現代転生 _その日世界は変わった_

胚芽米

文字の大きさ
上 下
34 / 237

第33話 アフガニスタン(4)

しおりを挟む
「なんだあれは!?」

「おい、しっかりしろ!」

「全員退避!退hのわあああ!」

「撃てぇ!撃t…」

兵士達は次第に倒れたり、退避していく。サソリは周りにあるF-16や蛍光灯に向かって手当たり次第に火の玉をぶつける。
横転するF-16。倒れる蛍光灯。

それらが退避している、もしくは縦横無尽に動き回るサソリ達に撃つ兵士達の邪魔をする。

もはや現場の近くは混沌とした状態だ。
それは上空を飛ぶコマンチのパイロットも同じだ。

「こちらリッター1リッター1。緊急事態発生だ!基地が襲撃された!もう既に何人も巻き込まれてる。応援部隊を頼む!」

『リッター1!リッター2奴らをなんとしてでも止めろ!武器の使用は許可する!』

「こちらリッター1。了解した!」

コマンチは一匹のサソリをロックする。

そのサソリの周りには兵士がおらず、巻き込む心配がないからだ。

もともと偵察が目的だったコマンチの武装は、対戦車用のヘルファイアミサイルは2つしか搭載していなかった。

サソリに対してロックオンをしようとするが、素早く動くサソリに合わせられない。

その時どこから現れたのかも分からない別のサソリがコマンチの真下から現れ、コマンチに張り付く。

サソリはコマンチに張り付いたまま火の玉を撃ち、コマンチの機体は不安定となる。

「こちらリッター1リッター1。メイデー!メイデー!メイd…」

リッター1はその機体を再び安定させることができずに地面に激突し、燃料が摩擦熱によって引火したのだろうか。それともヘルファイアミサイルに引火したのかは分からないが、コマンチは辺り一体に響くほどの大爆破を起こす。

そして炎上したコマンチの中からはサソリがヌッと出てくるのであった。
____________________
「装甲車はないのか!」

「衛生兵!衛生兵はどこだ!」

「建物の影に隠れろ!ベースアタックだ!」

現場に向かった兵士が反対方向に逃げながら様々な事を言っているのを聞きながらアレックスは現場の様子を見ていた。
サソリはすぐそこまで迫ってきている。
アレックスはロイド達に向かって言う。

「ハンヴィーの影に隠れろ!急げ!」

「一体何が起きてんだ!?」

ロイドは困惑の声を上げながらハンヴィーの影に隠れる。ヘルメットをつけてないその額には大量の汗がこびりついている。それにルーカスとコナーが近づく。
だがコナーは少し遅れてしまう。
それが祟ったのか突如爆音が辺りに響き渡る。
アレックスがハンヴィーの窓越しから見ると、上空を飛んでいたコマンチが墜落し、
大爆破、炎上していた。

コナーは爆音に気をとられていた。いや、この場にいる兵士全員が気をとられていた。
横から近づくサソリに気がつかなかったのだ。

サソリは飛びあがり、ルーカスに自身のハサミを突き立てようとする。
コナーはかろうじて避けるが、サソリは間髪なく襲いかかる。

兵士達はコナーを助けるため、サソリに銃を向けたが、それより早くコナーが腰のガンベルトに手をかけ、M9を取り出し、躊躇なく発砲する。
「うらあああ!」と言いながら2発連続で発砲したコナーの顔にサソリの体液が降りかかる。
撃たれたサソリは仰向けに倒れ、動かなくなる。

ロイドがサソリの様子を確認するなか、アレックスはコナーへ近づく。
サソリの青い体液がコナーのアフリカ系特有のムキムキの体を強調させる。

「コナー!?大丈夫か?こっちだ!」

「おい!あいつ、あいつ!死んだのか?」

コナー自身は大丈夫そうだ。サソリが死んだのかを確認している。問題はサソリのほうだ。

「死んでるぞ。多分。にしてもなんだこの化け物は…」

そう言った後、ロイドは自身の持っているM4をサソリに向かって撃つ。5.56m弾がサソリの腹の部分を貫き、そこから青い体液が流れ落ちる。

「こんな生き物見たことねぇ!何なんだこれ!」

隣ではルーカスが喚いている。

「ロイド、あと何匹こんなやつがいそうだ?」

「さっき見た感じじゃあ5匹以上はいたな。どっから現れるか分からねぇから常に警戒しとかねぇと」

その時、ヒューンという音ともに何かがこちらへと飛んで来る。

咄嗟にアレックス達は身を屈める。その何かはハンヴィーへとぶつかる。いや突き刺さる。
アレックスはぶつかった物を確かめようと顔を上げる。そこにあったのはパネルだ。
鉄製のパネルがどうやら吹っ飛んで来たらしい。だがハンヴィーが盾となったことでアレックス達は傷を負うことはなくなった。
だがハンヴィーが使えなくなった以上、徒歩で移動するしかなくなった。しかもハンヴィー搭載のM2重機関銃までもがパネルによって使えない状態にあった。

「おいおいまずいぞ…サソリ1匹倒してもまだ5匹以上いやがるぜ…」

ロイドは悲痛そうな表情でそう言う。
アレックス自身もこの状況は最悪であった。
アレックス達以外の兵士は、建物の裏や中に退避している。だがサソリはそれを良しとせず、建物を登って攻撃している。

アレックスは今の状況を知ろうと無線を急いで取り出す。

「こちらアレックス中尉!誰か答えれる者はいるか!?」

ジジッと少し鳴った後、無線の向こうから声がする。

『誰か!応援部隊を頼む!奴らライフルが効かない!』

「何!?ロイド!何か弱点があるはずだ。確かてくれ!」

アレックス達はその言葉を聞いて困惑する。何故なら目の前には拳銃2発で死んだサソリがいるからだ。

ロイドはその言葉通りに確かめる。ロイドが死体撃ちした弾丸もサソリには効いていた。 だが拳銃2発でも死ぬということは、その撃った場所が弱点だ。そしてロイドは言う。

「腹と口の部分だ!目と目の真ん中より下の方!」

「本当だな!?腹と口の部分だ!伏せて狙え!俺達も援護に向かう」

『腹と口の部分が弱点だ!全員そこを狙え!応援部隊が来るぞ!』

無線越しにその声が聞こえる。どうやら伝わったみたいだ。

「俺達も向かうぞ」

アレックス達も立ち上がる。













しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

処理中です...