事になったサイヴァだったが、物置で聞こえた不思議な声は、彼女の予想外の事をもたらし……!

真実の愛は、誰のもの?

ふまさ
恋愛
「……悪いと思っているのなら、く、口付け、してください」  妹のコーリーばかり優先する婚約者のエディに、ミアは震える声で、思い切って願いを口に出してみた。顔を赤くし、目をぎゅっと閉じる。  だが、温かいそれがそっと触れたのは、ミアの額だった。  ミアがまぶたを開け、自分の額に触れた。しゅんと肩を落とし「……また、額」と、ぼやいた。エディはそんなミアの頭を撫でながら、柔やかに笑った。 「はじめての口付けは、もっと、ロマンチックなところでしたいんだ」 「……ロマンチック、ですか……?」 「そう。二人ともに、想い出に残るような」  それは、二人が婚約してから、六年が経とうとしていたときのことだった。

死に戻るなら一時間前に

みねバイヤーン
恋愛
「ああ、これが走馬灯なのね」  階段から落ちていく一瞬で、ルルは十七年の人生を思い出した。侯爵家に生まれ、なに不自由なく育ち、幸せな日々だった。素敵な婚約者と出会い、これからが楽しみだった矢先に。 「神様、もし死に戻るなら、一時間前がいいです」  ダメ元で祈ってみる。もし、ルルが主人公特性を持っているなら、死に戻れるかもしれない。  ピカッと光って、一瞬目をつぶって、また目を開くと、目の前には笑顔の婚約者クラウス第三王子。 「クラウス様、聞いてください。私、一時間後に殺されます」 一時間前に死に戻ったルルは、クラウスと共に犯人を追い詰める──。

魅了の魔法を使っているのは義妹のほうでした・完

瀬名 翠
恋愛
”魅了の魔法”を使っている悪女として国外追放されるアンネリーゼ。実際は義妹・ビアンカのしわざであり、アンネリーゼは潔白であった。断罪後、親しくしていた、隣国・魔法王国出身の後輩に、声をかけられ、連れ去られ。 夢も叶えて恋も叶える、絶世の美女の話。 *五話でさくっと読めます。

【完結】所変われば品変わる―後悔しても、もう遅い―

仲村 嘉高
恋愛
小国であるアフェクシオン王国。 その国の第二王女が、ぜひにと請われて大国のアッロガンテ国へと輿入れする事になった。 嫁いだその日に結婚式という、忙しない日程での婚姻。 その結婚式の場で、夫となる国王が叫んだ。 「お前は聖女ではなかったのか!?」 言われた王女は驚き、焦る。 「私は確かに、自国では聖女と呼ばれておりました」 しかし、国王は納得しない。 「それならばなぜ、治癒魔法が使えないのか」と。 王女の国と、嫁いだ先では『聖女』の定義が違っていた。

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪

山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。 「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」 そうですか…。 私は離婚届にサインをする。 私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。 使用人が出掛けるのを確認してから 「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」

【完結】殿下、自由にさせていただきます。

なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」  その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。  アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。  髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。  見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。  私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。  初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?  恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。  しかし、正騎士団は女人禁制。  故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。  晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。     身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。    そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。  これは、私の初恋が終わり。  僕として新たな人生を歩みだした話。  

処理中です...