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12、 魔法檻はドイムの膝の上 Ⅱ
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ルーフェス Side
煙草を箱ごと捨てることに抵抗はなかった。
纏わりついた煙草の匂いを落としたかった。ドイムが嫌いなモノが煙草でよかった、加齢臭じゃなかった。
ドイムの嫌いなモノが知れて嬉しかった。
何も言わず部屋から出る。さっきから鼻水が垂れてくるし、涙も…涙?
『泣いてる?』
なんで?ドイムに嫌われてないことで涙が出てきたんだろうか。
そう思うと胸の奥からあったかい何かがあふれてきた。嬉しい。ドイムは嫌ってなんかいなかった。
鼻水も涙も着ていた服で拭く。
キッチンの前を通り過ぎたところで思い出す。
そういえば 朝食をすっかり忘れていた。キッチンに入る前に気が付いた。煙草の匂いがキッチンから漏れている。
ドイムが咳き込み始めたのもキッチンを通り過ぎてからだった。咳が止まらず、呼吸もできないでソファに蹲まったドイムがかわいそうに思えてきた。
きっかけになったのは煙草を吸ったせいだ。魔法が使えない人間のドイムは 煙草の煙と灰を避ける 魔法をかけて対策するなんてこともできない。ドイムの非力さを理解していない行動だったと反省する。
キッチンに入ると煙草の匂いと焼けた魚の匂いがしてきた。すぐに換気を最大に設定する。
キッチンには2人分の朝食が用意されている。ごはん、味噌汁、冷凍してた切り身の塩焼き、生卵にサラダの乗ったお盆をみる。おいしそうだ。
お盆を持ってドイムのいる部屋に運ぶ。
ダイニングテーブルに座り、正面からドイムの食べた時のおいしいって顔が見たくて興奮気味に部屋のドアを開ける。勢いで大きな音が出てしまった。
勢いよく開いたドアの音でソファにいたドイムがビクッと飛び跳ねたように見えた。
ドアの開閉音もこれまで以上に気を付けないとダメみたいだ。一人の生活とは違う。
怖がらせないようお盆をダイニングテーブルに置いて、なるべく優しい声をかけ、部屋を出る。
『朝ごはん食べてていいからな~』
着替えの服を用意した後、煙草の匂いを落とすのに脱衣所にきた。着ている服を全部脱いで風呂場に入る。
シャワーで頭から熱い湯を浴びる。全身を洗い終わると風呂場から出て乾かした。
髪は完全に乾かないまま、用意していた服に着替えを済ませて、邪魔な前髪は耳にかけ、脱衣所を出る。
キッチンからグラスに注いだ麦茶を持って部屋に戻る。
今度は静かにドアを開ける。ソファからドイムが振り返り見てきた。
ダイニングテーブルの上に置いた朝食には手を付けていない。ダイニングテーブルは見るだけで足は止めず、ソファに向かう。
ソファに近づいてもドイムは鼻をつまんでいないので煙草の匂いは風呂で洗い落とせたんだろう。
ドイムに麦茶の入ったグラスを差し出す。
ドイムはじぃっと麦茶の入ったグラスを見つめ、次に顔を上げて見てきた。
ドイムの言いたいことが分かった気がした。
飲んでもいいのか?
ダメだ。下から上への上目づかいをドイムがすると1000万倍かわいい。
かわいくて見ていられなくなって、ごまかし交じりにドイムに差し出していないグラスの麦茶を飲む。
ドイムは理解したのか、グラスを受け取ると麦茶を飲んで、あっという間にグラスが空になった。
グラスに麦茶を注いだら もうちょい飲みそうだったのでドイムの空になったグラスを持ち上げる。
グラスを追いかけるように後ろからドイムがついてきた。そのままテーブルに向かう。
椅子に座って、箸を手に取り朝食を食べる。ドイムは多分だが、同じように椅子に座って食べ始めるだろう。
ドイムも椅子に座って朝食を食べ始めた。
ドイムが食べている間に使い終わったお盆を持ってキッチンに行ったり、麦茶の入ったピッチャーを持ってきてドイムのグラスに注ぐ。
煙草を箱ごと捨てることに抵抗はなかった。
纏わりついた煙草の匂いを落としたかった。ドイムが嫌いなモノが煙草でよかった、加齢臭じゃなかった。
ドイムの嫌いなモノが知れて嬉しかった。
何も言わず部屋から出る。さっきから鼻水が垂れてくるし、涙も…涙?
『泣いてる?』
なんで?ドイムに嫌われてないことで涙が出てきたんだろうか。
そう思うと胸の奥からあったかい何かがあふれてきた。嬉しい。ドイムは嫌ってなんかいなかった。
鼻水も涙も着ていた服で拭く。
キッチンの前を通り過ぎたところで思い出す。
そういえば 朝食をすっかり忘れていた。キッチンに入る前に気が付いた。煙草の匂いがキッチンから漏れている。
ドイムが咳き込み始めたのもキッチンを通り過ぎてからだった。咳が止まらず、呼吸もできないでソファに蹲まったドイムがかわいそうに思えてきた。
きっかけになったのは煙草を吸ったせいだ。魔法が使えない人間のドイムは 煙草の煙と灰を避ける 魔法をかけて対策するなんてこともできない。ドイムの非力さを理解していない行動だったと反省する。
キッチンに入ると煙草の匂いと焼けた魚の匂いがしてきた。すぐに換気を最大に設定する。
キッチンには2人分の朝食が用意されている。ごはん、味噌汁、冷凍してた切り身の塩焼き、生卵にサラダの乗ったお盆をみる。おいしそうだ。
お盆を持ってドイムのいる部屋に運ぶ。
ダイニングテーブルに座り、正面からドイムの食べた時のおいしいって顔が見たくて興奮気味に部屋のドアを開ける。勢いで大きな音が出てしまった。
勢いよく開いたドアの音でソファにいたドイムがビクッと飛び跳ねたように見えた。
ドアの開閉音もこれまで以上に気を付けないとダメみたいだ。一人の生活とは違う。
怖がらせないようお盆をダイニングテーブルに置いて、なるべく優しい声をかけ、部屋を出る。
『朝ごはん食べてていいからな~』
着替えの服を用意した後、煙草の匂いを落とすのに脱衣所にきた。着ている服を全部脱いで風呂場に入る。
シャワーで頭から熱い湯を浴びる。全身を洗い終わると風呂場から出て乾かした。
髪は完全に乾かないまま、用意していた服に着替えを済ませて、邪魔な前髪は耳にかけ、脱衣所を出る。
キッチンからグラスに注いだ麦茶を持って部屋に戻る。
今度は静かにドアを開ける。ソファからドイムが振り返り見てきた。
ダイニングテーブルの上に置いた朝食には手を付けていない。ダイニングテーブルは見るだけで足は止めず、ソファに向かう。
ソファに近づいてもドイムは鼻をつまんでいないので煙草の匂いは風呂で洗い落とせたんだろう。
ドイムに麦茶の入ったグラスを差し出す。
ドイムはじぃっと麦茶の入ったグラスを見つめ、次に顔を上げて見てきた。
ドイムの言いたいことが分かった気がした。
飲んでもいいのか?
ダメだ。下から上への上目づかいをドイムがすると1000万倍かわいい。
かわいくて見ていられなくなって、ごまかし交じりにドイムに差し出していないグラスの麦茶を飲む。
ドイムは理解したのか、グラスを受け取ると麦茶を飲んで、あっという間にグラスが空になった。
グラスに麦茶を注いだら もうちょい飲みそうだったのでドイムの空になったグラスを持ち上げる。
グラスを追いかけるように後ろからドイムがついてきた。そのままテーブルに向かう。
椅子に座って、箸を手に取り朝食を食べる。ドイムは多分だが、同じように椅子に座って食べ始めるだろう。
ドイムも椅子に座って朝食を食べ始めた。
ドイムが食べている間に使い終わったお盆を持ってキッチンに行ったり、麦茶の入ったピッチャーを持ってきてドイムのグラスに注ぐ。
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