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4、眼鏡は小さな魔法檻の中
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トウマ Side
目が覚めたらまた暗い場所にいた。
ただ、前回と違うことは手枷がないということと、動かせないくらい狭い場所でもないこと、眼鏡がないこと、暗くて自分の手も見えないが眼鏡がないことは顔を触れば判断がつく。眼鏡はなかった。
時間の感覚はないが腹がすいていることと、喉が渇いてることはわかる。あと、壁に思いっきりぶつかったときにできたような頭にある大きなたんこぶが痛い。
とりあえず、辺りを触って確認すると布袋と似たような感じなのは分かったが前回よりは広い。
…が、天井が低いため立ち上がれないし、足を延ばした状態で横になると頭か足先がぶつかる感覚があるため不快でしようがない。
悪い夢だと諦めて足を折り曲げ背中を丸めて寝てしまおう。
瞼をじ閉て間もなく、天井部分が変化した。まるで光が差し込むように変わっていった。
突然のことに驚きながらもゆっくり天井部分を触る。先ほどは立ち上がれずにいた原因の低い天井はなくなって消えたようだった。次に内から見える範囲で外をみるとどこかの部屋だとは分かった。
先ほどまで閉め切られていた部分が解放されるのはもちろん恐ろしいことではあるが、それより好奇心が勝る。
ゆっくり、ゆっくり、頭を出して辺りを観察した。
ぼやける視界だが、ソファみたいなもの、ソファの前にはローテーブルもある、テレビっぽい黒い板、床にはカーペットであろうものが敷いてある。そろりそろりと今までいた箱っぽい何かの中から右足が出て、次いで左足、全身が出た。
初めて見る内装だが、遠目からでも確認できたのが一つだけあった。勘というヤツだろうか。
ソファよりも遠い位置にテーブルとイスが並んでいる。テーブルの上に眼鏡があった。
すぐさま眼鏡を取りに向かい、テーブルの前にもうすぐ着いて、眼鏡に手を伸ばした時だった。
背後から両脇をすくうように長い腕が表れ、抱きしめてくるなり『◎●▽▽~~~!!』と何かが耳元で叫んだ。叫んだ後も何を言っているのかわからないが声を発してるし、両足先が浮くくらい持ち上げられ抱きあげられた。
抱きしめられているのか拘束されているのか分からないし耳元で叫ばれている恐怖心で体が強張ったのが分かる。後ろから抱きしめられ白い髪みたいなのが視界に入り、最初の覚醒時から時間と場所は変わったが世界は変わっていないことを理解した。
抱きしめて満足したのだろうか、何も反応を返さずに飽きたのだろうか、長い息を吐きながらいつの間に移動しソファみたいなものの上に解放された。
体が離れていくとき白い髪と服から煙草に似た焦げ臭い匂いがしてきたのが余計に恐怖を煽ってきた。だが、このまま頭から食べられてしまうことを覚悟していただけにあっさり開放されるとは思っていなかったため、腰が抜けて動けなくなってしまった。
ソファの背もたれと向かいあっている状態のまま 目を閉じ、体感としてかなりの長い間、次の瞬間に来るであろう恐怖に怯えた。
どこからともなくいい匂いがしてきた。嗅ぎ慣れているわけではないが、知っている匂いだ。
今まで閉じていた目をそっと開け、視線をソファの背もたれからローテーブルに移すと、皿に乗った肉じゃがを思わせる香りやホウレン草のおひたしのような見た目のものが小さく盛られている小鉢、豆腐とわかめであろう味噌汁、炊き立ての白いご飯、メインは天ぷらだろう、エビみたいなのが中央にあるのが分かる1人分に盛られたお盆が2膳ローテーブルに置いてあった。
料理の乗ったローテーブルに気を取られていたら、再び両脇を背後からすくい上げるようにソファから一度床に下された。
カーペットが敷いてある床に白い髪の奴が座る。再び持ち上げられ白い髪の前に座らされた。体の前にはお盆が乗っているローテーブルがあり、背中には白い髪の奴がいる。そして、左右どちらかの手かわからないがその手が腹辺りに置かれていて距離を開けようにも動けない。また、先ほどの恐怖を思い出してしまった。
腹の辺りに置かれていた手の感覚がなくなり、目線をあげると、白い髪の奴は人をローテーブルとの間に入れたまま退かさず、この状態のまま飯を食うのか、手には箸のようなのが見えた。視線を手から正面のローテーブルに向けると一人分はお盆の上に綺麗に乗ったままあるが、もう一人分はいつの間にかどちらか左右に分散していた。
これではまるで、正面にあるお盆の上の食事をここで食えと言っているようではないか。
もうすでに白い髪の奴は白いご飯や肉じゃがみたいなのを食い始めた。
食べることに躊躇いはあったが、温かい食事が前にあり、白い髪の奴が同じものを食っているのだから毒はないだろう。
お盆の手前側には箸はもちろんなぜかスプーンとフォーク、ナイフがあった。迷わず箸を取る。が、本当に食べていいのかとやはり考える。
箸だけ持っていると、すぐ後ろにいる白い髪の奴がこちらを覗き込むような視線に気づいた。
見られている視線があるが、腹は減っていることには変わりはないので、白いご飯から茶碗を持って一口食べる。
おいしい。
ごはんの一口目を食べた次には味噌汁に、肉じゃが、天ぷらを食べホウレン草のおひたしを一口ずつ食べた。食べたもの全部見た目どうりおいしい。どこか懐かしい味がした。次々に食べていく。器がどんどん空いていった。
少し前に食べきっていた白い髪の奴は感心するような視線を後ろから送ってきた。
最後に味噌汁を飲みきるまで視線はあったため少し食べにくかったが、無視した。
目が覚めたらまた暗い場所にいた。
ただ、前回と違うことは手枷がないということと、動かせないくらい狭い場所でもないこと、眼鏡がないこと、暗くて自分の手も見えないが眼鏡がないことは顔を触れば判断がつく。眼鏡はなかった。
時間の感覚はないが腹がすいていることと、喉が渇いてることはわかる。あと、壁に思いっきりぶつかったときにできたような頭にある大きなたんこぶが痛い。
とりあえず、辺りを触って確認すると布袋と似たような感じなのは分かったが前回よりは広い。
…が、天井が低いため立ち上がれないし、足を延ばした状態で横になると頭か足先がぶつかる感覚があるため不快でしようがない。
悪い夢だと諦めて足を折り曲げ背中を丸めて寝てしまおう。
瞼をじ閉て間もなく、天井部分が変化した。まるで光が差し込むように変わっていった。
突然のことに驚きながらもゆっくり天井部分を触る。先ほどは立ち上がれずにいた原因の低い天井はなくなって消えたようだった。次に内から見える範囲で外をみるとどこかの部屋だとは分かった。
先ほどまで閉め切られていた部分が解放されるのはもちろん恐ろしいことではあるが、それより好奇心が勝る。
ゆっくり、ゆっくり、頭を出して辺りを観察した。
ぼやける視界だが、ソファみたいなもの、ソファの前にはローテーブルもある、テレビっぽい黒い板、床にはカーペットであろうものが敷いてある。そろりそろりと今までいた箱っぽい何かの中から右足が出て、次いで左足、全身が出た。
初めて見る内装だが、遠目からでも確認できたのが一つだけあった。勘というヤツだろうか。
ソファよりも遠い位置にテーブルとイスが並んでいる。テーブルの上に眼鏡があった。
すぐさま眼鏡を取りに向かい、テーブルの前にもうすぐ着いて、眼鏡に手を伸ばした時だった。
背後から両脇をすくうように長い腕が表れ、抱きしめてくるなり『◎●▽▽~~~!!』と何かが耳元で叫んだ。叫んだ後も何を言っているのかわからないが声を発してるし、両足先が浮くくらい持ち上げられ抱きあげられた。
抱きしめられているのか拘束されているのか分からないし耳元で叫ばれている恐怖心で体が強張ったのが分かる。後ろから抱きしめられ白い髪みたいなのが視界に入り、最初の覚醒時から時間と場所は変わったが世界は変わっていないことを理解した。
抱きしめて満足したのだろうか、何も反応を返さずに飽きたのだろうか、長い息を吐きながらいつの間に移動しソファみたいなものの上に解放された。
体が離れていくとき白い髪と服から煙草に似た焦げ臭い匂いがしてきたのが余計に恐怖を煽ってきた。だが、このまま頭から食べられてしまうことを覚悟していただけにあっさり開放されるとは思っていなかったため、腰が抜けて動けなくなってしまった。
ソファの背もたれと向かいあっている状態のまま 目を閉じ、体感としてかなりの長い間、次の瞬間に来るであろう恐怖に怯えた。
どこからともなくいい匂いがしてきた。嗅ぎ慣れているわけではないが、知っている匂いだ。
今まで閉じていた目をそっと開け、視線をソファの背もたれからローテーブルに移すと、皿に乗った肉じゃがを思わせる香りやホウレン草のおひたしのような見た目のものが小さく盛られている小鉢、豆腐とわかめであろう味噌汁、炊き立ての白いご飯、メインは天ぷらだろう、エビみたいなのが中央にあるのが分かる1人分に盛られたお盆が2膳ローテーブルに置いてあった。
料理の乗ったローテーブルに気を取られていたら、再び両脇を背後からすくい上げるようにソファから一度床に下された。
カーペットが敷いてある床に白い髪の奴が座る。再び持ち上げられ白い髪の前に座らされた。体の前にはお盆が乗っているローテーブルがあり、背中には白い髪の奴がいる。そして、左右どちらかの手かわからないがその手が腹辺りに置かれていて距離を開けようにも動けない。また、先ほどの恐怖を思い出してしまった。
腹の辺りに置かれていた手の感覚がなくなり、目線をあげると、白い髪の奴は人をローテーブルとの間に入れたまま退かさず、この状態のまま飯を食うのか、手には箸のようなのが見えた。視線を手から正面のローテーブルに向けると一人分はお盆の上に綺麗に乗ったままあるが、もう一人分はいつの間にかどちらか左右に分散していた。
これではまるで、正面にあるお盆の上の食事をここで食えと言っているようではないか。
もうすでに白い髪の奴は白いご飯や肉じゃがみたいなのを食い始めた。
食べることに躊躇いはあったが、温かい食事が前にあり、白い髪の奴が同じものを食っているのだから毒はないだろう。
お盆の手前側には箸はもちろんなぜかスプーンとフォーク、ナイフがあった。迷わず箸を取る。が、本当に食べていいのかとやはり考える。
箸だけ持っていると、すぐ後ろにいる白い髪の奴がこちらを覗き込むような視線に気づいた。
見られている視線があるが、腹は減っていることには変わりはないので、白いご飯から茶碗を持って一口食べる。
おいしい。
ごはんの一口目を食べた次には味噌汁に、肉じゃが、天ぷらを食べホウレン草のおひたしを一口ずつ食べた。食べたもの全部見た目どうりおいしい。どこか懐かしい味がした。次々に食べていく。器がどんどん空いていった。
少し前に食べきっていた白い髪の奴は感心するような視線を後ろから送ってきた。
最後に味噌汁を飲みきるまで視線はあったため少し食べにくかったが、無視した。
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