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第18話 VSワイバーン in ニューヨーク(3)
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2022年7月11日 アメリカ東部標準時
午後3時25分
アメリカ合衆国 バージニア州
ペンタゴン(アメリカ国防総省本庁舎)
_________________
UH-60 ブラックホーク。その黒く塗られた機体がペンタゴンのヘリポートに着陸する。
やがてそのヘリコプターの扉が黒スーツ姿の男によって開かれる。
そして黒スーツに導かれるようにヘリコプターから降りたのは、50~60代くらいの男。
同じように黒スーツを着用し、白髪が既に生えているが、その身なりは整っている。
誰もが見ても、偉そうな人と感じそうな人だ。
「お待ちしていました。グレイグ ジェイコブ国防長官」
そう言ってきたのは、初老の男。こちらも黒スーツを着用している。
「どうぞ、中へ」
初老の男がそう言うと、ジェイコブは歩きながらその男に話しかける。
「国家に関わる緊急事態だと聞いてすっ飛んできたわけだが現在の状況は?」
「正確には分かりません。ですが14ストリート以南にて多数の死傷者がいるようです。現在、スチュアート空軍基地よりF-22の緊急発進準備を行っています」
「何が起きている?」
話をしているうちにペンタゴンの内部(国家軍事指揮部)へとたどり着く。
そこには迷彩服を着た兵士が、パソコンや電話を引っ切り無しに扱っていた。
「ニューヨーク市警、及びSNSの情報によりますと、ウォール街にて謎の巨大生物が出現したとのことです。今現在その巨大生物の情報としては、多数のビルを倒壊、火炎放射機能を所持していることしか。これにより現在ウォール街は大規模な火災に見舞われています」
「現地の映像はあるか?」
「20分ほど前に現地の映像がSNSに投稿されていました」
初老の男はそう言うと手に持っているノートパソコンの映像をこちらに見せてくる。
そこには黒い巨大生物がニューヨークのビルとビルの間にいた。映像は橋の上でとっているのだろうか。下には川が映っている。
その巨大生物は、トカゲのような顔つきだった。二足歩行で羽を1対持っていた。大きな羽だ。その巨体も宙に浮かせそうなくらいの。
そして奴は炎を出していた。いや、吐いていた。火炎放射機のごとく、その炎はまっすぐ伸び、やがて爆発へと変わっている。
「これは、ブルックリン橋にて撮られた映像です」
初老の男は動画が終わるタイミングでそう言う。
「……何故このような生物の早期発見に至らなかった?衛星もレーダーにも映らなかったのか?」
ジェイコブはニューヨークが破壊され、そして多数の人員が死していることに強い怒りを覚えていた。声にも更に威圧感が増している。
「…この生物は突然出現したとのことです。ウォール街で突然…それ以上のことは分かりません」
初老の男は苦い物を噛むかのようにして言う。
ジェイコブはこれで全てを理解した。この生物は我々にとって全くの未知のものだと。
やがてジェイコブの顔つきほ一層険悪となり、そして…
「状況は大体把握した。衛星からの映像を入手、それと偵察機も現地に向かわせろ。エンスパイアステートビル以南に戒厳令を引き、近くの陸軍基地、及び海兵隊基地から全ての人員、そして兵力を動員し、民間人をニューヨークから避難、及びあの生物を駆除させろ…F-22の発進準備はいつ終わる?」
「あと数分です」
椅子に座った若い男が振り返ってそう言う。
「1分で済ませろ。準備が終わり次第F-22をすぐにニューヨーク州ウォール街に向かわせろ。ミサイルの発射も今ここで許可する。いいかこれは多くの命が関わっている事態だ。全員心してかかれ!」
そのジェイコブの言葉に感化されて、その場の全員がより一層慌ただしく動く。
「国防長官より緊急空軍要請。ウォール街に向かわせろ。武器の使用も許可されている」
「こちらペンタゴン。現在発進可能な偵察機をニューヨークへ向かわせてください」
「現地に今出動できる師団全てをニューヨークへと送り込め」
_________________
2022年7月11日 アメリカ東部標準時
午後 3時31分
アメリカ合衆国 ニューヨーク州
スチュアート空軍基地
「ラプター全機、緊急発進だ。国防長官より武器の使用は許可されている」
「目的地はニューヨーク州ウォール街。状況報告を忘れるな」
オペレーターが口々にいろいろと言う。
F-22の前には、黄色い服を着た整備士が、腕で胸にクロスマークを作っている。
「ラプター全機。離陸を許可する」
オペレーターがそう言うと共に、F-22は整備士がどいた滑走路を勢いよく駆ける。
_________________
同時刻
アメリカ合衆国 ニューヨーク州
フォートハミルトン陸軍基地
ニューヨーク州の米軍基地。そこでは輸送ヘリのV-22とCH-47、攻撃ヘリのAH-1Zの編隊が飛行準備をしていた。
まず、横に並べられたV-22に次々と乗っていく米軍。
V-22の列の隣では、AH-1Zが既に主翼を回転させていた。
やがて大きな音をたててV-22 オスプレイは飛び立つ。
「こちらアルファ。これよりニューヨークへ向かう」
「こちらブラボー。離陸準備完了。離陸許可を求む」
ヘリのパイロットが無線越しにそう言っている。
_________________
同時刻
アメリカ合衆国 アリゾナ州 上空
エアフォースワン内
「こちらエアフォースワン。航路を変更し、アンドルーズ空軍基地へ向かう」
飛行機のパイロットは、ペンタゴンからの無線にそう答える。
エアフォースワン内では、既にニューヨークの情報収集が行われていた。
「本来ならロスに向かっていたはずだがな。まさか逆戻りとは」
アメリカ合衆国の現在の大統領である
ジョン ヴォイドはそう言う。
「現在国防長官が指揮をとっています。アンドルーズまでは、5.6時間程かかります」
黒服の男はそう言う。
「だからと言って指を咥えてじっとしている訳にはいかんだろう。国家の安全がかかっている事態だ。この事件の首謀者も早く見つけるようにしろ」
大統領は、渋い顔でそう言った。
午後3時25分
アメリカ合衆国 バージニア州
ペンタゴン(アメリカ国防総省本庁舎)
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UH-60 ブラックホーク。その黒く塗られた機体がペンタゴンのヘリポートに着陸する。
やがてそのヘリコプターの扉が黒スーツ姿の男によって開かれる。
そして黒スーツに導かれるようにヘリコプターから降りたのは、50~60代くらいの男。
同じように黒スーツを着用し、白髪が既に生えているが、その身なりは整っている。
誰もが見ても、偉そうな人と感じそうな人だ。
「お待ちしていました。グレイグ ジェイコブ国防長官」
そう言ってきたのは、初老の男。こちらも黒スーツを着用している。
「どうぞ、中へ」
初老の男がそう言うと、ジェイコブは歩きながらその男に話しかける。
「国家に関わる緊急事態だと聞いてすっ飛んできたわけだが現在の状況は?」
「正確には分かりません。ですが14ストリート以南にて多数の死傷者がいるようです。現在、スチュアート空軍基地よりF-22の緊急発進準備を行っています」
「何が起きている?」
話をしているうちにペンタゴンの内部(国家軍事指揮部)へとたどり着く。
そこには迷彩服を着た兵士が、パソコンや電話を引っ切り無しに扱っていた。
「ニューヨーク市警、及びSNSの情報によりますと、ウォール街にて謎の巨大生物が出現したとのことです。今現在その巨大生物の情報としては、多数のビルを倒壊、火炎放射機能を所持していることしか。これにより現在ウォール街は大規模な火災に見舞われています」
「現地の映像はあるか?」
「20分ほど前に現地の映像がSNSに投稿されていました」
初老の男はそう言うと手に持っているノートパソコンの映像をこちらに見せてくる。
そこには黒い巨大生物がニューヨークのビルとビルの間にいた。映像は橋の上でとっているのだろうか。下には川が映っている。
その巨大生物は、トカゲのような顔つきだった。二足歩行で羽を1対持っていた。大きな羽だ。その巨体も宙に浮かせそうなくらいの。
そして奴は炎を出していた。いや、吐いていた。火炎放射機のごとく、その炎はまっすぐ伸び、やがて爆発へと変わっている。
「これは、ブルックリン橋にて撮られた映像です」
初老の男は動画が終わるタイミングでそう言う。
「……何故このような生物の早期発見に至らなかった?衛星もレーダーにも映らなかったのか?」
ジェイコブはニューヨークが破壊され、そして多数の人員が死していることに強い怒りを覚えていた。声にも更に威圧感が増している。
「…この生物は突然出現したとのことです。ウォール街で突然…それ以上のことは分かりません」
初老の男は苦い物を噛むかのようにして言う。
ジェイコブはこれで全てを理解した。この生物は我々にとって全くの未知のものだと。
やがてジェイコブの顔つきほ一層険悪となり、そして…
「状況は大体把握した。衛星からの映像を入手、それと偵察機も現地に向かわせろ。エンスパイアステートビル以南に戒厳令を引き、近くの陸軍基地、及び海兵隊基地から全ての人員、そして兵力を動員し、民間人をニューヨークから避難、及びあの生物を駆除させろ…F-22の発進準備はいつ終わる?」
「あと数分です」
椅子に座った若い男が振り返ってそう言う。
「1分で済ませろ。準備が終わり次第F-22をすぐにニューヨーク州ウォール街に向かわせろ。ミサイルの発射も今ここで許可する。いいかこれは多くの命が関わっている事態だ。全員心してかかれ!」
そのジェイコブの言葉に感化されて、その場の全員がより一層慌ただしく動く。
「国防長官より緊急空軍要請。ウォール街に向かわせろ。武器の使用も許可されている」
「こちらペンタゴン。現在発進可能な偵察機をニューヨークへ向かわせてください」
「現地に今出動できる師団全てをニューヨークへと送り込め」
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2022年7月11日 アメリカ東部標準時
午後 3時31分
アメリカ合衆国 ニューヨーク州
スチュアート空軍基地
「ラプター全機、緊急発進だ。国防長官より武器の使用は許可されている」
「目的地はニューヨーク州ウォール街。状況報告を忘れるな」
オペレーターが口々にいろいろと言う。
F-22の前には、黄色い服を着た整備士が、腕で胸にクロスマークを作っている。
「ラプター全機。離陸を許可する」
オペレーターがそう言うと共に、F-22は整備士がどいた滑走路を勢いよく駆ける。
_________________
同時刻
アメリカ合衆国 ニューヨーク州
フォートハミルトン陸軍基地
ニューヨーク州の米軍基地。そこでは輸送ヘリのV-22とCH-47、攻撃ヘリのAH-1Zの編隊が飛行準備をしていた。
まず、横に並べられたV-22に次々と乗っていく米軍。
V-22の列の隣では、AH-1Zが既に主翼を回転させていた。
やがて大きな音をたててV-22 オスプレイは飛び立つ。
「こちらアルファ。これよりニューヨークへ向かう」
「こちらブラボー。離陸準備完了。離陸許可を求む」
ヘリのパイロットが無線越しにそう言っている。
_________________
同時刻
アメリカ合衆国 アリゾナ州 上空
エアフォースワン内
「こちらエアフォースワン。航路を変更し、アンドルーズ空軍基地へ向かう」
飛行機のパイロットは、ペンタゴンからの無線にそう答える。
エアフォースワン内では、既にニューヨークの情報収集が行われていた。
「本来ならロスに向かっていたはずだがな。まさか逆戻りとは」
アメリカ合衆国の現在の大統領である
ジョン ヴォイドはそう言う。
「現在国防長官が指揮をとっています。アンドルーズまでは、5.6時間程かかります」
黒服の男はそう言う。
「だからと言って指を咥えてじっとしている訳にはいかんだろう。国家の安全がかかっている事態だ。この事件の首謀者も早く見つけるようにしろ」
大統領は、渋い顔でそう言った。
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