現代転生 _その日世界は変わった_

胚芽米

文字の大きさ
上 下
86 / 237

第81話 日常回

しおりを挟む
「あれ?随分と遅かったなあ」

「悪いな。待たせちゃって…キルアが滑り台を滑ると完全に遊んでる幼女にしか見えん」

「はああ!?」

ヒカルの言ったことがキルアの琴線に触れたようだ。

「えっと…その四角いのスマホってやつですよね?」

「見せなかったっけ…まあ異世界人にとしてはスマホとか言われても無理ないか」

カノンは警戒しているのか訝しげな表情を浮かべている、ブランコに乗りながら。

「…それとその箱はなんだ?」

「ああ、これか?」

キルアがヒカルに向かってそう言う。確かに箱状の物を買っているが。

「これはプラモデルっていって、部品を組み立てて何かを作るって考えればいい」

「へえ。で何のプラモデルなの?また二次元の女の子?」

「あのなあアナリス。俺が女子の前でそんな物買うわけないだろ。F-15Jのプラモデル」

「F-15J?」

俺がそう聞くとヒカルは「うん」と言いながら

「実物を見ればいい。ここからだと茨城の百里が近いんじゃないか」

「はあ」

そもそもコードネームじみたその名前が分かんないのだがな。あと百里ってどこやねん。

「それはいいとしてもう日が暮れそうだから帰ろうぜ」

「いーよ」
「私も大丈夫です」
「あたし達一体何しに来たんだ?」

ヒカル以外が俺の提案に賛成の声を上げた。

「興味なさそうだなお前ら」

ただ一人、自分の趣味を紹介したヒカルはちょっと不服そうだったが。

そして家に帰ってきたわけだがいかんせんスマホの使い方が難しくて何回もヒカルに聞いた。

その反面アナリスは何故だか完全に使いこなしてる。

「ねぇヒカル、このInstagramって何?」

「写真とか動画とか載っけるやつ」

「ああ、はいはい。で?」

「で?だと?」

「載っけてどうすんの?」

「……」

今ので分かるのだろうか思う程に。そしてヒカルはそれ以上何も言わなくなった。

「ねえねえヒカルヒカル、、レインボーブリッジの件が取り上げられてるよ~」

「ああ、あれね。確か橋の上で爆発があったんだっけ?」

「うん。何でも爆破予告を出したテロ組織が行ったって。…テロねぇ…」

アナリスはそう言うと薄い笑みを浮かべる。攫われた側からしたら書いてあることは間違いないことに対する皮肉だろうか。もう一つ余罪があるのだが。

「あれ攫われた側からしたらどうなん?ガイム?」

「寝てたから覚えてないかなあ。ただ揺れてたね。地面に寝かせられてたと思う」

「あー私も同じ。ただ背中が痛くて痛くて」

「アナリスは確かゴム弾撃たれたんだっけ?」

「そうそう。起きた時…………」

「どうした…?」

俺が突然黙ってしまったアナリスに言う。どうしたのだろうか。

「…包帯が…」

「包帯?それがどうした?」

俺がおそらくこの場にいる人のほとんどが思っていることを言う。

「いやどうやって巻いたのかなあって」

そう言ったアナリスの顔は笑っているが怒りが混じっている。つまり…どういうこと?

とここで一人状況把握が早い男、ヒカルが

「あー…それはまあ、何もされなくてよかったね。止血したんだよきっとうん」

「へえ~~~~」

そう言ったアナリスの言葉には怒気が…

「あの…どうしてそんな怒っているのですか?」

「怒ってんのか?包帯ってなんだ?その四角いやつもなんだ?」

一人何が起きているかも分からなそうなアホの子がいるがヒカルは再び声を出す。

「包帯を巻くには…一度服を脱がす…つまりそういうこと」

「あっ…ああ、ね。うん分かった」

俺は言われたことでやっと理解できた。アナリスは確か背中右下部に銃弾を受けてたはずだ。つまり包帯を巻くには一度服を脱がせて巻く必要がある。そしてあの場にはおそらく男しかいなかったであろうから…

「よし、潰しに行くぞ。ヒカルあいつらの基地分かる?」

「よし、落ち着くんだ。ドードドード」

馬を扱うかのようにヒカルはアナリスに近づく。アナリスは一息間を置いたあと

「私はね…今猛烈に元の世界に帰りたいって思ってるよ」

怒気を含めてそう言った。



しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

やっと買ったマイホームの半分だけ異世界に転移してしまった

ぽてゆき
ファンタジー
涼坂直樹は可愛い妻と2人の子供のため、頑張って働いた結果ついにマイホームを手に入れた。 しかし、まさかその半分が異世界に転移してしまうとは……。 リビングの窓を開けて外に飛び出せば、そこはもう魔法やダンジョンが存在するファンタジーな異世界。 現代のごくありふれた4人(+猫1匹)家族と、異世界の住人との交流を描いたハートフルアドベンチャー物語!

怠惰の魔王

sasina
ファンタジー
 年齢一桁で異世界転移してしまった天月 鈴。  運良く拾ってもらい、10年間育てられる。  ある日、この異世界イデアが違う世界と繋がってしまい、その繋がってしまった世界と言うのが10年前の地球だった。  折角、繋がったので懐かしの地球に行ってみると、世界の強制力か、体も10年前の姿に戻ってしまった。

異世界から帰ってきた勇者は既に擦り切れている。

暁月ライト
ファンタジー
魔王を倒し、邪神を滅ぼし、五年の冒険の果てに役割を終えた勇者は地球へと帰還する。 しかし、遂に帰還した地球では何故か三十年が過ぎており……しかも、何故か普通に魔術が使われており……とはいえ最強な勇者がちょっとおかしな現代日本で無双するお話です。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

玲子さんは自重しない~これもある種の異世界転生~

やみのよからす
ファンタジー
 病院で病死したはずの月島玲子二十五歳大学研究職。目を覚ますと、そこに広がるは広大な森林原野、後ろに控えるは赤いドラゴン(ニヤニヤ)、そんな自分は十歳の体に(材料が足りませんでした?!)。  時は、自分が死んでからなんと三千万年。舞台は太陽系から離れて二百二十五光年の一惑星。新しく作られた超科学なミラクルボディーに生前の記憶を再生され、地球で言うところの中世後半くらいの王国で生きていくことになりました。  べつに、言ってはいけないこと、やってはいけないことは決まっていません。ドラゴンからは、好きに生きて良いよとお墨付き。実現するのは、はたは理想の社会かデストピアか?。  月島玲子、自重はしません!。…とは思いつつ、小市民な私では、そんな世界でも暮らしていく内に周囲にいろいろ絆されていくわけで。スーパー玲子の明日はどっちだ? カクヨムにて一週間ほど先行投稿しています。 書き溜めは100話越えてます…

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅

聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。

処理中です...