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第134話 取り返し(2)
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「侵入者発生!侵入者発生!」
「どこにいるか確認しろ!」
「監視カメラとドローンからの映像は!?」
「偵察ヘリコプター発進!赤外線での探索開始!」
「既に基地外へ逃亡した模様!」
「被害は!?」
「証拠品が…鎧が盗まれました。大変です!」
「なんとしてでも取り返せ!」
_________________
「おーい、早く!」
俺は早口にそう言うとヒカルとキルアはスピードを上げてこちらへと向かってくる。
「ヘリコプターがき、来てる」
ヒカルは息を切らしながらそう言うと後部座席へと乗り込む。キルアも乗り込んだのを見て、慎重に車を発進させる。
「お、お前ほんとに異世界の暗殺者なのかよ…。なんで…せき、赤外線に…引っかかるわけ?」
とぎれとぎれながもヒカルはキルアに当てつけるが
「し、しゃあないだろ!あたしだってあんな赤い線、当たったらまずいことくらい分かったさ!でも…熱感知の魔法で死ぬレベルのやつじゃなかった…から」
「死にはしないがバレる代物だったわけね。映画のバイハザみたく細切れにならなくて良かったな」
「その…私のせいですみません…」
もとはカノンが言い出した、というよりカノンの私物を取り返そうとしたための事態であるため、居心地は最悪だろう。
「鎧は大丈夫です。あきらめま…」
「取ってきたぞ!ほら!物質収縮の魔法使ってたから気づかなかったのか?」
そう言うと豆粒大であったであろう鎧が大きくなってキルアの手に現れる。
「ひえっ…」
俺は振り向いてドン引きの声を上げる。何故なら物質収縮の魔法自体は俺でも使えるが、その効果がやはりというか…とんでもない。何故あの鎧を豆粒大にできるのだろうか。
「って、重!重!」
そう言うとキルアは再び鎧を小さくする。この魔法、生き物と有機物には効果がない事が幸いである。
こうして車でドンドンと基地から離れていく…が
ババババ!
聞き慣れた音が耳に聞こえる。ヒカルが窓を開け、そして叫ぶ。
「右にAH-6リトルバード!やばいよ!」
「どうして!?」
アナリスがそう聞くとヒカルは
「7.62mm砲で撃たれたらこの車吹き飛ばされ…」
ダダダダッッ!!
言ってるそばからそのリトルバードが砲撃をこちらへと向けてきた。
「前に出ました!」
カノンがそう叫ぶ。前方を覆うようにしてリトルバードがこちらへ銃口を向けていた。
「くるぞ!アナリス!出番!」
ヒカルを合図にアナリスは光を手の中から発する。
「機関砲d…」
チュドーン!
「ぎゃあああ!!!」
俺は目の前の視界の反転と突然の出来事に叫んでしまう。
しばらくすると視界は元に戻った。もう運転なんかしたくない。
「LAU-68Dロケット…容赦ねぇなあ!」
「というか今、ひっくり返った気がするんだが…?」
「私が戻したの!スナイパーライフルとかないわけ!?」
「やっぱりこの世界って…剣が役に立たない…」
「なんで…なんで鉄が空飛べんだよ!おかしいだろ!あたしでもできないぞ!」
阿鼻叫喚の一言に尽きた。リトルバードは行く手を遮るようにして飛行している。
「私がどうにかする!車に魔法陣張るから時間稼ぎを…」
「待って…」
アナリスが魔法陣を張ろうとした瞬間、キルアが身を乗り出して車外へ出ようとする。
「あたし思いついちゃったぁ!」
キルアは笑顔でそう言うと、車の上へと乗る。天井は凹みこそしなかったがバン!という大きな衝撃音が一面に広がる。
「何をする気なんですか!?」
「ふぅぅ!」
カノンの問いに答えることはない。キルアは次の瞬間、前へと飛び出る。
その姿は走ってる車の速度を越え、遂にはヘリコプターに張り付くまでに至る。ヘリコプターは目の前に人が張り付いた影響か制御を失い、去っていく。
「ほいよ!」
いつの間にか車の中に戻ってきていたキルアは手にある物を見せる。
「小さくして取ってきてやったぜ」
それはヘリコプターのローター部分、直後ヒュンヒュンという音と共にドカン!と落ちる音が響き渡った。
「どこにいるか確認しろ!」
「監視カメラとドローンからの映像は!?」
「偵察ヘリコプター発進!赤外線での探索開始!」
「既に基地外へ逃亡した模様!」
「被害は!?」
「証拠品が…鎧が盗まれました。大変です!」
「なんとしてでも取り返せ!」
_________________
「おーい、早く!」
俺は早口にそう言うとヒカルとキルアはスピードを上げてこちらへと向かってくる。
「ヘリコプターがき、来てる」
ヒカルは息を切らしながらそう言うと後部座席へと乗り込む。キルアも乗り込んだのを見て、慎重に車を発進させる。
「お、お前ほんとに異世界の暗殺者なのかよ…。なんで…せき、赤外線に…引っかかるわけ?」
とぎれとぎれながもヒカルはキルアに当てつけるが
「し、しゃあないだろ!あたしだってあんな赤い線、当たったらまずいことくらい分かったさ!でも…熱感知の魔法で死ぬレベルのやつじゃなかった…から」
「死にはしないがバレる代物だったわけね。映画のバイハザみたく細切れにならなくて良かったな」
「その…私のせいですみません…」
もとはカノンが言い出した、というよりカノンの私物を取り返そうとしたための事態であるため、居心地は最悪だろう。
「鎧は大丈夫です。あきらめま…」
「取ってきたぞ!ほら!物質収縮の魔法使ってたから気づかなかったのか?」
そう言うと豆粒大であったであろう鎧が大きくなってキルアの手に現れる。
「ひえっ…」
俺は振り向いてドン引きの声を上げる。何故なら物質収縮の魔法自体は俺でも使えるが、その効果がやはりというか…とんでもない。何故あの鎧を豆粒大にできるのだろうか。
「って、重!重!」
そう言うとキルアは再び鎧を小さくする。この魔法、生き物と有機物には効果がない事が幸いである。
こうして車でドンドンと基地から離れていく…が
ババババ!
聞き慣れた音が耳に聞こえる。ヒカルが窓を開け、そして叫ぶ。
「右にAH-6リトルバード!やばいよ!」
「どうして!?」
アナリスがそう聞くとヒカルは
「7.62mm砲で撃たれたらこの車吹き飛ばされ…」
ダダダダッッ!!
言ってるそばからそのリトルバードが砲撃をこちらへと向けてきた。
「前に出ました!」
カノンがそう叫ぶ。前方を覆うようにしてリトルバードがこちらへ銃口を向けていた。
「くるぞ!アナリス!出番!」
ヒカルを合図にアナリスは光を手の中から発する。
「機関砲d…」
チュドーン!
「ぎゃあああ!!!」
俺は目の前の視界の反転と突然の出来事に叫んでしまう。
しばらくすると視界は元に戻った。もう運転なんかしたくない。
「LAU-68Dロケット…容赦ねぇなあ!」
「というか今、ひっくり返った気がするんだが…?」
「私が戻したの!スナイパーライフルとかないわけ!?」
「やっぱりこの世界って…剣が役に立たない…」
「なんで…なんで鉄が空飛べんだよ!おかしいだろ!あたしでもできないぞ!」
阿鼻叫喚の一言に尽きた。リトルバードは行く手を遮るようにして飛行している。
「私がどうにかする!車に魔法陣張るから時間稼ぎを…」
「待って…」
アナリスが魔法陣を張ろうとした瞬間、キルアが身を乗り出して車外へ出ようとする。
「あたし思いついちゃったぁ!」
キルアは笑顔でそう言うと、車の上へと乗る。天井は凹みこそしなかったがバン!という大きな衝撃音が一面に広がる。
「何をする気なんですか!?」
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カノンの問いに答えることはない。キルアは次の瞬間、前へと飛び出る。
その姿は走ってる車の速度を越え、遂にはヘリコプターに張り付くまでに至る。ヘリコプターは目の前に人が張り付いた影響か制御を失い、去っていく。
「ほいよ!」
いつの間にか車の中に戻ってきていたキルアは手にある物を見せる。
「小さくして取ってきてやったぜ」
それはヘリコプターのローター部分、直後ヒュンヒュンという音と共にドカン!と落ちる音が響き渡った。
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