現代転生 _その日世界は変わった_

胚芽米

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第12話 旅の準備

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「それで今から行くのか?そのニューヨークとか言う場所に」



「そうだよ、今から同じ異世界人の仲間探しをするよ。と言っても人間のね」



アナリスがそう言った時、ヒカルが口をはさむ。



「人間?人間じゃないのも来てるのか?」



「あ、説明してなかったね。えっとね……」



その後アナリスは魔王の話をした。

それを聞いたヒカルの感想は「そんなことあるのかよ」だった。



だが、ヒカルはふと顎に手をあてたあと、

アナリスに「スマホ返して」と言う。



アナリスが「はい」と言って、スマホを投げたあと、ヒカルは慌ててそれを見事にキャッチし、不満そうな顔を浮かべながらも、スマホを操作する。



「これ見て、なんか関係ありそう?」



ヒカルがそう言って俺達に見せてきたのは、とある画像。そこにはこう書いてあった。



 ____________________________________

  三重県 近鉄四日市駅にて       

        出火原因不明の火災発生 



7月9日。午後1時半頃。三重県の近鉄四日市駅の3階の百貨店を火元に火災が発生し、鉄道利用客の多くが巻き込まれた。

その後、現場付近にいた人々が119番へと通報し、その後駆けつけた消防隊員により午後2時半頃に鎮火されている。

この火災により、火傷、一酸化炭素中毒による死者16名、重症者1名、軽症者52名の被害がこれまでに確認されている。

出火原因は不明で、消防によると駅は非可燃性物質で建造されており、また喫煙所も駅構内に設置されていたため、タバコのポイ捨てなどによる発火はしにくいと考えられ、放火の可能性が大きいとされているが、駅構内にいた目撃者によると、いつも変わらない様子だったが、突如炎が上がったと証言されており、また現場付近に灯油やガソリンの使用痕跡が残っていないことや、防犯カメラにそれらしき人物が映っていなかったことから放火が原因の出火だとは、考えにくいと消防は発表している。

消防は、出火原因を調べるため、さらなる調査を行うという。

____________________________________



「………なるほどね」



画面を見ていたアナリスが声をあげる。



「それで次はこれ」



ヒカルがそう言うと、今度は写真と書いてあるマークをタップする。

すると、いろいろな画像があった。写る中には淫らものもあった。



「……まぁこういうのは置いといて、本題はこれ。こういうのを動画って言うの。よく見といて。ちなみに一コマだけ撮ったものを写真って言うよ」



ヒカルが説明し切る前にその動画というものは動き始める。



「こんな感じで保存ができるの」



そう説明するとヒカルに思わず



「すごいな…この世界」



と言う。

そしてその動画には、炎を出して燃えている建物と、逃げる人々、中にはスマホを持って燃えている建物に向けている人もいる。



「えー。見てください。えー、今現在ですね、三重県近鉄四日市駅にいるんですけど。

えー、すごく燃えてます」



男の低い声が聞こえる。この動画を撮っている人なのだろうか。あとやたらと「えー」が多い。

ボウボウと炎が燃える音がすると、また男が喋りだす。



「えー。逃げる人々が…うん?え?今なんかいなかった?なんか空に飛んでなかった?え?」



男の人はそう言って困惑の声を出す。

ここで動画は終わっている。



「これは?」



アナリスがそう聞くとヒカルが答える。



「これはさっきの記事の火災の動画。今はこの動画は削除されててないけど、気になったから保存しといたの。この動画、何かが空にいたとかでネットで有名になったの、でこれがそのなんか」



ヒカルはそう言うとある画像を見せる。



そこには、緑色だろうか。人くらいの大きさで1対の羽がある生き物らしきものがいた。



ヒカルは続ける。



「速すぎるのか、一瞬しか写ってないけどね。ネット上では、蜃気楼説が多かったけど、異世界人としてこいつの正体分かりそう?」



「その前にネットって?」



「ネットっていうのは、自分と世界の人々を繋げる物のことだね。これがあるおかげで地球の反対側の情報もすぐ手に入る」



何それ!?声にこそ出さなかったが、今までで一番驚いた気がする。俺達の世界での情報通信といえば、基本馬車による伝達だからだ。やっぱこの世界普通じゃない。



さて、さっきの生き物の正体だが、俺は魔王、魔王の幹部の正体も知らないから何も言えない。



だが、アナリスは違った。さっきの画像を真剣に見つめたあと、やがて口を開く。



「これは……魔王の幹部だね。間違いなく。しかも一番強い幹部」



「え?一番強いの?」



「うん」



よりにもよって一番強い魔王の幹部同じ国にいるらしい。けど確か…



「今はこの国にいないんだよな?この前言ってたし」



俺が聞くとアナリスが答える。



「多分ね、半径100kmが魔力探知の範囲だけど、魔力の反応を薄くしてたら分かんないし、もしかしたら九州か北海道にいるかもね。でも魔力探知で大体の方角だけなら分かるけど」



「その可能性はないよ、今のところそういう事件は起きてない、日本ではね」



つまりアナリスとヒカルによるとこの国に魔王一行はいない可能性が高いわけだ。



「そーいや、さっきGoogle mapでその異世界人とやらの大体の場所を探したけど、そこに行くの?」



ヒカルがそう言うとアナリスが答える。



「そうだね、ただ彼らも人間だし、移動してるかもだけど。2日前のことだから大体しか分かんない」



さらにヒカルは言う。



「つーか、魔王の場所もそれで分かるんじゃないの?」



「魔王と魔王の幹部の最初の転生先の見当は大体ついたけど、さっきのあいつのように超速いやつもいるから、あいつらもその場所居座るとは限らない。場所的には」



アナリスは一息ついて



「まず日本。そして中東とアフリカ。あとはこのグリーンランドって場所。ただ魔王の幹部って5人だからもう2人どこかにいる。さっき言ったニューヨークかドイツ、もしくはロシアかモンゴルの国境に人間タイプの幹部が2人」



「な、なるほどな。てか大体の場所がわかるのか。アナリスってすごいのな」



「当たり前じゃん、ヒカル。なにせ賢者って呼ばれていたんだから」



「賢者ねぇ、まぁこの話は置いといて、何はともあれ今からニューヨークに行くんでしょ?それだったら空港まで行くことになるから……まぁいいか。タクシーで行こ、お金は僕が払うよ」



「さっすがー!現地人は違うね」



昨日のタクシーでお金を全て使ったアナリスがそう言う。





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