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第15話 ニューヨーク
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2022年7月11日 アメリカ東部標準時
午後2時42分
アメリカ合衆国 ニューヨーク州
マンハッタン島 41番ストリート
長距離バスターミナル前
_________________
「さて、やってきました!ニューヨーク!」
アナリスは声高らかに言う。
「テンション高いねぇ、けど俺も初めてのニューヨークだから結構楽しみだな。どうする?自由の女神でも見に行くか?まぁあれニュージャージー州だけど」
「まぁ、観光するわけには行かないね」
「アナリス。それで魔力感じるの?」
「待ってガイム。えっとね…うん。いるね。あっちのほう」
「自由の女神のほうだな。よし目的も決まったし行くか」
ヒカルが意気込んで言うと、アナリスが待ったをかける。
「2人いるね。しかもほとんど変わらない場所に。魔力の流れ的には、人間だとは思うけど油断できない」
「魔王の幹部って人間がいるの?」
俺がそう聞くとアナリスは
「いるね。だから最大限注意しないと、じゃないとまずい…てかこの話前もしなかった?ちゃんと聞いててよ」
「え、すいません」
咄嗟に謝る。てかアナリスはよくそういうよ知ってるな。それとも俺が知らないすぎなだけなのか?
「とりあえずお前らと同じ異世界人を探さないとな。けど変だな」
「何が?」
ヒカルが言ってることが分からずに俺は聞く。
「いや、何も騒ぎがないんだよな。アナリスの言う魔王や魔王の幹部や気性が荒いって言ってたからな。まぁここだけの話じゃないけど、結構何もないね」
「それに関しては私もなんとも。でも三重県の事件があるから何もしてないってことはない。できれば私とガイムで魔王を蹴散らしたいけど、さすがに戦力不足すぎる」
「おい待て、さらっと俺に戦力外通告してないか?」
「あっ、バレた?」
アナリスはおもしろい物を見るような顔つきで言う。クソォォ……けど俺よりアナリスのほうが圧倒的に強いから何も言えん。
「行くぞ、Google mapだとこっちのほうが良いらしいから」
ヒカルがそう言いながら先へ進むと俺とアナリスも跡を付いていった。
15分くらいだろうか。アナリスが足を止めた。
「近い……いる」
「マジ?でもどれ?」
ニューヨークのウォール街。そこでアナリスは言うが辺りにはたくさんの人が歩いている。その中から異世界人を見つけることは可能なのだろうか。
「多分鎧とか着てるんじゃないかな、それを目印に探せば」
ヒカルはそう言うが、辺りを見渡してもそれらしき人物はいない。
「角。近い。こっちに来る。みぎ」
アナリスが片言でそう言ってくる。
どこだと探す。
不意にアナリスが口を開く。
「いや、待って。すぐそこ。私達の目の前に来る」
その言葉に俺とヒカルはすぐに正面を見る。
やがてそれらしき人物が姿を表す。
そこには身長2mくらいはありそうな大男がいた。ターバンみたいな白服に、ブカブカな黒いズボン。見た目とは裏腹にその目つきは鋭く。殺しをたやすく行いそうな見た目だ。
これはまずい。
俺は咄嗟に後ずさりをする。ヒカルもどうやらその風貌に驚き、俺と同じように後ろに足を出す。
その大男は俺達の姿、いやアナリスだろうか。
そいつを見た瞬間、目を見開く。そして…
「…!お前賢者アナリスだな!お前がここにいるってことはこの幻想世界もお前の仕業だな!お前を殺せば、この幻想世界からも脱出できるはずだ」
「幻想世界?そんなの知らない知らない。それに君まさか…」
「死ぬまでに覚えておけぇ、俺は」
俺とヒカルはアナリスより後に下がる。
まさかこいつは…
「魔王軍幹部。竜人のザッヴァーだとな!!」
その大男がそう言い終わった瞬間。
そいつは右腕をまくる。そこには竜の紋章があった。そしてそこに左手を添える。
すると、そいつの周りに炎が浮かび上がる。 この様子に周囲の人々は遠ざかり、何事かと
騒いでいる。
「これはまずい…!」
アナリスはそう言うと、魔法を使う。
手に紫色の光が立ち込めると、周囲の人々はその大男、ザッヴァーの周りから謎の衝撃波によって離れる。
突然の出来事に俺とヒカルがあ然とする。それは周囲の人々も同じで突然の衝撃波、そして大男の周りにある炎に困惑し、中にはスマホで写真、動画を撮っている者もいた。
「竜人の力ぁ!思い知れぇぇぇ!!!」
ザッヴァーはそう叫び、俺達へ近づくと、周りの炎がザッヴァーを取り囲む。そして1つの大きな火柱が一瞬のうちに空高く上がる。
すさまじい熱風が俺達に襲いかかる。
すると、アナリスが再び手に紫色の光を発し、その熱風を防いでいる。
「まずいまずいまずいまずい」
アナリスがそう言うとヒカルも続けて
「おいこれ!どういうことだ!早くここから逃げないと」
「いいから!じっとしてて!丸焦げになるよ!」
アナリスの一喝により、ヒカルは足を止め、その場にじっとする。やがて火柱は段々と大きくなっていく。
周囲の人々が逃げ惑い、悲鳴に似たような声が聞こえる。
ゴウゴウと音を立てて燃えあがる火柱。その様子には俺とヒカルは何もできず、ただ立つことしかできなかった。
やがて、火柱の中から何か手のような物が出てくる。黒い、そして大きい。
そして火柱は突然としてなくなった。
だがそこには異世界の自然界において最強と言われる生物
ワイバーンがいた。
午後2時42分
アメリカ合衆国 ニューヨーク州
マンハッタン島 41番ストリート
長距離バスターミナル前
_________________
「さて、やってきました!ニューヨーク!」
アナリスは声高らかに言う。
「テンション高いねぇ、けど俺も初めてのニューヨークだから結構楽しみだな。どうする?自由の女神でも見に行くか?まぁあれニュージャージー州だけど」
「まぁ、観光するわけには行かないね」
「アナリス。それで魔力感じるの?」
「待ってガイム。えっとね…うん。いるね。あっちのほう」
「自由の女神のほうだな。よし目的も決まったし行くか」
ヒカルが意気込んで言うと、アナリスが待ったをかける。
「2人いるね。しかもほとんど変わらない場所に。魔力の流れ的には、人間だとは思うけど油断できない」
「魔王の幹部って人間がいるの?」
俺がそう聞くとアナリスは
「いるね。だから最大限注意しないと、じゃないとまずい…てかこの話前もしなかった?ちゃんと聞いててよ」
「え、すいません」
咄嗟に謝る。てかアナリスはよくそういうよ知ってるな。それとも俺が知らないすぎなだけなのか?
「とりあえずお前らと同じ異世界人を探さないとな。けど変だな」
「何が?」
ヒカルが言ってることが分からずに俺は聞く。
「いや、何も騒ぎがないんだよな。アナリスの言う魔王や魔王の幹部や気性が荒いって言ってたからな。まぁここだけの話じゃないけど、結構何もないね」
「それに関しては私もなんとも。でも三重県の事件があるから何もしてないってことはない。できれば私とガイムで魔王を蹴散らしたいけど、さすがに戦力不足すぎる」
「おい待て、さらっと俺に戦力外通告してないか?」
「あっ、バレた?」
アナリスはおもしろい物を見るような顔つきで言う。クソォォ……けど俺よりアナリスのほうが圧倒的に強いから何も言えん。
「行くぞ、Google mapだとこっちのほうが良いらしいから」
ヒカルがそう言いながら先へ進むと俺とアナリスも跡を付いていった。
15分くらいだろうか。アナリスが足を止めた。
「近い……いる」
「マジ?でもどれ?」
ニューヨークのウォール街。そこでアナリスは言うが辺りにはたくさんの人が歩いている。その中から異世界人を見つけることは可能なのだろうか。
「多分鎧とか着てるんじゃないかな、それを目印に探せば」
ヒカルはそう言うが、辺りを見渡してもそれらしき人物はいない。
「角。近い。こっちに来る。みぎ」
アナリスが片言でそう言ってくる。
どこだと探す。
不意にアナリスが口を開く。
「いや、待って。すぐそこ。私達の目の前に来る」
その言葉に俺とヒカルはすぐに正面を見る。
やがてそれらしき人物が姿を表す。
そこには身長2mくらいはありそうな大男がいた。ターバンみたいな白服に、ブカブカな黒いズボン。見た目とは裏腹にその目つきは鋭く。殺しをたやすく行いそうな見た目だ。
これはまずい。
俺は咄嗟に後ずさりをする。ヒカルもどうやらその風貌に驚き、俺と同じように後ろに足を出す。
その大男は俺達の姿、いやアナリスだろうか。
そいつを見た瞬間、目を見開く。そして…
「…!お前賢者アナリスだな!お前がここにいるってことはこの幻想世界もお前の仕業だな!お前を殺せば、この幻想世界からも脱出できるはずだ」
「幻想世界?そんなの知らない知らない。それに君まさか…」
「死ぬまでに覚えておけぇ、俺は」
俺とヒカルはアナリスより後に下がる。
まさかこいつは…
「魔王軍幹部。竜人のザッヴァーだとな!!」
その大男がそう言い終わった瞬間。
そいつは右腕をまくる。そこには竜の紋章があった。そしてそこに左手を添える。
すると、そいつの周りに炎が浮かび上がる。 この様子に周囲の人々は遠ざかり、何事かと
騒いでいる。
「これはまずい…!」
アナリスはそう言うと、魔法を使う。
手に紫色の光が立ち込めると、周囲の人々はその大男、ザッヴァーの周りから謎の衝撃波によって離れる。
突然の出来事に俺とヒカルがあ然とする。それは周囲の人々も同じで突然の衝撃波、そして大男の周りにある炎に困惑し、中にはスマホで写真、動画を撮っている者もいた。
「竜人の力ぁ!思い知れぇぇぇ!!!」
ザッヴァーはそう叫び、俺達へ近づくと、周りの炎がザッヴァーを取り囲む。そして1つの大きな火柱が一瞬のうちに空高く上がる。
すさまじい熱風が俺達に襲いかかる。
すると、アナリスが再び手に紫色の光を発し、その熱風を防いでいる。
「まずいまずいまずいまずい」
アナリスがそう言うとヒカルも続けて
「おいこれ!どういうことだ!早くここから逃げないと」
「いいから!じっとしてて!丸焦げになるよ!」
アナリスの一喝により、ヒカルは足を止め、その場にじっとする。やがて火柱は段々と大きくなっていく。
周囲の人々が逃げ惑い、悲鳴に似たような声が聞こえる。
ゴウゴウと音を立てて燃えあがる火柱。その様子には俺とヒカルは何もできず、ただ立つことしかできなかった。
やがて、火柱の中から何か手のような物が出てくる。黒い、そして大きい。
そして火柱は突然としてなくなった。
だがそこには異世界の自然界において最強と言われる生物
ワイバーンがいた。
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