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第173話 過去のおはなし(9)
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「…もう一度言おう。この中にあのドラゴンをああやった張本人がいるはずだ。名乗り出てもらおう!」
シーン……
「……」
「……」
「……」
「……」
「ンンンン…!なんで誰も名乗り出らぬ!?ここはこの街唯一の冒険者ギルドだ!いないなどありえんだろう!」
「えっと…私…です」
声を上げたのはベラドンナだった。
「ほうほう、お主か…我々の仕事を奪ってくれたのは…」
「あ、私だけじゃなくてこの子も…」
あー、私も巻き込まれた。この子というのは私しかいない。
そもそも…あいつは仕事を奪ったと言っている時点で好意的には接してくれないことくらい分かる。
「へぇ、君達みたいなまだ子供がやったのか。あれを?」
「まあ、そうですけど…」
ベラドンナはこういう圧には弱いようだ。腰を低くして相手の様子を伺っている。
「だったら何?それがどうかしたの?」
まあ、私は強気でいくけども。
「へぇ、威勢が良いお嬢ちゃんがいるもんだ」
「私お嬢ちゃんって言われる歳じゃないんだけどなぁ」
ニッコリと笑ってそう返す。
「いやいやお嬢ちゃんだよ君は。冒険者の若年化が進んでるとは聞いたけど、まさか君達みたいなまだ………」
「あ」
「あ」
言い終わる前に吹き飛ばした。彼は今、壁に叩きつけられ、目を回している。
「まあ、このくらいじゃ死なないでしょ」
「いやそういう話じゃないと思う…」
隣でベラドンナが何か言いたげに苦笑じみた顔をしている。
「…………」
「…………」
その後冒険者と騎士団の間で変な空気が生まれたのは言うまでもない。
~2時間後~
「…隊長は今頭を冷やしてもらっています…それで…話を…」
「あぁ…」
若い騎士が私達にまるで尋問かのような空気になりながらも話しかけてくる。
「いや…その…本当にあなた方が倒されたんですか?」
「そうですけど…何か?」
「い、いいえ、ただにわかに信じ難いというか…あのドラゴンは魔法が効かないのでどうやって倒したのか…」
「いや…話せば長くなるんですけど…」
私はどうにか手短に話すと騎士は驚いたような表情を作りながら
「そんな風に倒すという事例は今までにありませんが…可能なんですね…」
「まあはい」
結構曖昧な返事へとなったが、騎士はそれで満足したのかその場を立ち去ろうとする。
「ご迷惑おかけしました…!」
「いや…こちらこそ…はい」
お互いにあんな事の後ではかなり気まずい。が、元はと言えばあいつが悪いので…
「そ、それでは…!」
騎士は足早に去って行った。
「……やらかした?私」
「かなりやらかしてるよ!」
テッテン!で終わるわけには行かないようだな。
「いや…でもあのままだったら私達舐められてるよ」
「それは…そうだけど…」
「それに報奨金が貰えなかったらこの仕事やる意味ない」
ベラドンナは私が言った事に納得の行かないようだった。どうやら私と感性が合わないことには薄々気づいているらしい。
「ねぇ、結局のところアナリスはどうするの?」
「何を?」
「私とパーティ組むこと」
あぁ、そう言えばそんな話あったね。
「…私はやめたほうがいいと思うよ。私そんなにお人好しじゃないし、第一ベラドと合わない。けど…ベラド次第だけど…私は…
このコンビ…良いと思う。なんだかんだで…楽しかった…うん」
「え?」
ベラドンナは聞き取れなかったのか困惑したように見えた。結構照れ臭いからやめてほしい。
「…続けてもいいよって話、ベラド次第で決めるけど」
「…え、ほんと?やったー!」
「声大きいな」
予想以上にベラドンナは喜んだ。何故こうも嬉しがるのか…
「私てっきり断られるかと思ってた、だよね、だよね!うん、私とあなただったらドラゴンだって倒せちゃうもの、続けるしかないわよね!」
「は、はぁ」
「正直断られるかとヒヤヒヤしてたの」
「そ、そうなんだ。でもベラドは私と一緒でいいわけ?」
「え、私は全然大丈夫よ。同年代の子と一緒の時点で嬉しいわけだし…何より…」
何より…?何だろうか。
「私のことベラドって呼んでくれてる。だからあなたも私のこと頼りにしてくれてるなぁって…」
「あっ…」
そう言えばいつの間にかそう呼んでいた。単純に君って言いづらいから名前で呼んでいたが。
「というわけで…改めてよろしくね!」
「…こちらこそよろしく」
こうして凹凸かもしれないコンビが出来上がった。
シーン……
「……」
「……」
「……」
「……」
「ンンンン…!なんで誰も名乗り出らぬ!?ここはこの街唯一の冒険者ギルドだ!いないなどありえんだろう!」
「えっと…私…です」
声を上げたのはベラドンナだった。
「ほうほう、お主か…我々の仕事を奪ってくれたのは…」
「あ、私だけじゃなくてこの子も…」
あー、私も巻き込まれた。この子というのは私しかいない。
そもそも…あいつは仕事を奪ったと言っている時点で好意的には接してくれないことくらい分かる。
「へぇ、君達みたいなまだ子供がやったのか。あれを?」
「まあ、そうですけど…」
ベラドンナはこういう圧には弱いようだ。腰を低くして相手の様子を伺っている。
「だったら何?それがどうかしたの?」
まあ、私は強気でいくけども。
「へぇ、威勢が良いお嬢ちゃんがいるもんだ」
「私お嬢ちゃんって言われる歳じゃないんだけどなぁ」
ニッコリと笑ってそう返す。
「いやいやお嬢ちゃんだよ君は。冒険者の若年化が進んでるとは聞いたけど、まさか君達みたいなまだ………」
「あ」
「あ」
言い終わる前に吹き飛ばした。彼は今、壁に叩きつけられ、目を回している。
「まあ、このくらいじゃ死なないでしょ」
「いやそういう話じゃないと思う…」
隣でベラドンナが何か言いたげに苦笑じみた顔をしている。
「…………」
「…………」
その後冒険者と騎士団の間で変な空気が生まれたのは言うまでもない。
~2時間後~
「…隊長は今頭を冷やしてもらっています…それで…話を…」
「あぁ…」
若い騎士が私達にまるで尋問かのような空気になりながらも話しかけてくる。
「いや…その…本当にあなた方が倒されたんですか?」
「そうですけど…何か?」
「い、いいえ、ただにわかに信じ難いというか…あのドラゴンは魔法が効かないのでどうやって倒したのか…」
「いや…話せば長くなるんですけど…」
私はどうにか手短に話すと騎士は驚いたような表情を作りながら
「そんな風に倒すという事例は今までにありませんが…可能なんですね…」
「まあはい」
結構曖昧な返事へとなったが、騎士はそれで満足したのかその場を立ち去ろうとする。
「ご迷惑おかけしました…!」
「いや…こちらこそ…はい」
お互いにあんな事の後ではかなり気まずい。が、元はと言えばあいつが悪いので…
「そ、それでは…!」
騎士は足早に去って行った。
「……やらかした?私」
「かなりやらかしてるよ!」
テッテン!で終わるわけには行かないようだな。
「いや…でもあのままだったら私達舐められてるよ」
「それは…そうだけど…」
「それに報奨金が貰えなかったらこの仕事やる意味ない」
ベラドンナは私が言った事に納得の行かないようだった。どうやら私と感性が合わないことには薄々気づいているらしい。
「ねぇ、結局のところアナリスはどうするの?」
「何を?」
「私とパーティ組むこと」
あぁ、そう言えばそんな話あったね。
「…私はやめたほうがいいと思うよ。私そんなにお人好しじゃないし、第一ベラドと合わない。けど…ベラド次第だけど…私は…
このコンビ…良いと思う。なんだかんだで…楽しかった…うん」
「え?」
ベラドンナは聞き取れなかったのか困惑したように見えた。結構照れ臭いからやめてほしい。
「…続けてもいいよって話、ベラド次第で決めるけど」
「…え、ほんと?やったー!」
「声大きいな」
予想以上にベラドンナは喜んだ。何故こうも嬉しがるのか…
「私てっきり断られるかと思ってた、だよね、だよね!うん、私とあなただったらドラゴンだって倒せちゃうもの、続けるしかないわよね!」
「は、はぁ」
「正直断られるかとヒヤヒヤしてたの」
「そ、そうなんだ。でもベラドは私と一緒でいいわけ?」
「え、私は全然大丈夫よ。同年代の子と一緒の時点で嬉しいわけだし…何より…」
何より…?何だろうか。
「私のことベラドって呼んでくれてる。だからあなたも私のこと頼りにしてくれてるなぁって…」
「あっ…」
そう言えばいつの間にかそう呼んでいた。単純に君って言いづらいから名前で呼んでいたが。
「というわけで…改めてよろしくね!」
「…こちらこそよろしく」
こうして凹凸かもしれないコンビが出来上がった。
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