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第174話 過去のおはなし(10)
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「……とりあえず今日は寝ていい?」
早速で悪いがという内心のもとベラドンナにそう伝える。
「確かにあなた…一睡もしてないって言ってたし…」
「うん。今ならバッタリ倒れる自信ある」
現状寝不足のせいで頭の中がボーッとするのかと思えば、何故だかパーッてしたい気分になっている。
「とにかくだよ…私は眠い。うん眠いんだよ」
同じことを二度言っている気がする。なんだかこうなる原因があった気がする。
「じゃあまた明日、ここで会おう」
私は挨拶もそこそこにその場を去って行く。
「いつ集まるのー?」
「昼くらいにのんびりとー!」
私はそう言うと歩き出す。眠っていないせいか、スキップでもしたい気分だったが、そんな柄でもないし、第一人目があるのでやめることにした。
あと帰ったらすぐに眠れた。気づいたら夜になってたけど。
そして…彼女とパーティーを組んで一週間が経った頃だった。その間はこれと言って特に何もなく、騎士団は帰った。
どうやら話し合いをした騎士がうまく話をまとめてくれたらしいが、悪い意味の噂が私とベラドンナの周りで広がることになった。
「なんだか私達有名になってるね…」
「私が騎士の一人ぶっ飛ばしたからね。でも後悔はしてない」
「あのねぇ…」
ベラドンナとはこういう感じでまだ波長こそ合わないもののお互いに親近感自体は湧いてきている。現にオオサソリとか言う地中から奇襲仕掛けて来る系の魔物の討伐の際も
「そっち行ったー!」
私がベラドンナにそう声を掛けると元気そうな返事が返ってくる。
程なくしてズドン!という音と共に前方に衝撃波が広がる。地面ごと抉り取ったと見るべきか。
「……そこまでやる?」
…若干オオサソリという人間大サイズの魔物相手にはやり過ぎな気もしなくはないが。
「そう言えばアナリスって常に魔力張ってたりする?」
ある日のこと突然そう聞かれた。いつもの酒場でジュースを飲んでいた時だ。
「…張ってる?」
「そう。いつも魔法使ってるみたいな感じするから」
「あぁ…」
正直はっきり口に出して言うべきか迷った。そして数秒間の沈黙の後
「[真似事]って言う魔法をずっと私に掛けてる」
「マネゴト…?」
「簡単に言えば相手の魔法をそっくりそのまま使える。ただし条件もあるけど」
「え…」
ベラドンナは心底驚いたようだった。
「じゃあ私が今まで使ってきた魔法も…?」
「無論使える。でも剣技とかそういう技は無理っぽい。術限定」
「…そんなすごい魔法どうやって…」
「創った」
「え…」
ベラドンナは驚いてばかりだ。それもそうだろう。他人が使う魔法、習得までにどれだけ掛かったか、どれだけ知識を手に入れたかに関わらずその魔法をコピーし、使う事ができるのだから。
「ホントに…どうやって…?」
「…分かんない。けどいつの間にか使えるようになってた。ある日起きたらって感じでね。気づいたのはたまたま、なんだかいつもと調子違うなって思ったら。魔法省の文献には載ってなかったし新しい魔法かなーって」
「それは…そうだろうけど…私そんな魔法、本で見たことないよ」
「それはまあ言ってないからね、だから秘密を明かしたのはベラドだけ」
「え…ええ!?」
「…そんな大きい声出さないでもらえる?秘密が秘密じゃなくなっちゃう」
「え…でもどうして…?」
「どうしてって…いわば個性なわけじゃん。魔法省にそれを教えたらその魔法が二度と使えないとか…なんでって思うから。私の魔法なのにって」
「それは…そうだけど」
「納得できない?」
「…いや!納得する。アナリスが言ってることも正しいと思う!」
すごい適当に言ってる感が否めない。そう思っていると
「だって大事なパートナーが言う事だしね」
…騙されそうで怖いなこの子。
そして…あの日がやって来る。そう…あれはただの魔物狩りのはずだったのに。
早速で悪いがという内心のもとベラドンナにそう伝える。
「確かにあなた…一睡もしてないって言ってたし…」
「うん。今ならバッタリ倒れる自信ある」
現状寝不足のせいで頭の中がボーッとするのかと思えば、何故だかパーッてしたい気分になっている。
「とにかくだよ…私は眠い。うん眠いんだよ」
同じことを二度言っている気がする。なんだかこうなる原因があった気がする。
「じゃあまた明日、ここで会おう」
私は挨拶もそこそこにその場を去って行く。
「いつ集まるのー?」
「昼くらいにのんびりとー!」
私はそう言うと歩き出す。眠っていないせいか、スキップでもしたい気分だったが、そんな柄でもないし、第一人目があるのでやめることにした。
あと帰ったらすぐに眠れた。気づいたら夜になってたけど。
そして…彼女とパーティーを組んで一週間が経った頃だった。その間はこれと言って特に何もなく、騎士団は帰った。
どうやら話し合いをした騎士がうまく話をまとめてくれたらしいが、悪い意味の噂が私とベラドンナの周りで広がることになった。
「なんだか私達有名になってるね…」
「私が騎士の一人ぶっ飛ばしたからね。でも後悔はしてない」
「あのねぇ…」
ベラドンナとはこういう感じでまだ波長こそ合わないもののお互いに親近感自体は湧いてきている。現にオオサソリとか言う地中から奇襲仕掛けて来る系の魔物の討伐の際も
「そっち行ったー!」
私がベラドンナにそう声を掛けると元気そうな返事が返ってくる。
程なくしてズドン!という音と共に前方に衝撃波が広がる。地面ごと抉り取ったと見るべきか。
「……そこまでやる?」
…若干オオサソリという人間大サイズの魔物相手にはやり過ぎな気もしなくはないが。
「そう言えばアナリスって常に魔力張ってたりする?」
ある日のこと突然そう聞かれた。いつもの酒場でジュースを飲んでいた時だ。
「…張ってる?」
「そう。いつも魔法使ってるみたいな感じするから」
「あぁ…」
正直はっきり口に出して言うべきか迷った。そして数秒間の沈黙の後
「[真似事]って言う魔法をずっと私に掛けてる」
「マネゴト…?」
「簡単に言えば相手の魔法をそっくりそのまま使える。ただし条件もあるけど」
「え…」
ベラドンナは心底驚いたようだった。
「じゃあ私が今まで使ってきた魔法も…?」
「無論使える。でも剣技とかそういう技は無理っぽい。術限定」
「…そんなすごい魔法どうやって…」
「創った」
「え…」
ベラドンナは驚いてばかりだ。それもそうだろう。他人が使う魔法、習得までにどれだけ掛かったか、どれだけ知識を手に入れたかに関わらずその魔法をコピーし、使う事ができるのだから。
「ホントに…どうやって…?」
「…分かんない。けどいつの間にか使えるようになってた。ある日起きたらって感じでね。気づいたのはたまたま、なんだかいつもと調子違うなって思ったら。魔法省の文献には載ってなかったし新しい魔法かなーって」
「それは…そうだろうけど…私そんな魔法、本で見たことないよ」
「それはまあ言ってないからね、だから秘密を明かしたのはベラドだけ」
「え…ええ!?」
「…そんな大きい声出さないでもらえる?秘密が秘密じゃなくなっちゃう」
「え…でもどうして…?」
「どうしてって…いわば個性なわけじゃん。魔法省にそれを教えたらその魔法が二度と使えないとか…なんでって思うから。私の魔法なのにって」
「それは…そうだけど」
「納得できない?」
「…いや!納得する。アナリスが言ってることも正しいと思う!」
すごい適当に言ってる感が否めない。そう思っていると
「だって大事なパートナーが言う事だしね」
…騙されそうで怖いなこの子。
そして…あの日がやって来る。そう…あれはただの魔物狩りのはずだったのに。
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