上 下
160 / 237

第136話 テロ

しおりを挟む
「クソ共が!!死にやがれ!!」

ダダダダッ!

二日前 アメリカ合衆国 モンタナ州

「現在このショッピングモールにて銃撃が!」

大型のショッピングモール。人々が混乱し逃げ惑う。外へ出ようと大勢の人が押しかけていた。

「現在、警察官達がこちらへと向かっているようですが…イベントの中継を急遽変更して、ここからはこの…きゃあ!」

その時、銃弾がショッピングモールのガラス窓を破って近くの車へと被弾する。

「すぐに逃げてください。頭を伏せて逃げて!」

アナウンサーの女性はそう言うと自身も逃げ出そうとする。ショッピングモールの銃撃がある地点からは少しも離れていない。

カメラマンの走る衝撃でカメラが揺れる。ガタガタと。

その時、その場を切り裂くような叫びが聞こえる。

「お前らのせいだ!俺の職がねぇのは!死ね!死ねぇ!」

ダダダダッ!

銃撃の音。絶え間なく響く絶叫がなお人々を混乱させていく。パトカーと救急車のサイレンが遠くから聞こえる。だが突然カメラが大きく地面へと向かっていく、と同時にカメラには倒れている人が映る。

その人は胸のあたりから血が流れていた。その風貌からしてカメラマンと察せる。その人はピクリとも動かない。

カメラはまだ動いていた。音声としっかりと撮れていた。目の前にあるエスカレーター、そこから悠然と男が現れる。全身を黒に包み、その手にはライフル銃を持っている。

男は吹き抜けになっている上の階に銃撃をする。薬莢が男の周りにカランカランと落ちていく。

パトカーと救急車のサイレンが近くにまで響くと同時にカメラから光が消えた。
_________________
「クソがぁ!クソがぁ!」

男はひたすらに銃を撃っていた。動く物ならなんにでも銃を撃っていた。その男の足からは血が出ている。男は足を引きずりながら後ずさっていく。

「クソッ!」

男は明らかな動揺を見せていた。それが内にドス黒い感情となって湧き出ていく。

SWATは目の前にまで迫っている。男は後ずさりながらひたすらに銃撃した。その時、何かにひっかかり男は尻もちをついた。見るとそこにあったのは自分が粉々にした観賞用の植木鉢だ。

「クソg!……」

男は立ち上がろうとした。足の痛みはアドレナリンで感じていなかった。だがその前に男の胸には銃撃が被弾している。そして男はようやく気づく。

自分は無数の赤いレーザーに当てられていた。それか銃の発するレーザーライトだと分かることはない。男は状況が理解できなかった。

「あの時に…待ってれば…もっと…人を…殺せたの…に…」

男は多くのSWAT隊員に見られながら息を引き取った。
_________________
「モンタナ州のショッピングモールで起きた事件だが…FBIが資料を持ってきてくれた。犯人は無職の30代の男、過去に強盗で服役もしていた…だがその男、奇妙な物を持っていた…何かの証か。SURFER FROM SUFFERINGと書かれた髑髏の紋章を…」
_________________
「我がリーダーよ。モンタナ州でのこの事件。どうやら我が集団の一員が起こしたようです」

「待ち切れなかったと言うのか?」

「そのようです。先を越してしまったのかと」

「少ないな。考えもチープだ。何故モンタナ州で事件を起こした?」

「さあ?分かりません」

「次はどうなる?馬鹿でかい花火を期待しているぞ」

「次は…ペンシルジニア州とメリーランド州。そして…」

「作戦実行者は?」

「例のアメリカ人です。彼のおかげでここまで道具の調達がうまくいった」

「全ては順調だ。彼らはまだ我々の恐ろしさを知らない。エイリアン共だけが全てじゃない。この世はエイリアン共によって変わっちまった。いまや架空の現実は今になりつつある。俺はこの世で名を馳せてやる!」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします

暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。 いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。 子を身ごもってからでは遅いのです。 あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」 伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。 女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。 妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。 だから恥じた。 「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。 本当に恥ずかしい… 私は潔く身を引くことにしますわ………」 そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。 「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。 私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。 手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。 そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」 こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。 --------------------------------------------- ※架空のお話です。 ※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。 ※現実世界とは異なりますのでご理解ください。

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

【12/29にて公開終了】愛するつもりなぞないんでしょうから

真朱
恋愛
この国の姫は公爵令息と婚約していたが、隣国との和睦のため、一転して隣国の王子の許へ嫁ぐことになった。余計ないざこざを防ぐべく、姫の元婚約者の公爵令息は王命でさくっと婚姻させられることになり、その相手として白羽の矢が立ったのは辺境伯家の二女・ディアナだった。「可憐な姫の後が、脳筋な辺境伯んとこの娘って、公爵令息かわいそうに…。これはあれでしょ?『お前を愛するつもりはない!』ってやつでしょ?」  期待も遠慮も捨ててる新妻ディアナと、好青年の仮面をひっ剥がされていく旦那様ラキルスの、『明日はどっちだ』な夫婦のお話。    ※なんちゃって異世界です。なんでもあり、ご都合主義をご容赦ください。  ※新婚夫婦のお話ですが色っぽさゼロです。Rは物騒な方です。  ※ざまあのお話ではありません。軽い読み物とご理解いただけると幸いです。 ※コミカライズにより12/29にて公開を終了させていただきます。

冷たかった夫が別人のように豹変した

京佳
恋愛
常に無表情で表情を崩さない事で有名な公爵子息ジョゼフと政略結婚で結ばれた妻ケイティ。義務的に初夜を終わらせたジョゼフはその後ケイティに触れる事は無くなった。自分に無関心なジョゼフとの結婚生活に寂しさと不満を感じながらも簡単に離縁出来ないしがらみにケイティは全てを諦めていた。そんなある時、公爵家の裏庭に弱った雄猫が迷い込みケイティはその猫を保護して飼うことにした。 ざまぁ。ゆるゆる設定

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

伯爵夫人のお気に入り

つくも茄子
ファンタジー
プライド伯爵令嬢、ユースティティアは僅か二歳で大病を患い入院を余儀なくされた。悲しみにくれる伯爵夫人は、遠縁の少女を娘代わりに可愛がっていた。 数年後、全快した娘が屋敷に戻ってきた時。 喜ぶ伯爵夫人。 伯爵夫人を慕う少女。 静観する伯爵。 三者三様の想いが交差する。 歪な家族の形。 「この家族ごっこはいつまで続けるおつもりですか?お父様」 「お人形遊びはいい加減卒業なさってください、お母様」 「家族?いいえ、貴方は他所の子です」 ユースティティアは、そんな家族の形に呆れていた。 「可愛いあの子は、伯爵夫人のお気に入り」から「伯爵夫人のお気に入り」にタイトルを変更します。

処理中です...