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第109話 米軍VS異世界人(17)
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戦闘機はいなくなっていた。うざったい轟音は遠くへ消えていた。
俺がやったのだ。あの…無数の炎の玉を、頭に思い浮かべる絡まりあった糸を紡ぎ、解き、出現させた。
俺はハッチの淵にいた。足を滑らせでもすればそのまま体は落ちてしまうだろう。
何が起きたのか自分でも分からない。ただ俺はあの国…ドイツでもそうだった。
俺はどうやら敵を撃退することを再び成し遂げたらしい。残っているのは全身にたぎるような暑さだけだ。
「君って…ほんと訳分かんないよね」
アナリスが俺を見て苦笑しながらそう言う。
「えっと…俺どんな感じだった?」
「どんな感じって…集中力がすごかったです。あと下位魔法の炎でしょうか…それを何十回も発動させて」
「え?」
俺がその集中モードに入った時のことは曖昧だ。ただ下位魔法を何十回も発動というのが気になる。俺の魔力量の都合上、何十回も連続で発動など無理なわけで…
ドン!
機体に強い衝撃が襲いかかる。ヒカルが一人で運転しているようだが操作を誤ったのだろうか。
「あ、あぁ、ごめん落ちるわ」
「「「え?」」」
一斉にヒカルの方に視線が行く。機体は今度こそ角度を下向きへと変える。
「ブレードがひとつとれちゃうの見ちゃった」
直後、物理と魔法の支援を失ったヘリコプターはそのままクルクルと落下を始める。
「振り落とされないように掴まれ!あと喋るなよ舌を切るぞ。現在高度320m」
「なんとなくこうなりそうとは思ったよ私は」
「だったら止めてよおお!!あたしまだ死にたくないい!!」
「神に…祈りましょうか…」
「俺もうやだ…」
おもいおもいが告げる中でヘリコプターの機体は斜めに落ちていく。
やがて地上の景色がはっきり見えるようになる。そこには高速道路だろうか。この街に来るまでとは違い、車の通行量がかなり多い。
ギュオーンという音をたてて風を切っていくヘリコプターは重力によって段々と下向きに加速しながら落下スピードを上げていく。
そして機体はコンクリートでできた道路に機首から45度程度の角度で突っ込む。そして機体後部もガン!と音をたて、道路に激突する。
摩擦によってガリガリという音をたてながら機体はベイブレードのように突き進んでいく。そして機体側面がガードレールにぶつかることによってガン!という音ともに回転は止む。
「…………あ、生きてる」
幸いにも俺は生きていた。ただ機体の損傷は激しく今にも爆発しそうだ。
人がざわざわと騒いでいるのが聞こえる。ここが道路ということは車が走っている。言いたいことは車を巻き込んでいるのかもしれないということだ。
後部ハッチから俺は外を出て、そうなっていないかを確認しに向かう。俺以外の奴らも見た限りだと無事そうだ。全員がハッチへと向かう。
車のヘッドライトが俺達を眩しく照らす。その車からはたくさんの人達が降りて、こちらを見ている。
見渡す限り、他人を巻き込んではいないようだ。罪状に殺人が追加されなかったことを心から安堵する。
殺人未遂ではあるが。
「やばいな。目立ちすぎだし、映画とかだとこのヘリコプターって爆発するもんなんだよな」
ヒカルが悠長にそう言っている。運転席にいた彼の場所が損傷が一番ひどかったがなんとか無事なようだ。
「じゃあ離れたほうがいいね。燃料は漏れてないけど」
アナリスがそう言ったタイミングで俺達は外に出る。
「なんだ?子どもが乗ってんのか?」
「おい…あれ米軍のヘリだぞ」
「墜落してるぞ。中に人はいないのか?」
人々の声が聞こえる中、どうにかこうにか道路の横脇に行こうとした時
「あ…予感的中!」
突然何を言い出しのかと思うとヘリコプターの周りにいた人達をアナリスは退かす。
ドカァァァァン!!!!
俺達が乗っていたヘリコプターは呆気なく爆発四散した。
俺がやったのだ。あの…無数の炎の玉を、頭に思い浮かべる絡まりあった糸を紡ぎ、解き、出現させた。
俺はハッチの淵にいた。足を滑らせでもすればそのまま体は落ちてしまうだろう。
何が起きたのか自分でも分からない。ただ俺はあの国…ドイツでもそうだった。
俺はどうやら敵を撃退することを再び成し遂げたらしい。残っているのは全身にたぎるような暑さだけだ。
「君って…ほんと訳分かんないよね」
アナリスが俺を見て苦笑しながらそう言う。
「えっと…俺どんな感じだった?」
「どんな感じって…集中力がすごかったです。あと下位魔法の炎でしょうか…それを何十回も発動させて」
「え?」
俺がその集中モードに入った時のことは曖昧だ。ただ下位魔法を何十回も発動というのが気になる。俺の魔力量の都合上、何十回も連続で発動など無理なわけで…
ドン!
機体に強い衝撃が襲いかかる。ヒカルが一人で運転しているようだが操作を誤ったのだろうか。
「あ、あぁ、ごめん落ちるわ」
「「「え?」」」
一斉にヒカルの方に視線が行く。機体は今度こそ角度を下向きへと変える。
「ブレードがひとつとれちゃうの見ちゃった」
直後、物理と魔法の支援を失ったヘリコプターはそのままクルクルと落下を始める。
「振り落とされないように掴まれ!あと喋るなよ舌を切るぞ。現在高度320m」
「なんとなくこうなりそうとは思ったよ私は」
「だったら止めてよおお!!あたしまだ死にたくないい!!」
「神に…祈りましょうか…」
「俺もうやだ…」
おもいおもいが告げる中でヘリコプターの機体は斜めに落ちていく。
やがて地上の景色がはっきり見えるようになる。そこには高速道路だろうか。この街に来るまでとは違い、車の通行量がかなり多い。
ギュオーンという音をたてて風を切っていくヘリコプターは重力によって段々と下向きに加速しながら落下スピードを上げていく。
そして機体はコンクリートでできた道路に機首から45度程度の角度で突っ込む。そして機体後部もガン!と音をたて、道路に激突する。
摩擦によってガリガリという音をたてながら機体はベイブレードのように突き進んでいく。そして機体側面がガードレールにぶつかることによってガン!という音ともに回転は止む。
「…………あ、生きてる」
幸いにも俺は生きていた。ただ機体の損傷は激しく今にも爆発しそうだ。
人がざわざわと騒いでいるのが聞こえる。ここが道路ということは車が走っている。言いたいことは車を巻き込んでいるのかもしれないということだ。
後部ハッチから俺は外を出て、そうなっていないかを確認しに向かう。俺以外の奴らも見た限りだと無事そうだ。全員がハッチへと向かう。
車のヘッドライトが俺達を眩しく照らす。その車からはたくさんの人達が降りて、こちらを見ている。
見渡す限り、他人を巻き込んではいないようだ。罪状に殺人が追加されなかったことを心から安堵する。
殺人未遂ではあるが。
「やばいな。目立ちすぎだし、映画とかだとこのヘリコプターって爆発するもんなんだよな」
ヒカルが悠長にそう言っている。運転席にいた彼の場所が損傷が一番ひどかったがなんとか無事なようだ。
「じゃあ離れたほうがいいね。燃料は漏れてないけど」
アナリスがそう言ったタイミングで俺達は外に出る。
「なんだ?子どもが乗ってんのか?」
「おい…あれ米軍のヘリだぞ」
「墜落してるぞ。中に人はいないのか?」
人々の声が聞こえる中、どうにかこうにか道路の横脇に行こうとした時
「あ…予感的中!」
突然何を言い出しのかと思うとヘリコプターの周りにいた人達をアナリスは退かす。
ドカァァァァン!!!!
俺達が乗っていたヘリコプターは呆気なく爆発四散した。
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