100 / 237
第95話 米軍VS異世界人(3)
しおりを挟む
6時間。追い詰めて6時間が経過しようとしていた。臨時で置かれた作戦本部にはいくつものライトが設置されている。
「赤外線に異常は?なかったのか?」
「現在生命体を確認できません」
隣では兵士のやりとりが聞こえる。衛星での捜索が行われ、ヘリコプターでの捜索は燃料の都合上打ち切りとなった。
「闇に紛れて逃げるつもりか…」
私は短く呟やいた。隣ではシャーロットが来た時と変わらない風貌で立っている。日が沈んてから既に30分が経過しようとしていた。
「TSAの部隊、米軍の部隊も完璧に揃ってる。逃げられるはずがない」
シャーロットはこちらを向かずにそう言う。 とそこに米軍の司令官らしき男がこちらへとやって来る。
「失礼。少しいいですかな?」
白髭を生やしたその男は続けて
「このままでは事態は一行に進展しません。そこで包囲を狭めるというのはどうですかな?」
「狭める?」
私はそう聞き返した。
「ええ、部隊を山に送り込み、捜索するのです。追い詰め、袋のネズミとするのです。予備の部隊の準備も完了しています」
「…なるほど。攻めるわけか」
「いいんじゃないかしら。その作戦」
「うむ。私からも異論はない。すまないがよろしく頼む」
「おまかせを。アメリカ合衆国の力を見せつけてやります」
白髭はそう言って去って行った。
「これならば彼らも逃げられないんじゃないかしら」
シャーロットは私の顔を見てそう言った。
米軍の動きは早かった。すぐに中へと入る部隊が編成され、運ばれてきた燃料をヘリコプターに入れていく。
『車両での包囲完了!いつでも捜索可能です!』
コンピューターの置かれたテントの中からそんな声がする。
「…最初からこうするべきだったな。いささか慎重になりすぎた」
フォードはこの一日を思い浮かべながらそう言うと前へと歩き出す。
前線。そう言うべき道路にはAPCやハンヴィー、JLTVなどの車両が並べられていた。取り逃したとも言える場所、彼らが出てくるならここからだろう。
「よし、では突入開……」
そこにいた先程の白髭は無線越しに言おうと時、ふと言うのをやめる。
私は白髭がある一点に集中してるのを訝しげに見る。何故突入開始と言わないのかと。
「トーマス、あれ」
シャーロットも同じ白髭と同じ場所を見ている。
そこにいたのは…先程取り逃がしたはずの5人の若者。距離は結構離れている。
間違いない。彼らの、独特の髪色はまさしく…
「…っ!すぐにヘリと部隊をこちらに送れ!早くしろ!」
白髭は自分の立場を思い出したのか無線越しに怒鳴る。とここで同じく彼らに気づいた兵士が口々に
「司令!こっちに来ます!」
「撃ちますか?」
「待て!まだ撃つな!」
白髭がそう言った時、上空をAH-64Dが2機通過する。続いてUH-60が2機
ヘリのババババという音が大きく聞こえる。だがその羽音を破るかのような出来事が起きる。
「撃たないでー!僕らは敵じゃありません!」
黒髪の少年がそう言ってきたのだ。
_________________
俺は目の前にいる車両と当てられるライトに若干の目を瞑りながら呟く。
「大丈夫なのか?殺されたりしないよな?」
「今はね。だから…」
「撃たないでー!僕らは敵じゃありません!」
ヒカルが手でメガホンを作ってそう言った。兵士達が驚くのがこの距離でも見える。
「キルア…お前の耳が頼りなんだからな」
「うるさいなあ、分かってるよガイム」
キルアは面倒だと言わんばかりにそう言ってくる。
「だからお願いです!撃たないでください!」
ヒカルは大声で言う。俺達もゆっくりと歩みを進める。
正直めちゃくちゃ怖い。前と比べ今回は死が目前に迫る感じがピリピリとする。
「まだ…まだだって」
「ほんとにキルアさんお願いします。私達の作戦の成功を」
カノンが心配するようにそう言う。
_________________
「何故衛星に映らなかったんだ…」
「だからお願いします!撃たないでください!」
私の声を遮るようにしてそう言ってくる。
「…化け物が。何を戯言を…」
反吐が出るとはまさにこのことだ。ニューヨークを火の海にした元凶は間違いなくお前達だというのに、
「まだ…まだ撃つな」
白髭はそう言って兵士を静止する。彼らがゆっくりと我々に距離を詰めるのが見える。APCことLAV-25の砲塔は全て彼らを捉えている。
「……撃て!」
白髭は短くそう言った。
_________________
「なんだか焦ってる感じがするよ。あの人達」
「焦りか…ここまでは順調だな…けどもし俺の予想が正しいなら…」
ヒカルがそこまで言って止める。全員黙って歩き出す。アナリスは一言も喋らずに集中してるのが見える。そしてキルアがおもむろにに叫ぶ。
「撃てだって!」
「アナリス!カノン!」
「オッケー!」
「はい!」
アナリスとカノンがそう言うと巨大な土壁が地面から現れ、それにカノンが剣を向ける。そこに衝撃と爆音が当たり、頑丈とは言えない土壁はひび割れだらけになる。
「ァァ…イッ!!!」
アナリスは地面に手を向け、衝撃波を走らせる。
それは土壁を崩すと共にその向こうにいた兵士達、そして車両を吹き飛ばす。
「行くぞぉ!強行突破だぁ!」
ヒカルは叫びながら走り出した。
「赤外線に異常は?なかったのか?」
「現在生命体を確認できません」
隣では兵士のやりとりが聞こえる。衛星での捜索が行われ、ヘリコプターでの捜索は燃料の都合上打ち切りとなった。
「闇に紛れて逃げるつもりか…」
私は短く呟やいた。隣ではシャーロットが来た時と変わらない風貌で立っている。日が沈んてから既に30分が経過しようとしていた。
「TSAの部隊、米軍の部隊も完璧に揃ってる。逃げられるはずがない」
シャーロットはこちらを向かずにそう言う。 とそこに米軍の司令官らしき男がこちらへとやって来る。
「失礼。少しいいですかな?」
白髭を生やしたその男は続けて
「このままでは事態は一行に進展しません。そこで包囲を狭めるというのはどうですかな?」
「狭める?」
私はそう聞き返した。
「ええ、部隊を山に送り込み、捜索するのです。追い詰め、袋のネズミとするのです。予備の部隊の準備も完了しています」
「…なるほど。攻めるわけか」
「いいんじゃないかしら。その作戦」
「うむ。私からも異論はない。すまないがよろしく頼む」
「おまかせを。アメリカ合衆国の力を見せつけてやります」
白髭はそう言って去って行った。
「これならば彼らも逃げられないんじゃないかしら」
シャーロットは私の顔を見てそう言った。
米軍の動きは早かった。すぐに中へと入る部隊が編成され、運ばれてきた燃料をヘリコプターに入れていく。
『車両での包囲完了!いつでも捜索可能です!』
コンピューターの置かれたテントの中からそんな声がする。
「…最初からこうするべきだったな。いささか慎重になりすぎた」
フォードはこの一日を思い浮かべながらそう言うと前へと歩き出す。
前線。そう言うべき道路にはAPCやハンヴィー、JLTVなどの車両が並べられていた。取り逃したとも言える場所、彼らが出てくるならここからだろう。
「よし、では突入開……」
そこにいた先程の白髭は無線越しに言おうと時、ふと言うのをやめる。
私は白髭がある一点に集中してるのを訝しげに見る。何故突入開始と言わないのかと。
「トーマス、あれ」
シャーロットも同じ白髭と同じ場所を見ている。
そこにいたのは…先程取り逃がしたはずの5人の若者。距離は結構離れている。
間違いない。彼らの、独特の髪色はまさしく…
「…っ!すぐにヘリと部隊をこちらに送れ!早くしろ!」
白髭は自分の立場を思い出したのか無線越しに怒鳴る。とここで同じく彼らに気づいた兵士が口々に
「司令!こっちに来ます!」
「撃ちますか?」
「待て!まだ撃つな!」
白髭がそう言った時、上空をAH-64Dが2機通過する。続いてUH-60が2機
ヘリのババババという音が大きく聞こえる。だがその羽音を破るかのような出来事が起きる。
「撃たないでー!僕らは敵じゃありません!」
黒髪の少年がそう言ってきたのだ。
_________________
俺は目の前にいる車両と当てられるライトに若干の目を瞑りながら呟く。
「大丈夫なのか?殺されたりしないよな?」
「今はね。だから…」
「撃たないでー!僕らは敵じゃありません!」
ヒカルが手でメガホンを作ってそう言った。兵士達が驚くのがこの距離でも見える。
「キルア…お前の耳が頼りなんだからな」
「うるさいなあ、分かってるよガイム」
キルアは面倒だと言わんばかりにそう言ってくる。
「だからお願いです!撃たないでください!」
ヒカルは大声で言う。俺達もゆっくりと歩みを進める。
正直めちゃくちゃ怖い。前と比べ今回は死が目前に迫る感じがピリピリとする。
「まだ…まだだって」
「ほんとにキルアさんお願いします。私達の作戦の成功を」
カノンが心配するようにそう言う。
_________________
「何故衛星に映らなかったんだ…」
「だからお願いします!撃たないでください!」
私の声を遮るようにしてそう言ってくる。
「…化け物が。何を戯言を…」
反吐が出るとはまさにこのことだ。ニューヨークを火の海にした元凶は間違いなくお前達だというのに、
「まだ…まだ撃つな」
白髭はそう言って兵士を静止する。彼らがゆっくりと我々に距離を詰めるのが見える。APCことLAV-25の砲塔は全て彼らを捉えている。
「……撃て!」
白髭は短くそう言った。
_________________
「なんだか焦ってる感じがするよ。あの人達」
「焦りか…ここまでは順調だな…けどもし俺の予想が正しいなら…」
ヒカルがそこまで言って止める。全員黙って歩き出す。アナリスは一言も喋らずに集中してるのが見える。そしてキルアがおもむろにに叫ぶ。
「撃てだって!」
「アナリス!カノン!」
「オッケー!」
「はい!」
アナリスとカノンがそう言うと巨大な土壁が地面から現れ、それにカノンが剣を向ける。そこに衝撃と爆音が当たり、頑丈とは言えない土壁はひび割れだらけになる。
「ァァ…イッ!!!」
アナリスは地面に手を向け、衝撃波を走らせる。
それは土壁を崩すと共にその向こうにいた兵士達、そして車両を吹き飛ばす。
「行くぞぉ!強行突破だぁ!」
ヒカルは叫びながら走り出した。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
実の妹が前世の嫁だったらしいのだが(困惑)
七三 一二十
ファンタジー
ある朝、俺は突然、前世で異世界の勇者だったことを思い出した。
勇者には聖女の恋人がいた。たおやかで美しい彼女の面影を思い浮かべるほど、現世でもみかけた気がしてくる俺。
頭を抱えているとドタドタ足音をたてて、妹が部屋に駆け込んできた。
「にいちゃんっ!」
翡翠色の瞳に輝くような金髪、これまで意識しなかったけど超整った顔立ち…俺の懸念は的中した。妹は前世の恋人、”光の聖女”の転生体だったのだ。しかも俺と同時に、前世の記憶を取り戻していた。
気まずさに懊悩する俺をよそに、アホアホな妹は躊躇なく俺にキスを迫ってくる!
「せっかく記憶が戻ったんだから、ちいさいこと気にするのはなしにしよーよ。ギブミーキース、ギブミーキース…」
「戦後か!」
前世の恋人兼聖女の妹から、元勇者な俺は貞節とモラルと世間体を守れるのだろうか…というか記憶が戻った途端、妹が可愛くみえてしょうがねーな、ちくしょー!(血涙)
※不定期更新となります。どうかご了承のほどを。
※本作は小説家になろう様にも掲載しております。
本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。
なつめ猫
ファンタジー
田中一馬は、40歳のIT会社の社員として働いていた。
しかし、異世界ガルドランドに魔王を倒す勇者として召喚されてしまい容姿が17歳まで若返ってしまう。
探しにきた兵士に連れられ王城で、同郷の人間とパーティを組むことになる。
だが【勇者】の称号を持っていなかった一馬は、お荷物扱いにされてしまう。
――ただアイテムボックスのスキルを持っていた事もあり勇者パーティの荷物持ちでパーティに参加することになるが……。
Sランク冒険者となった事で、田中一馬は仲間に殺されかける。
Sランク冒険者に与えられるアイテムボックスの袋。
それを手に入れるまで田中一馬は利用されていたのだった。
失意の内に意識を失った一馬の脳裏に
――チュートリアルが完了しました。
と、いうシステムメッセージが流れる。
それは、田中一馬が40歳まで独身のまま人生の半分を注ぎこんで鍛え上げたアルドガルド・オンラインの最強セーブデータを手に入れた瞬間であった!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
アレク・プランタン
かえるまる
ファンタジー
長く辛い闘病が終わった
と‥‥転生となった
剣と魔法が織りなす世界へ
チートも特典も何もないまま
ただ前世の記憶だけを頼りに
俺は精一杯やってみる
毎日更新中!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
高校からの帰り道、錬金術が使えるようになりました。
マーチ・メイ
ファンタジー
女子校に通う高校2年生の橘優奈は学校からの帰り道、突然『【職業】錬金術師になりました』と声が聞こえた。
空耳かと思い家に入り試しにステータスオープンと唱えるとステータスが表示された。
しばらく高校生活を楽しみつつ家で錬金術を試してみることに 。
すると今度はダンジョンが出現して知らない外国の人の名前が称号欄に現れた。
緩やかに日常に溶け込んでいく黎明期メインのダンジョン物です。
小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。
スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜
櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。
パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。
車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。
ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!!
相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム!
けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!!
パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!
一番モテないヒロインに転生しましたが、なぜかモテてます
Teko
ファンタジー
ある日私は、男の子4人、女の子4人の幼なじみ達が出てくる乙女ゲームを買った。
魔法の世界が舞台のファンタジーゲームで、プレーヤーは4人の女の子の中から1人好きなヒロインを選ぶ事ができる。
・可愛くて女の子らしい、守ってあげたくなるようなヒロイン「マイヤ」
・スポーツ、勉強と何でもできるオールマイティーなヒロイン「セレス」
・クールでキレイな顔立ち、笑顔でまわりを虜にしてしまうヒロイン「ルナ」
・顔立ちは悪くないけど、他の3人が飛び抜けている所為か平凡に見られがちなヒロイン「アリア」
4人目のヒロイン「アリア」を選択する事はないな……と思っていたら、いつの間にか乙女ゲームの世界に転生していた!
しかも、よりにもよって一番モテないヒロインの「アリア」に!!
モテないキャラらしく恋愛なんて諦めて、魔法を使い楽しく生きよう! と割り切っていたら……?
本編の話が長くなってきました。
1話から読むのが大変……という方は、「子どもの頃(入学前)」編 、「中等部」編をすっと飛ばして「第1部まとめ」、「登場人物紹介」、「第2部まとめ」、「第3部まとめ」からどうぞ!
※「登場人物紹介」はイメージ画像ありがございます。
※自分の中のイメージを大切にしたい方は、通常の「登場人物紹介」の主要キャラ、サブキャラのみご覧ください。
※長期連載作品になります。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる