現代転生 _その日世界は変わった_

胚芽米

文字の大きさ
上 下
20 / 237

第19話 VSワイバーン in ニューヨーク(4)

しおりを挟む
「F-22スクランブル発進。到着予定時刻は残り3分、距離はおよそ110km」

「現在のニューヨークの様子はどうなっている」

「衛星画像はまだか!?」

「地上部隊の到着予定時刻は?」

「911の指揮系統が混乱している。警察には避難者の誘導、消防救急には、避難者の救護をするように伝えろ」

ペンタゴンの中では様々な声が行き交っている。ここにきて比較的安定していたペンタゴンに混乱というものが入ってきたらしい。

それは国防長官であり、数多もの歴史を見てきたジェイコブでさえも例外ではない。

ジェイコブは焦っていた。ニューヨークが何者かによって襲撃されていることに。
そしてその何物かが未知なるものだということに。

ジェイコブは願っていた。どうかその何物かがハリウッド映画に出てくる怪物のようにまったく歯が立たないことがないということを。

そしてジェイコブは…

『こちらラプター01ゼロワン。目標を視認した。繰り返す。視認した。現在ハドソン川上空を旋回中』

その無線にペンタゴンの内部が一瞬静寂に
包まれる。

それにいち早く気づいたペンタゴンの兵士の中心部にいた男が無線をとった若い男に言う。

「君、無線を私に。現在の高度と速度、及び現場の様子を伝えろ」

『現在の高度は1100m、速度はマッハ1.2。現場の様子は……あちこちで燃えている。ビルも崩れている。こりゃあまるで地獄だ…』

「了解した。F-22,すぐに奴を迎撃しろ。顔があるならそこにミサイルを打て」

『了解!ラプター02ゼロツーから06ゼロシックス後に続け!』

無線を変わってもらった男。アメリカ統合参謀本部議長のエリック ウォルナーは一段落ついたこと少しの安堵をしていた。

「衛星画像きます!」

再び別の場所で声がする。そちらでは中年の女性兵士がいた。

「すぐにモニターに」

ジェイコブがそう言うと、衛星画像はすぐにモニターに映し出させる。

「国防長官、これは」

初老の男がそう言う。だがジェイコブも言葉を出せなかった。

そこに映っていたのはまさしく地獄だった。炎があちこちでメラメラと燃えていることが映像でなくても分かるほどに。
_________________
2022年7月11日 アメリカ東部標準時
午後3時32分
アメリカ合衆国 ニューヨーク州
ハドソン川上空

F-22 ラプターの戦闘機部隊は、ペンタゴンからの無線により、ハドソン川上空の旋回をやめ、ウォール街、つまりあの巨大生物の場所に行こうとしていた。
それぞれのレーダーに映るように重ならないようにする。

「ラプター全機。攻撃用意。フォーメーションを忘れるな。全機無事に帰還するぞ」

ラプター01と言われた機体に乗ったパイロットがそう言う。

やがてその生物との距離も近づいていた。F-22に搭載されている6本のミサイルの射程範囲内へと入ったところだ。

距離はどのくらいだろうか。だが火の粉によって不安定に見えていたその体が今でははっきりと見えている。あとはレーダーがちゃんとつかんでくれればいい。

ピピーという音が機内に響く。それはレーダーがロックオンをした時の音だ。

「発射!」

まず先頭にいた戦闘機がミサイルを発射する。次にミサイルを打った戦闘機は左右に離れる。
やがて左右に離れたのを見計らい別の戦闘機がミサイルを発射する。

6機の戦闘機パイロットは全員同じ思いを持っていた。

どうかこの事態が無事に終わってくれと。





しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

実の妹が前世の嫁だったらしいのだが(困惑)

七三 一二十
ファンタジー
ある朝、俺は突然、前世で異世界の勇者だったことを思い出した。 勇者には聖女の恋人がいた。たおやかで美しい彼女の面影を思い浮かべるほど、現世でもみかけた気がしてくる俺。 頭を抱えているとドタドタ足音をたてて、妹が部屋に駆け込んできた。 「にいちゃんっ!」 翡翠色の瞳に輝くような金髪、これまで意識しなかったけど超整った顔立ち…俺の懸念は的中した。妹は前世の恋人、”光の聖女”の転生体だったのだ。しかも俺と同時に、前世の記憶を取り戻していた。 気まずさに懊悩する俺をよそに、アホアホな妹は躊躇なく俺にキスを迫ってくる! 「せっかく記憶が戻ったんだから、ちいさいこと気にするのはなしにしよーよ。ギブミーキース、ギブミーキース…」 「戦後か!」 前世の恋人兼聖女の妹から、元勇者な俺は貞節とモラルと世間体を守れるのだろうか…というか記憶が戻った途端、妹が可愛くみえてしょうがねーな、ちくしょー!(血涙) ※不定期更新となります。どうかご了承のほどを。 ※本作は小説家になろう様にも掲載しております。

記憶喪失の転生幼女、ギルドで保護されたら最強冒険者に溺愛される

マー子
ファンタジー
ある日魔の森で異常が見られ、調査に来ていた冒険者ルーク。 そこで木の影で眠る幼女を見つけた。 自分の名前しか記憶がなく、両親やこの国の事も知らないというアイリは、冒険者ギルドで保護されることに。 実はある事情で記憶を失って転生した幼女だけど、異世界で最強冒険者に溺愛されて、第二の人生楽しんでいきます。 ・初のファンタジー物です ・ある程度内容纏まってからの更新になる為、進みは遅めになると思います ・長編予定ですが、最後まで気力が持たない場合は短編になるかもしれません⋯ どうか温かく見守ってください♪ ☆感謝☆ HOTランキング1位になりました。偏にご覧下さる皆様のお陰です。この場を借りて、感謝の気持ちを⋯ そしてなんと、人気ランキングの方にもちゃっかり載っておりました。 本当にありがとうございます!

スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。 パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。 車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。 ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!! 相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム! けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!! パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!

高校からの帰り道、錬金術が使えるようになりました。

マーチ・メイ
ファンタジー
女子校に通う高校2年生の橘優奈は学校からの帰り道、突然『【職業】錬金術師になりました』と声が聞こえた。 空耳かと思い家に入り試しにステータスオープンと唱えるとステータスが表示された。 しばらく高校生活を楽しみつつ家で錬金術を試してみることに 。 すると今度はダンジョンが出現して知らない外国の人の名前が称号欄に現れた。 緩やかに日常に溶け込んでいく黎明期メインのダンジョン物です。 小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。

一番モテないヒロインに転生しましたが、なぜかモテてます

Teko
ファンタジー
ある日私は、男の子4人、女の子4人の幼なじみ達が出てくる乙女ゲームを買った。 魔法の世界が舞台のファンタジーゲームで、プレーヤーは4人の女の子の中から1人好きなヒロインを選ぶ事ができる。 ・可愛くて女の子らしい、守ってあげたくなるようなヒロイン「マイヤ」 ・スポーツ、勉強と何でもできるオールマイティーなヒロイン「セレス」 ・クールでキレイな顔立ち、笑顔でまわりを虜にしてしまうヒロイン「ルナ」 ・顔立ちは悪くないけど、他の3人が飛び抜けている所為か平凡に見られがちなヒロイン「アリア」 4人目のヒロイン「アリア」を選択する事はないな……と思っていたら、いつの間にか乙女ゲームの世界に転生していた! しかも、よりにもよって一番モテないヒロインの「アリア」に!! モテないキャラらしく恋愛なんて諦めて、魔法を使い楽しく生きよう! と割り切っていたら……? 本編の話が長くなってきました。 1話から読むのが大変……という方は、「子どもの頃(入学前)」編 、「中等部」編をすっと飛ばして「第1部まとめ」、「登場人物紹介」、「第2部まとめ」、「第3部まとめ」からどうぞ! ※「登場人物紹介」はイメージ画像ありがございます。 ※自分の中のイメージを大切にしたい方は、通常の「登場人物紹介」の主要キャラ、サブキャラのみご覧ください。 ※長期連載作品になります。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

処理中です...