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第104話 米軍VS異世界人(12)

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「やっぱり近くの空港は封鎖されてますね。はい」

どうにか俺達は目的地のビルへと到着した。結構大きめなビルが立ち並ぶこの場所だが人通りはまったくない。いるとしたら軍服を着た兵士と兵士が乗っている車両のみである。

「たかだか5人の人間捕まえるのにこれかよ…」

俺は愚痴をこぼす。

「ウェストバージニア州、ノースカロライナ州、最悪ケンタッキー州かオハイオ州まで行かないと」

そう言うとヒカルは苦い物を噛んだような顔をして

「状況説明な。まず陸路は完全封鎖。車両での移動もかなり厳しいし上空をヘリが何台もも飛んでる。おまけに無人偵察機ときたからには普通に突破するのは難しい」

「地下道は?下水道とかそういうのがあるんでしょ?」

アナリスがそう指摘すると

「地下道は…いるか分かんない。だから危険、咄嗟の逃げ場がなくなる」

「でも私達ならなんとか…」

「お前ら…俺が普通の人間だってことを忘れるな…」

「その前にだ。俺も無理なんだが?それ」

俺はヒカルに同調して言う。とここでキルアが颯爽とビルを伝いながら帰ってきたのであろう。

「ねえ?どうなってんの?」

「「わあ!?」」

突然現れた俺とヒカルは驚くがカノンとアナリスは驚いていない。まるで最初から動きを知ってたみたいに。

「魔力の流れが分かりやすい。君まだまだだね」

「はあ?なんだよー!」

魔力感知とかそういう系の魔法で感じとったのだろう。

そしてこの世界というのは目まぐるしいものでCH-47が3機編隊で上空を通り過ぎるのが見える。

「何か方法があるはずです。交通機能なるものが麻痺していても隠れながら。防衛戦は比べ物にならないほど硬そうですが」
「正面から行ってもいいんじゃないかな。キルア一人で高速道路も行けたんだしこの際一か八か」
「あたしは…逃げることなんだよな?一人なら得意なんだけどなあ~」

「少しは協調性をだな…」

ヒカルが宥めている時、俺の頭の中にとあるアイデアが浮かぶ。

CH-47が車通りの少ない車道へと高度を下げる。中にはどのくらい人が乗っているのだろう。街中にいることがもうバレたのだろうか。バレないように街中に避難したが結局この先が真っ暗。

F-22が2機飛んで行く。それに続いて例の無人偵察機。既に暗闇が街を襲う中、ビルからの明かりはなくヘリコプターや車両からの明かりが余計に目立つ。

「ヒカル。成功するかは分からないけどさ…」

俺は不安ながらも考えを言った。
_________________
「これよりラペリング降下を行う。いいか相手が子どもだからと油断するな。高速道路の防衛戦が突破された今、奴らがこの街から逃げ出すとなるとアメリカの存亡に関わる。幸いにも全ての防衛戦は突破されなかったが、いつこの街から逃げ出すかも分からない」

長い前置きを隊長は言う。CH-47の機体が高度10m付近にまで低下している。

「空軍からの情報によると街の中心部にいるとのことだ。サーマルに異常があったらすぐに報告!アルファ部隊出動!」

「「「イエッサー!!!」」」

「Remember New York!」

隊長はそう言うと後部ハッチからラペリング降下を真っ先に…行なえなかった。

その隊長の姿は突如として横から現れた影に消された。

兵士達は何もできない。突然すぎることに脳の処理が追いつかないのだ。

「なっ…!」

誰とも言えぬ声が出たと思った時、CH-47に乗っていたパイロット二人以外の全員が瞬くする暇もなく外に出される。

落ちる。全員が地球の重量に引かれ落ちていく。兵士達は手をバタバタとさせることしかできない。

骨折だけでは済まない。この高さでは。だが誰が考えたのかも分からないその心配はかき消される。地面スレスレの場所で全員が浮遊したかと思うとドサッとその浮遊感はなくなり、地面のコンクリートの感触がする。

見上げた時、目に入ったのは先程まで乗っていたCH-47がガクンと揺れる姿だけだった。

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