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第11話 現地人(3)

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「ところで、君達これからどうするの?」

ヒカルがそう言ったが、俺自身これからどうすればいいのか分からない。

「んとね~。世界地図持ってる?」

「スマホでいい?」

「スマホ?」

アナリスがそう問いかけると、ヒカルは
「これ」と言って取り出す。

そこには手の平より一回り大きい長方形の物体があった。青色と黒に近い青色が混ざっでいる。

「スマホってのは、今の現代人ならほとんどの人が持ってるもんだな。いろんなことができて便利すぎてやばいね。やっぱ化学は最高だわ」

ヒカルはそう言うと、そのスマホの右側にある、出っ張った部分を押す。
すると画面が光輝き、女の子の画像が映る。

「何これ、すご」

俺は感動して口をはさむ。だがアナリスは燻し気な顔をしながら

「この人誰?」

「…………好きな子、二次元の、ロック画面にしてる」

そしてあたりは静寂へと包まれる。

「……なんでしてんの?そのロック画面とかいうやつに」

「……俺のだから」

そう言うとヒカルは、スマホを触って数字の盤面を出す。その数字の盤面を素早く触ると、やがて別の画面が開く。

そこには、また別の女の子がいた。二次元の。

「……まぁ、とやかくは言わないけど。それより地図は?」

アナリスはそう言うと

「人に見せるもんじゃないな」

ヒカルは自分に向けて言っているのか真顔でそう言った。

ヒカルはスマホの中に、水滴を逆さまにしたようなやつをタップする。

「これ何?」

アナリスがヒカルにそう問いかける。

「これ?Google map。こういのが他にもある。それをまとめてアプリと言って、スマホを使う。ちなみに俺のスマホはAndroid。
日本じゃあiPhoneが主流だけど、他の国じゃあAndroidが主流だからね」

「……ようはそのGoogle mapとか言うやつで、世界地図が見れるの?」

俺がそう聞くとヒカルは「そう」と答える。
画面には、[Google]と出たあと。緑色の風景が映る。

「で?これをどうすんの?」

今度はヒカルが俺に向けてそう問いかける。

「いや、俺は何も。アナリスがなんかするらしいから」

「あ、そうなんだ」

「ちょっと貸して」

アナリスがそう言うと、いきなりスマホをヒカルの手からぶんどる。

「あ、ちょ。使い方分かるの?」

「大体ね。単純でしょ。こんなの」

そう言うとアナリスは、パパッとスマホを操作していく。

「とても異世界人とは思えないな。そういえばガイムも魔法は使えるの?」

「使えるけど、下位魔法しか使えない」

「下位魔法?魔法にも種類があるの?」

アナリスに説明させたかったが、当の本人は、スマホに夢中だ。

「えっと、魔法ってのは、下位魔法、中位魔法、上位魔法があって、上位魔法が効果が一番強くて、下位魔法が効果が一番弱いって感じ。魔法にも[技]と[術]ってのがある。まぁ、そこらへんの区別はめんどくさいから、まとめて[魔法]って呼んでる」

「へぇ~おもしろ、てか君ら結構曖昧なんだね」

俺が説明し終わった時に、アナリスが突然声をあげる。

「あ、多分ここら辺だ」

「ここら辺って何が?」

俺がそう聞くとアナリスは

「異世界人の場所。ここに1.2人いた気がする。距離的に考えてこの場所にいそうな気がする。で、あと2人いるんだけど、それは多分ここにいる」

最初に指を指したのは、
真ん中に[ニューヨーク]とある場所。
次にアナリスはぐるっとスマホを払う。そしてまた指を指した場所は、
真ん中に[ドイツ]とある場所。
そしてまた指を払い、最後に指を指したのは、下に[モンゴル]上に[ロシア]とある場所だった。

「んと、アメリカとドイツ、それにモンゴルとロシアの国境あたりか。そこにいんの?」

ヒカルがそう言うと、アナリスは答える。

「多分ね、私はこう見えて賢者って呼ばれてきたんだよ。信じてくれて大丈夫」

アナリスは自身満々にそう言う。
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