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第93話 米軍VS異世界人

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上空をブラックホーク UH-60が通過する。ヒカルはそれを見て

「やっぱ変だよ。これなんかおかしい。それにあのブラックホーク、なんだろ」

「そうか?あの兵士達悪い奴らじゃなさそうだぞ」

「なんで?」

「あたし耳良いからあの人達が何言ってるか分かるよ」

「え?まじで?それ?」

キルアがさらっと言った。そこまで耳が良いとは思わなかった。なら空港で酔っていたのもこれが原因かもしれない。

「えっとねー。俺達の任務は極秘だって言ってる。ほらあそこにいる」

「極秘?あの兵士達がそう言ってるのか?」

キルアが言った方向には確かに兵士達が立ち話をしていた。

「極秘ってなんだろ、魔物ではないとしたら…」

とその時バスのドアが開かれる。

「皆さん降りてください。荷物を持って降りてください」

兵士がまたバスのドアを開けたのだ。しかも今度は降りろと言ってくる。

「おい!どうして降りなきゃならないんだ!?」

中年男性が兵士に向かってきつくそう言ってると

「説明しますので、とりあえず降りてください」

兵士は感情一つ変えずにそう言う。バスの乗客は荷物をまとめてバスから降り出す。

俺が最初に降りようとした時、先程バスに乗ってきた兵士に止められる。

「未成年の方々はこちらへお願いします」

その兵士はまた機械のようにそう言う。

「未成年だけ?未成年って俺達しかいないんだが」

ヒカルはそう呟きながらバスから降りたところで辺りを見渡してみる。

俺達が乗ってきたバス以外からも人が降りている。そして二つのグループに分けられている。片方は人が多く、とくにこれと言った共通点はない。だがもう片方は男女問わずに若い人達が集められている。

だが前者のグループ。何故か小さい子供がいた。1桁代くらいの子供だ。未成年者をあちらも集めているとしたら何故あの子供はハブられているのだろう。とここで兵士が言い出す。

「皆さんには我々の指示に従ってもらいます。まずは説明を。先程我々が入手した情報によりますと武器の密輸が現在州間高速道路95号線を南下するバスで行われるとの情報が入りました。そこで皆さんにはこれより避難を行ってもらいます。もう少し先に行った場所に我々のバスを用意していますのでそちらまで歩いて行ってもらいたいと思います」

兵士は淡々と説明する。とここで先程声を上げていた中年男性が

「おい!待ってくれ!こっちは時間がないんだ!武器の密輸が行われてるってんだったらとっとと調べればいいだろ!」

「これは皆さんの命に関わる深刻な事態です。理解いただけたい」

「なっ!?何!?……っち!」

その中年男性は不機嫌そうに顔をしかめて何も言わなくなった。

「ではまずあなた達から、未成年者の避難は先にしてあります」

「え?あ、はい」

俺は流されるままに先へと歩き出す。それに続いてヒカル、アナリス、カノン、キルアと続く。

「なあ、ヒカル、未成年者の避難って言うけどあそこの小さい子供はいいのか?」

「いや…分からん。ただあの子供は一人で避難できない…とかかな?」

「武器の密輸か…一応やっとくか」

「何を?アナリス?」

アナリスは一人でそう呟くと目を一瞬青色に光らせる。

「へえ、へえ、なるほど。うん?あれ?」

「どうしたの?」

「いや…ないと思うんだけど」

「ない?」

「多分気のせい…いや違うこれ」

アナリスは足を止める。

「これ戻る、いや逃げた方がいい」

「え?逃げる?どこに?」

俺は思わずそう口にする。今は完全に雑草の中の道路にいた。それに逃げる必要が…

「待て…いやまさか…これは」

ヒカルも何かに気づいたようだ。そして顔から血の気が引いている。

「おい、何?何なの?」
「どうしたんですか?」
「あたしが何かしたって言うのか?」

思い思いの事を話す中、突如として雑草が動き出す。いや中に何かがいる。

「全員手を上げろ!」

「おとなしくしろ!」

兵士。草むらの中に身を潜めていた兵士達だ。手にはサブマシンガンを持っており、ギリースーツを着用している。全員合わせて6人、ヒカルはそれを見た瞬間

「アナリス!」

「分かってる!」

アナリスは返事を待たずして兵士達を宙に浮かして一気に地面に落とす。

「逃げるよ!早く!死ぬぞ!」

アナリスが急かしてくる。と右の木々から兵士が出て、銃を撃ち出してくる。

無数の銃弾が俺達を襲いに来る。目の前の道路からも車両がやって来る。

「ハンヴィーだ!避けろ!」

そのハンヴィーの突起部分に付いている銃弾が俺達に向かって撃たれる。

「うらあ!」

アナリスはそう叫ぶとやってくる銃弾を全て無にきす。

「こっちだ!早く!」

ヒカルがそう言っている。俺は後ろを振り向く。

やって来る5台のハンヴィー。とどこに潜んでいたのかも分からない兵士達、それらが全員追いかけて来る。

「ひっ…何だよあれ!」
「またですか!?またですか!?」
「あいつらすげえおっかねえぞ!おい!」

俺達はどうにかこうにか左手にあった森の中に入った。






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