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第36話 そして再び別の国へ
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2022年7月12日 アメリカ東部標準時
午後2時32分
アメリカ合衆国 コネチカット州
ブラッドレー国際空港
_________________
チェックアウトを済ませ、朝飯と昼飯を併用させた食事を食べ、バスに揺られて50分。
俺達はこの国から出る場所へと来ていた。
「俺日本に帰りたい」
祖国が日本のヒカルは疲れはてたようだ。
「私もなんというか日本に帰りたい。どうする?ドイツかモンゴルに行くか日本に帰るか」
「あの私日本って場所知らないのですが…」
今俺達はこの先どうするかを空港で決めていた。
仲間探しという名目でアメリカに来た俺達はとんでもない騒動に巻き込まれ、そして今再び仲間探しをするのか。
そもそも俺達と同じ、人間は1人らしいが、人間型の幹部のせいでドイツとモンゴルで2分の1を引かなければ異世界人には会えない。つまり命をかけたギャンブル。
「あの…よろしいでしょうか?私はその…ドイツという場所に行きたいです。私もその魔力の流れを転生する時に感じて…私もすごくこの世界のことでいろいろと困ったので…だから私達と同じような境遇の方々をできるだけ救いたいです」
「方々って1人だけどね。あと理由になってない気がする」
アナリスはごもっともな指摘を入れる。
「そもそもこの旅の目的って最終的には魔王を倒すんだろ?だったら簡単だ。国連に任せればいい。いくら人類滅亡ヒャッハーしたい魔王だからと言って俺達が力合わせて戦わないといけない理由が分からん」
そしてヒカルからも俺が思っていたことを言ってくれた。
「でも…事が起きてからでは遅いです。だって魔王がいること自体この世界の人々は気づいていないのならいつか大虐殺が起こってもおかしくないでしょう…」
「魔王の存在には気づいてないけど、ワイバーンの存在には気づけてる。時既に遅しだけど…」
「ですが…アナリスさんが言いだしたことなんでしょう?魔王を皆で倒そうというのは」
「そう言われると弱るんだよなぁ~。う~ん」
アナリスはここで黙ってしまった。まずいぞ。このままでは俺の命が危なくなる。
俺が何か言おうとした時
「確かに私が言いだしたことだしね。よしドイツかモンゴルに行こう」
「待てーい。俺は納得しないぞ!」
俺は変な口調になりながらも反論する。アナリスの情緒が不安定すぎる。
「あ~、待ったガイム。なんか話す前に俺のとこ来て」
ヒカルは俺の言葉を制し、こちらへ寄せる。
「俺もさっきまで反対だったんだが…今考えたけど日本に帰っても家がない…」
「あ」
「あといろんな物が不足してる。あいつらの魔法でどうにかできるとは思ったけど、あいつら行く気だから日本に帰れん。つまりついていかないと駄目ということになる」
「な、なるほどな。よし早く行くか!」
「は?お前情緒不安定だろ」
アナリスは最後の言葉が聞こえたらしく、すごい傷つくことを言ってきた。悲し。
こうして飛行機を待つ時間はなんと…………
実に8時間!!もはや狂気の沙汰である。
その間まで俺達は暇つぶしをしなければならないが、アナリスはどっかへ出掛けて行ったし、それにヒカルもついてった。
てことで俺はまたカノンと2人きりで話す機会を入手したわけだが…
「…あのカノンは、ドイツとモンゴルだっけ?どっちに行きたいの?」
「え?私は…ドイツですかね。なんというかモンゴルの方じゃない気がします……」
カノンはそう言うと俯せる。表情を察するに何か事情がありそうだが、カノンからその先の言葉が出ることはなかった。
特にすることもないのでカノンを誘って外に出る。外にあるのはバスとタクシー、そして車。
多いのはタクシー。人々が大きなスーツケースを持っては空港に向かって来ている。
『現在空港内が混雑しています。警備員の案内に従って移動してください』
空港のアナウンスで流れるとおり、大量の人が空港へと来ている。
「人、多いね」
「えぇ、皆混乱しているんでしょうか…」
彼らにとってニューヨークの件は日常ではない。異常事態の混乱はこの地にまで及んでいるのだろうか…
周りを見渡したが、特に何もない。仕方ないので空港の周りを歩いてみることにした。カノンもそれについてくる。
アナリスが言うにはしばらく帰ってこないらしいので歩き回れる余裕はある。
「あれ何だ?」
20分くらいだろうか。片側は木々、片側は飛行機飛び立つ空港の道を歩いていると
変な建物を見つける。三角形の屋根の細長い建物。水色を基調としたトタン製。
「にゅーいんぐらんどえあーみゅーじあむ?」
カノンは看板に書かれていた文字を読む。エアー、つまり空気なわけだが、なんの博物館なのだろう。
「行って見ます?」
「まぁ暇だから行こうか」
なんやかんやで俺達は博物館デートをすることになった。
中に入ってまず目にしたのは、きちんと並べられた写真。しかしその全てがカラーではなく白黒だ。
「なんで白黒なんだ?」
「さぁ…」
お互い異世界人なのでなんで白黒なのかが分からない
きっと時代が関係していると思いながら、先へ進む。
次は飛行機が目に入る。だが俺達が乗ってきた飛行機の羽の部分が違い、風車をとっつけたような機体だ。
そしていくらか脆そうに感じさせる。
「これは…なんでしょうか?」
「えっと…なんでしょう?」
無論、お互い分からないのでこれもこうなる。
早々にこのやりとりを馬鹿らしく思ってきた俺はここから出ることにした。
再び空港に戻るとヒカルとアナリスが戻って来ていた。
ヒカルはアナリスの前で突っ立っており、アナリスは足をブランとさせて待ち合い席に座っている。
「お、どこ行ってたの?」
「悪い。その辺散歩してたわ。てか何してたの?」
「資金稼ぎ」
資金稼ぎ?アナリスは何を言っているのだろう?ここにギルドはないはずだが…
普通冒険者は解決したクエストに応じて報酬がもらえたはずだ。ただし元の世界での話だけど。
「要はギャングから金奪ってきた。飛行機代も馬鹿にならないんでね」
《参考までにブラッドレー国際空港からミュンヘン空港まで8万かかります。エコノミークラス》
あぁ、そういうことね。はいはい。
「俺達はあれだ。古そうな写真と飛行機があった場所に行ってた」
「ニューイングランドエアーミュージアムのことか?あそこは確か第二次世界大戦時に使われてたB-29があったはず」
「そっすかぁ」
俺はそのB-29を知らないのでふざけた反応をしてしまった。
午後2時32分
アメリカ合衆国 コネチカット州
ブラッドレー国際空港
_________________
チェックアウトを済ませ、朝飯と昼飯を併用させた食事を食べ、バスに揺られて50分。
俺達はこの国から出る場所へと来ていた。
「俺日本に帰りたい」
祖国が日本のヒカルは疲れはてたようだ。
「私もなんというか日本に帰りたい。どうする?ドイツかモンゴルに行くか日本に帰るか」
「あの私日本って場所知らないのですが…」
今俺達はこの先どうするかを空港で決めていた。
仲間探しという名目でアメリカに来た俺達はとんでもない騒動に巻き込まれ、そして今再び仲間探しをするのか。
そもそも俺達と同じ、人間は1人らしいが、人間型の幹部のせいでドイツとモンゴルで2分の1を引かなければ異世界人には会えない。つまり命をかけたギャンブル。
「あの…よろしいでしょうか?私はその…ドイツという場所に行きたいです。私もその魔力の流れを転生する時に感じて…私もすごくこの世界のことでいろいろと困ったので…だから私達と同じような境遇の方々をできるだけ救いたいです」
「方々って1人だけどね。あと理由になってない気がする」
アナリスはごもっともな指摘を入れる。
「そもそもこの旅の目的って最終的には魔王を倒すんだろ?だったら簡単だ。国連に任せればいい。いくら人類滅亡ヒャッハーしたい魔王だからと言って俺達が力合わせて戦わないといけない理由が分からん」
そしてヒカルからも俺が思っていたことを言ってくれた。
「でも…事が起きてからでは遅いです。だって魔王がいること自体この世界の人々は気づいていないのならいつか大虐殺が起こってもおかしくないでしょう…」
「魔王の存在には気づいてないけど、ワイバーンの存在には気づけてる。時既に遅しだけど…」
「ですが…アナリスさんが言いだしたことなんでしょう?魔王を皆で倒そうというのは」
「そう言われると弱るんだよなぁ~。う~ん」
アナリスはここで黙ってしまった。まずいぞ。このままでは俺の命が危なくなる。
俺が何か言おうとした時
「確かに私が言いだしたことだしね。よしドイツかモンゴルに行こう」
「待てーい。俺は納得しないぞ!」
俺は変な口調になりながらも反論する。アナリスの情緒が不安定すぎる。
「あ~、待ったガイム。なんか話す前に俺のとこ来て」
ヒカルは俺の言葉を制し、こちらへ寄せる。
「俺もさっきまで反対だったんだが…今考えたけど日本に帰っても家がない…」
「あ」
「あといろんな物が不足してる。あいつらの魔法でどうにかできるとは思ったけど、あいつら行く気だから日本に帰れん。つまりついていかないと駄目ということになる」
「な、なるほどな。よし早く行くか!」
「は?お前情緒不安定だろ」
アナリスは最後の言葉が聞こえたらしく、すごい傷つくことを言ってきた。悲し。
こうして飛行機を待つ時間はなんと…………
実に8時間!!もはや狂気の沙汰である。
その間まで俺達は暇つぶしをしなければならないが、アナリスはどっかへ出掛けて行ったし、それにヒカルもついてった。
てことで俺はまたカノンと2人きりで話す機会を入手したわけだが…
「…あのカノンは、ドイツとモンゴルだっけ?どっちに行きたいの?」
「え?私は…ドイツですかね。なんというかモンゴルの方じゃない気がします……」
カノンはそう言うと俯せる。表情を察するに何か事情がありそうだが、カノンからその先の言葉が出ることはなかった。
特にすることもないのでカノンを誘って外に出る。外にあるのはバスとタクシー、そして車。
多いのはタクシー。人々が大きなスーツケースを持っては空港に向かって来ている。
『現在空港内が混雑しています。警備員の案内に従って移動してください』
空港のアナウンスで流れるとおり、大量の人が空港へと来ている。
「人、多いね」
「えぇ、皆混乱しているんでしょうか…」
彼らにとってニューヨークの件は日常ではない。異常事態の混乱はこの地にまで及んでいるのだろうか…
周りを見渡したが、特に何もない。仕方ないので空港の周りを歩いてみることにした。カノンもそれについてくる。
アナリスが言うにはしばらく帰ってこないらしいので歩き回れる余裕はある。
「あれ何だ?」
20分くらいだろうか。片側は木々、片側は飛行機飛び立つ空港の道を歩いていると
変な建物を見つける。三角形の屋根の細長い建物。水色を基調としたトタン製。
「にゅーいんぐらんどえあーみゅーじあむ?」
カノンは看板に書かれていた文字を読む。エアー、つまり空気なわけだが、なんの博物館なのだろう。
「行って見ます?」
「まぁ暇だから行こうか」
なんやかんやで俺達は博物館デートをすることになった。
中に入ってまず目にしたのは、きちんと並べられた写真。しかしその全てがカラーではなく白黒だ。
「なんで白黒なんだ?」
「さぁ…」
お互い異世界人なのでなんで白黒なのかが分からない
きっと時代が関係していると思いながら、先へ進む。
次は飛行機が目に入る。だが俺達が乗ってきた飛行機の羽の部分が違い、風車をとっつけたような機体だ。
そしていくらか脆そうに感じさせる。
「これは…なんでしょうか?」
「えっと…なんでしょう?」
無論、お互い分からないのでこれもこうなる。
早々にこのやりとりを馬鹿らしく思ってきた俺はここから出ることにした。
再び空港に戻るとヒカルとアナリスが戻って来ていた。
ヒカルはアナリスの前で突っ立っており、アナリスは足をブランとさせて待ち合い席に座っている。
「お、どこ行ってたの?」
「悪い。その辺散歩してたわ。てか何してたの?」
「資金稼ぎ」
資金稼ぎ?アナリスは何を言っているのだろう?ここにギルドはないはずだが…
普通冒険者は解決したクエストに応じて報酬がもらえたはずだ。ただし元の世界での話だけど。
「要はギャングから金奪ってきた。飛行機代も馬鹿にならないんでね」
《参考までにブラッドレー国際空港からミュンヘン空港まで8万かかります。エコノミークラス》
あぁ、そういうことね。はいはい。
「俺達はあれだ。古そうな写真と飛行機があった場所に行ってた」
「ニューイングランドエアーミュージアムのことか?あそこは確か第二次世界大戦時に使われてたB-29があったはず」
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