上 下
106 / 237

第101話 米軍VS異世界人(9)

しおりを挟む
上空を飛ぶヘリコプターを見ながら俺は森の中で様子を伺っていた。

「おおお…怖えぇ」

戦闘機はどこかへ飛び去って安心した束の間これである。俺は不幸体質かもしれない。

「ニュースでも話題だよ。ワシントンDCのハズレにある街で宇宙人か!?ってね」

「宇宙人…あながち間違いではないですけど…私達からしたらそれら類は神様のことを言いますし…」

「そうなんだ?てか俺は日本生まれの地球人なわけで…説明したらなんとかなるかな?」

「うん。多分無理だろうね」

「ですよね~」

ヒカルはそう言うとドサッと腰を降ろす。街まではもう少し、なわけだが…

「1,2,3…まだいるよ見た限りだと」

「そうですか…」

キルアの超視力曰く、米軍の車両が街への道を封鎖しているらしい。

「強い攻撃であればあるほど魔力を喰う…って話したっけ?さっきの一斉攻撃であと6分の1しかないから私がいてもかなり突破はきついよ」

「重機関銃の弾幕を防いでもあと6分の1って…お前何なん?大体F-22の攻撃を防ぐってのも…あれこの世界最強とも名高いステルス戦闘機だぞ」

「とにかく、街へ出て…それからどうするのですか?」

「あっ、増えたぞ!今7台になったぞ!」

キルアが嫌なことばかりを伝える。そしてカノンが言う、街へと出た後…マジでどうすればいいんだ?

「この様子だと空港は多分無理だろうな。そもそも空港まで行けるかどうかも…」

「正面突破は無理だから…」

俺はそこで言葉を詰まらせる。つまり誰にも見つからずに、というわけらしい。キルアはまだしも俺にそんなことが…

「リッチモンドの避難住人にさり気なく混ざれないの?髪の色変えれる?」

「髪の色は魔法の象徴とかどうのこうの…要は変えれない。それならヒカルは?君日本人でしょ?」

アナリスが首を傾げてそう言うと

「どうだろね、あの街に俺以外の黒髪モンゴロイドがいるかどうか…」

「状況は芳しくないのですね…」

そうこうしているうちにまたヘリコプターが俺達の上空を通り過ぎ、街へと向かう。

「赤外線の心配はないけど、だからと言ってここにいたらいつかは見つかるでしょうね。キルア、警備が甘いところはないの?」

「ないよアナリス。どこも変な黒い道具を持ってて黄色の服着てるやつらしかいない。目になんか付けてるよ」

「米軍だらけってことか。そして夜間用の装備…連中はここで勝負どころと見てるな」

「私さあ!確か日本でも攫われたよね?その時とまるで状況が違うんだけど!どっちも平和な国かなあと思ったのに!」

アナリスがちょっとヒステリックになってそう言うと

「日本は憲法で平和主義を掲げてるからな。軍を持たないコスタリカにでも移住するか?でも最近は日本でも憲法改正案がどうのこうので…」

「へ、へぇ…」

カノンは内容を理解してなさそうな曖昧な返事をする。もちろん俺も分からん。

「こんなかに透明化の魔法を使える奴は~?」

ヒカルが間の抜けた声でそう言うと

「あたし一人ならできるよ。あと触れた物」

「お前か、まあ盗賊だし持ってそうとは思ってたが、不安要素しかない…ちょっと待て、今触れた物って…」

ヒカルはそこでジッと何かを考えると

「キルア、それってお前に触れてる人も透明化できる?」

「え?やったことあるけど物しか無理。魔物でも駄目だったし」

「なるほど。俺らがあの山でどう脱出するかを考えた時間が無駄じゃなくて助かったよ。もし人も透明化できるとかならマジギレしてたけどね」

キルアはあの時、何か大事なことを言った覚えがない。一回コイツラが使える魔法を教えてもらったほうがいいな。

「でもまあ作戦事態は…浮かび上がった。キルアとカノンは魔力に余裕あるっしょ?」

ヒカルはそう言うとスタっと立ち上がった。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

虐げられた令嬢、ペネロペの場合

キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。 幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。 父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。 まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。 可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。 1話完結のショートショートです。 虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい…… という願望から生まれたお話です。 ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。 R15は念のため。

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな

カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界 魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた 「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね? それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」 小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く 塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう 一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが…… ◇◇◇ 親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります (『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です) ◇◇◇ ようやく一区切りへの目処がついてきました 拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです

〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。 了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。 テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。 それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。 やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには? 100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。 200話で完結しました。 今回はあとがきは無しです。

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

処理中です...