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第30話 アフガニスタン
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2022年7月11日 現地標準時
午後5時51分
アフガニスタン ナンガルハール州
米軍 特殊作戦郡基地付近
_________________
アフガニスタンの夏の日暮れは遅く、まだ太陽は地平線にすら着いておらず、ギンギンと日照ることで大地を乾燥させている。
そんな地獄のような大地の上空を黒のカラーリングをしたV-22 オスプレイが3機、もうすぐ視界に見えてくる米軍基地へ飛行機モードにして向かっている。
その中でも1番後ろのオスプレイに乗っているアメリカ陸軍中尉のマイク アレックスは、同機に乗っている10人の仲間達と話をしていた。
「なぁ、アレク。お前もいい加減歳なんだから嫁くらい作ったらどうだ?」
そんなことを言ってきたのは、部下であり、友人でもあるアメリカ空軍技術軍曹の
ケニー ロイドだ。
アレックスの歳は、現在39歳。あと1年、誕生日的にはあと2ヶ月と言ったところだが、そこまで行くともう40を過ぎる。
そろそろ結婚してもいい歳と言われても仕方ない。ちなみにアレクはアレックスの愛称だ。
「奥さんねぇ…お前みたいに尻に敷かれながら生活しろってか?」
アレックスはロイドを茶化すようにしてそう言う。
周りの部下達もアレクの言葉に反応して、笑っている。
「おいおい、それはやめてくれよ。結構辛いんだぜ?」
「ロイドの奴。アフガンに来た時実は嬉しかったんじゃねぇのか?」
周りの兵士からもロイドは茶化されている。当のロイドはと言うと、軽く笑って受け流している。
当初俺と彼が初めて合った時は、ヘラヘラとしているアフリカ系のやつだという認識だったが、今では仲良くやっている。
「それより俺はハンバーガーが食いたいよ。揚げたてのポテトとキンキンのコーラも一緒につけてな」
そう言ったのはアレックスの部下である
ルーカスだ。
「酒もかっ喰らいたいもんだね。俺の大好きな野球観戦もしながら」
そう言ったのは同じアレックスの部下である
コナーだ。
「おいおい、酒飲みながら野球見るのか?」
アレックスは思わずツッコミを入れたが、コナーは「普通そうじゃないのか?」としか言わなかった。
ふとロイドのほうを見ると、ロイドもあんまり分かってなさそうな顔をしていた。
アレックス達は全員30を過ぎたおじさんしかいないが、話というものは結構噛み合わないものらしい。
やがてオスプレイは、既に視界に入った米軍基地へと着陸準備をしようとする。
「よし、もう少しで着陸だ。準備しておけ。こちらオスカー3。着陸許可をもらいたい」
それに合わせてこのオスプレイの2人のパイロットのうち左の席に乗っているパイロットがそう言う。
『オスカー3へ。現在基地内が混雑している。オスカー1から順に着陸していく。燃料は持ちそうか?』
オスカー1というのは先頭にいるオスプレイだ。
このオペレーターの言葉はアレックス達に言われたわけではないが、アレックスは立ち上がり、ドア窓から外の様子を見る。
オスプレイは今飛行機モードをやめ、ヘリコプターモードに変えていたため、揺れなどはかなり治まっている。
確かに外のほうでは、アレックス達と同じ兵士達がわーわーと基地内を歩き回っている。
「何かあったのか?」
アレックスは何かを感じたもののオスプレイが動きそうだったので自分の席へと戻る。
最初のオスプレイが着地したのはこの3分後だった。
次のオスプレイが着地したのはこの5分後。かなりの鈍行だ。
「おいおい、せっかく帰ってきたのに待たされるのかよ」
ロイドは約8分の待ち時間が過ぎた後に不満をあげだした。確かに長過ぎるとアレックスも気になりパイロットのもとへと行く。
「基地内で何かあったのか?」
「いや、本土のほうで何かあったらしい。オペレーターは詳しいことは教えてくれなかったが、なんか焦っていたよ」
パイロットは振り返ってそう言うと、再び正面を見る。
「まさか第三次世界大戦の始まりじゃないだろうな…」
ロイドは割と真剣な顔つきでそう言っている。
「ロイド、神経質すぎるぞ。そんなことあったら多分俺達はここにはいないはずだ」
そう言ったのはルーカスだ。ルーカスは何事も前向きに考える人物だ。いつも黒くて丸い眼鏡をかけているため覚えやすかった。
「もうすぐ着陸できそうだ。席に戻ってくれ」
パイロットは再び振り返ると、アレックスに向かってこう言った。
アレックスが戻ろうとしたその時だ。
不思議なものを目にする。砂ぼこりだろうか。それがこちらへと近づいてきている。ただの砂ぼこりとは違い、中心部が砂の塊となっている。
「おい、あれなんだ?」
アレックスは砂ぼこりのほうに向けて指を差すと、2人のパイロットは気づかなかったのか困惑の声をあげる。
「敵か?」
「いやあの範囲なら軍のレーダーが探知するはずだ」
「だが地上車両はここら一体砂漠だから舗装されてないと走れないぞ」
パイロット達はいろいろな考えをだすが、どれも当てはまらないと言った様子だ。
後ろに乗っている兵士達もなんだなんだと言ってきた。
「とにかく管制室に伝えろ。偵察機を送ってもらなわないと」
アレックスがそう言うと、パイロット達は
「こちらオスカー3。基地外の砂漠で謎の砂ぼこりが発生した。F-16が配置されてある場所の外だ」
『砂ぼこり?そんなのよくあるだろ、何が謎なんだ?』
「中心部がやたらと濃い砂ぼこりだ。何かいそうな感じがする」
数十秒間をあけたあと
『了解した。レーダーには反応がないが、現場にコマンチを送る。大体の方学と距離を頼む』
オスプレイのパイロットはその質問に答えている間にアレックスは周りの兵士へと状況を伝えに言った。
午後5時51分
アフガニスタン ナンガルハール州
米軍 特殊作戦郡基地付近
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アフガニスタンの夏の日暮れは遅く、まだ太陽は地平線にすら着いておらず、ギンギンと日照ることで大地を乾燥させている。
そんな地獄のような大地の上空を黒のカラーリングをしたV-22 オスプレイが3機、もうすぐ視界に見えてくる米軍基地へ飛行機モードにして向かっている。
その中でも1番後ろのオスプレイに乗っているアメリカ陸軍中尉のマイク アレックスは、同機に乗っている10人の仲間達と話をしていた。
「なぁ、アレク。お前もいい加減歳なんだから嫁くらい作ったらどうだ?」
そんなことを言ってきたのは、部下であり、友人でもあるアメリカ空軍技術軍曹の
ケニー ロイドだ。
アレックスの歳は、現在39歳。あと1年、誕生日的にはあと2ヶ月と言ったところだが、そこまで行くともう40を過ぎる。
そろそろ結婚してもいい歳と言われても仕方ない。ちなみにアレクはアレックスの愛称だ。
「奥さんねぇ…お前みたいに尻に敷かれながら生活しろってか?」
アレックスはロイドを茶化すようにしてそう言う。
周りの部下達もアレクの言葉に反応して、笑っている。
「おいおい、それはやめてくれよ。結構辛いんだぜ?」
「ロイドの奴。アフガンに来た時実は嬉しかったんじゃねぇのか?」
周りの兵士からもロイドは茶化されている。当のロイドはと言うと、軽く笑って受け流している。
当初俺と彼が初めて合った時は、ヘラヘラとしているアフリカ系のやつだという認識だったが、今では仲良くやっている。
「それより俺はハンバーガーが食いたいよ。揚げたてのポテトとキンキンのコーラも一緒につけてな」
そう言ったのはアレックスの部下である
ルーカスだ。
「酒もかっ喰らいたいもんだね。俺の大好きな野球観戦もしながら」
そう言ったのは同じアレックスの部下である
コナーだ。
「おいおい、酒飲みながら野球見るのか?」
アレックスは思わずツッコミを入れたが、コナーは「普通そうじゃないのか?」としか言わなかった。
ふとロイドのほうを見ると、ロイドもあんまり分かってなさそうな顔をしていた。
アレックス達は全員30を過ぎたおじさんしかいないが、話というものは結構噛み合わないものらしい。
やがてオスプレイは、既に視界に入った米軍基地へと着陸準備をしようとする。
「よし、もう少しで着陸だ。準備しておけ。こちらオスカー3。着陸許可をもらいたい」
それに合わせてこのオスプレイの2人のパイロットのうち左の席に乗っているパイロットがそう言う。
『オスカー3へ。現在基地内が混雑している。オスカー1から順に着陸していく。燃料は持ちそうか?』
オスカー1というのは先頭にいるオスプレイだ。
このオペレーターの言葉はアレックス達に言われたわけではないが、アレックスは立ち上がり、ドア窓から外の様子を見る。
オスプレイは今飛行機モードをやめ、ヘリコプターモードに変えていたため、揺れなどはかなり治まっている。
確かに外のほうでは、アレックス達と同じ兵士達がわーわーと基地内を歩き回っている。
「何かあったのか?」
アレックスは何かを感じたもののオスプレイが動きそうだったので自分の席へと戻る。
最初のオスプレイが着地したのはこの3分後だった。
次のオスプレイが着地したのはこの5分後。かなりの鈍行だ。
「おいおい、せっかく帰ってきたのに待たされるのかよ」
ロイドは約8分の待ち時間が過ぎた後に不満をあげだした。確かに長過ぎるとアレックスも気になりパイロットのもとへと行く。
「基地内で何かあったのか?」
「いや、本土のほうで何かあったらしい。オペレーターは詳しいことは教えてくれなかったが、なんか焦っていたよ」
パイロットは振り返ってそう言うと、再び正面を見る。
「まさか第三次世界大戦の始まりじゃないだろうな…」
ロイドは割と真剣な顔つきでそう言っている。
「ロイド、神経質すぎるぞ。そんなことあったら多分俺達はここにはいないはずだ」
そう言ったのはルーカスだ。ルーカスは何事も前向きに考える人物だ。いつも黒くて丸い眼鏡をかけているため覚えやすかった。
「もうすぐ着陸できそうだ。席に戻ってくれ」
パイロットは再び振り返ると、アレックスに向かってこう言った。
アレックスが戻ろうとしたその時だ。
不思議なものを目にする。砂ぼこりだろうか。それがこちらへと近づいてきている。ただの砂ぼこりとは違い、中心部が砂の塊となっている。
「おい、あれなんだ?」
アレックスは砂ぼこりのほうに向けて指を差すと、2人のパイロットは気づかなかったのか困惑の声をあげる。
「敵か?」
「いやあの範囲なら軍のレーダーが探知するはずだ」
「だが地上車両はここら一体砂漠だから舗装されてないと走れないぞ」
パイロット達はいろいろな考えをだすが、どれも当てはまらないと言った様子だ。
後ろに乗っている兵士達もなんだなんだと言ってきた。
「とにかく管制室に伝えろ。偵察機を送ってもらなわないと」
アレックスがそう言うと、パイロット達は
「こちらオスカー3。基地外の砂漠で謎の砂ぼこりが発生した。F-16が配置されてある場所の外だ」
『砂ぼこり?そんなのよくあるだろ、何が謎なんだ?』
「中心部がやたらと濃い砂ぼこりだ。何かいそうな感じがする」
数十秒間をあけたあと
『了解した。レーダーには反応がないが、現場にコマンチを送る。大体の方学と距離を頼む』
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