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4話

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◆◇◆◇◆◇


広い広い廊下をスタスタと進むテラー。通り道にはいくつもの部屋や中庭がある。…………。この廊下だけで孤児院の何倍あるんだろう……。


「あ~。テラ~」


頭上からのほほんとした声が聞こえてくる。……ん?頭上?


「わぁっ……!」


──人が……浮いてる………。


「はぁ。……トト、怖がらせないでください。」


テラーが落ち着かせるようにトントンとキキの背中を叩く。


「ごめんて~。……てゆーか珍しいねぇ。てらーが人に触れるどころか、抱っこだなんて」


「………ふん」


「ねえねぇ。お名前なんて言うのー?僕はトト。よろしくねぇ。」


キキと同い年くらいの男の子だ。テラーと同じように色白で、薄紫の髪と瞳。タレ目で涙ボクロがある。


───「わたし、キキです……。」


「…、!キキ!トトと似てるねぇ。可愛いねぇ。」


キキに触れようとした手をテラーが振り払う。一瞬むすっとしたトトだったが、すぐにのほほんとした顔に戻る。


───「あ、そう言えば……。アイルは緊急で外いっちゃったよぉ」


「……緊急?」


テラーの冷たい声で、周りの空気がピリつく


「やだなぁ大した用じゃないよー?またアマザル達が荒れてるみたいー」


───「……ふぅ。仕方ない。今日は会えそうもないのでお風呂とご飯にしましょうか。疲れてるでしょう?」


「…ん!それなら僕に任せてよぉ。」


トトが不意をついてキキに触れると、大きなシャボン玉がキキを取り囲んだ。


「な、なに…!?」


ぷかぷかと浮かぶキキをみて、テラーはトトを睨む。このシャボン玉の中に入れてしまえば、テラーでも簡単にはキキに触れられなくなる。


「まあまあ心配しないでよぉ。僕に任せてっ」


にやっと笑うトトは、言い終わらないうちに浴場へと移動し始めた。キキの入ったシャボン玉は、ぷかぷかと自動でトトの後ろにつく。


◇◆◇◆◇◆◇◆


「さあさあ。まずはお風呂だねぇ。そこの人達、キキをよろしくねぇ。」


浴場につくと、すでに数人のメイドさんが集まっていた。


彼女たちはトトが外に出たのを確認し、手際よくキキの湯浴みを始めた。


鳥の巣のように絡まっていた髪はいつの間にかさらっさらに変わり、かさかさして汚れていた肌はつるっつるになっていた。


………魔法だ。これはもう魔法だ……。こわい…すごい…。


─────キキが気づいた頃には、自分はぴかぴかの状態で湯船に浸かっていた。


◇◆◇◆◇◇◆◇


───「な……なんだこれ……」


湯船から上がったキキは綺麗に体を拭いてもらい、髪もオイルまでつけてさらさらに乾かしてもらった。


………そこまではよかった。ほんとうにそこまでは。それはそれは素晴らしかった。


─────「……んーーー。着ぐるみ?」


私に用意されていた部屋着は、少しぶかぶかでもこもこした、くまのお洋服だった。


いや、正確に言えばその服だけではなかったよ?他にも種類はあった。あったよ?でも……


「くま、うさぎ、ペンギン、しろくま、ひつじ、りす、ねこ………」


「普通のはないんかいっ」


ずらっと並べられた多種類の動物達を見ていくうちに頭が痛くなり、結局無難なくまを選んだ。


歩きにくい服でぺたぺたと外に出る。………これペンギンが1番合ってたんかも……。


◆◇◆◇◆◇


───「あぁ~!かあいいねぇ…!なんてかわいいんだろ……。天使……。」


外に出た瞬間、トトがぎゅっと抱きついてきた。……うぅ、苦しい。


「ご飯食べに行こうねぇ。ぺたぺた歩いてるの可愛かったし、今度は歩いて行こうかぁ~」


………み、見られてたのか…。てか絶対この人セレクトだなこれ……。


ひつじバージョンでお出迎えしてきたトトに冷たい視線を送るキキ。


「背も同じくらいだし~僕達双子みたいでかあいいねぇ」


「……はぁ。」


ぺたぺたと歩きながら、キキは考える事をやめた。


































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