上 下
161 / 237

第137話 テロ(2)

しおりを挟む
2022年 9月5日

アメリカ合衆国 ペンシルベニア州 フィラデルフィア 自由の鐘付近

アメリカ合衆国 メリーランド州 ノースオーシャンシティ

イギリス バーミンガム バーミンガム・ニューストリート駅

上記3つの都市で銃乱射事件が発生。中東勢力によるテロだともされたが、犯行グループがYouTubeに声明を発表。彼らはSURFER FROM SUFFERINGと名乗った。
____________________
「いいぞ!いいぞ!」

「遂にやりましたよリーダー!」

「まだだ、まだ終わらん!俺はまだこの炎を広げてやる!」

「その…カリスマ性…誰もがあなたに付いて行きたくなるでしょう!このすわりの悪い世の中を…変えることが…」

「次は奴らだ。奴らを殺す。俺が一番嫌いな奴ら…アジア人共を…」

「彼らも準備を整えています。さあ、行きましょう。日本へと」
_________________
2022年 9月13日 日本 千葉県

「秋葉原?」

「そう。秋葉原」

「どこですかそれは?」

俺はヒカルが言う秋葉原について聞く。

「日本の象徴的文化が集まる街」

「いや無理でしょ」

「ん?」

「顔。テレビ。やばいことくらい俺でも分かるってのに」

「だいじょーぶだいじょーぶ。そこはアナリスさんに幻惑魔法かけてもらうから。顔の区別を曖昧にするとかいう」

「それって…ここに帰ってくるためにしたやつか?ご隠居暮らしにならなかったのは良かったけど」

「幻惑魔法、[五感曖昧]とか言うなんともかっこいい魔法を使ってくれればいいわけで」

「リスク高すぎだろ。てかもうめんどいからどこにも行きたくない」

「…頼む」

ヒカルは顔の前で手を合わせる。深刻そうな言葉遣いのわりに顔は笑ってる。

「てか秋葉原に何があるんだよ?」

「行けば分かる。一人だと気まずい」

「えぇ…」

「決行日は9月15日な。魔王軍の場所さえ分かれば潰してもらえるけど分かんないからなぁ~。やる事ないなら付いて来てよ、楽しいよ?」

潰せるではなく潰してもらえるという受け身。とは言え俺も特に何かすることがあるわけでもないので

「ええよ」

「ほんと?よし!」

かくして俺達はジャパニーズトラディションシティに出向くことになった。
_________________
2022年 9月14日 モロッコ マラケシュ郊外 TSA基地

「F-35Bの4機、UH-60の3機、AH-6Jの8機パイロット4名、投入した部隊の死者数は18名、計22名の損害と死亡が確認されました」

「奴はどうなってる?」

アルフレッド オルン大佐は短く簡潔にそう言うと答えを待つ。マイク アレックスはこの後言うべき言葉を巡らせる。

「衛星と無人偵察機で監視していたところ…ナイジェリアとニジェール国境地帯で飛行型生物によって回収。消息を絶ってます」

「その飛行型生物については?」

「リビア軍のレーダー基地で存在が確認されたようです。ですがスクランブルは行っていないようです。レーダーの反応が小さく、誤作動もしくは故障と勘違いしたのかと」

「なるほど、な…」

「それと…奴が目の前で発していた言葉…」

「魔王…か?」

「はい。ファランクスという名前自体は古代ギリシア時代のスパルタが行っていた戦術…もしくは海軍のM61」

「おそらくだがそれがそいつの名前なんだろうな。それより気になるのはやはり魔王という言葉。魔王は代々世界を破滅に導く者の代名詞だ…」

「……どうしますか?大佐」

「これは私の手に負えなくなるかもしれん…」

「既に本部には伝えてあります。撤退もしてよいと」

「そうだな。奴らの居場所が分からない以上、ここに留まる意味はない。ドラゴンの状況も気になるしな。すぐに全員に伝えてくれ」

「分かりました」

「あぁ、それとだ」

大佐は暗い会議室を出ようとする俺を呼び止める。

「上からの命令で君達に休暇がでている」

「休暇ですか?」

俺は後ろ向きにそう言うと大佐は続けて

「名目は現地調査の心身管理のためらしい。しばらく休んで回復しろとのことだ。想定内ではなかった事態であったわけでもあるしな」

「分かりました。ありがとうございます」

「あぁ、幸運を」

俺はゆっくりと暗がりから出ていった。







しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

私のお父様とパパ様

ファンタジー
非常に過保護で愛情深い二人の父親から愛される娘メアリー。 婚約者の皇太子と毎月あるお茶会で顔を合わせるも、彼の隣には幼馴染の女性がいて。 大好きなお父様とパパ様がいれば、皇太子との婚約は白紙になっても何も問題はない。 ※箱入り娘な主人公と娘溺愛過保護な父親コンビのとある日のお話。 追記(2021/10/7) お茶会の後を追加します。 更に追記(2022/3/9) 連載として再開します。

旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします

暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。 いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。 子を身ごもってからでは遅いのです。 あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」 伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。 女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。 妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。 だから恥じた。 「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。 本当に恥ずかしい… 私は潔く身を引くことにしますわ………」 そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。 「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。 私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。 手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。 そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」 こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。 --------------------------------------------- ※架空のお話です。 ※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。 ※現実世界とは異なりますのでご理解ください。

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

【12/29にて公開終了】愛するつもりなぞないんでしょうから

真朱
恋愛
この国の姫は公爵令息と婚約していたが、隣国との和睦のため、一転して隣国の王子の許へ嫁ぐことになった。余計ないざこざを防ぐべく、姫の元婚約者の公爵令息は王命でさくっと婚姻させられることになり、その相手として白羽の矢が立ったのは辺境伯家の二女・ディアナだった。「可憐な姫の後が、脳筋な辺境伯んとこの娘って、公爵令息かわいそうに…。これはあれでしょ?『お前を愛するつもりはない!』ってやつでしょ?」  期待も遠慮も捨ててる新妻ディアナと、好青年の仮面をひっ剥がされていく旦那様ラキルスの、『明日はどっちだ』な夫婦のお話。    ※なんちゃって異世界です。なんでもあり、ご都合主義をご容赦ください。  ※新婚夫婦のお話ですが色っぽさゼロです。Rは物騒な方です。  ※ざまあのお話ではありません。軽い読み物とご理解いただけると幸いです。 ※コミカライズにより12/29にて公開を終了させていただきます。

冷たかった夫が別人のように豹変した

京佳
恋愛
常に無表情で表情を崩さない事で有名な公爵子息ジョゼフと政略結婚で結ばれた妻ケイティ。義務的に初夜を終わらせたジョゼフはその後ケイティに触れる事は無くなった。自分に無関心なジョゼフとの結婚生活に寂しさと不満を感じながらも簡単に離縁出来ないしがらみにケイティは全てを諦めていた。そんなある時、公爵家の裏庭に弱った雄猫が迷い込みケイティはその猫を保護して飼うことにした。 ざまぁ。ゆるゆる設定

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

処理中です...