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ダーザ・オーサムというショタキャラ
ダーザ・オーサムというショタキャラ15
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「嫉妬してんだろ。ご主人様とるかもしれねぇ奴に」
「いや、ないない。熨斗つけてさしあげたいくらいだわ」
間髪置かずに、否定させて頂きます。
ねーわー。
実にねーわぁー。
こんな鬼畜女装野郎のことで嫉妬とか、ないない。
私のポリシーから、契約がある以上は従うけど、解放してくれるんなら速攻で飛び付きますよ? その為なら、代わりの下僕及び人身御供、必死で探すよ?
てか、探してるよ?
「……あだっ! ちょ、髪引っ張らないで! ちぎれる! キューティクル傷む!」
「……黙れ、下僕。てめぇ、がムカつくこというのが悪ぃ」
横 暴 !
「ムカつく発言されたくなかったら、もっと私に優しくしてくださーい! ぎぶみーラブ! 慈しみの心、ぷりーず!」
「あぁん? 十分優しくしてやってんだろーが。俺的には破格の扱いしてんだぞ」
「どこがですか! ならまず、体罰やめて! 女の子に暴力、良くない!」
「てめぇは女じゃねぇ。下僕だ。飼い犬だ。犬の躾は体に教え込むのが一番だろう」
人間であることまで否定するだとか、どんだけ!?
うちひしがれる私に、デイビッドはふんと鼻を鳴らすと、指を突きつけて死刑宣告を放った。
「……取り合えず代わりの下僕見つけてこねぇ限り、てめぇは一生俺の下僕だからな。覚悟しておけよ」
思わず、よよと足元に手をついて項垂れる。
……あぁ、こんな鬼畜なご主人様に虐げられて一生送るなんて、私ってばなんてかわいそう……なんて薄幸の美少女……。
「なんだ、急に黙り込んで。俺に一生仕えられることが、光栄過ぎて言葉もでねぇのか?」
「……悪夢だ。地獄だ。拷問だ」
「……ほぉ。ご主人様にんな生意気な口きくのは、この口か? あぁん?」
「いはひいはひいはひ!」
ちょ、私のぷりちー白ほっぺが、再び悪魔の手に……!!!
痛い、痛い! ちょ、それ以上もう伸びないからぁ! 千切れてしまうからぁ!
「……なんや、音する思うて来てみたら。ルクレア様来てはったんか」
突然開いた側方の扉から、キエラが現れる。部屋着なのか、スウェットを思わせる非常にラフな格好だ。
キエラはちょっと黙り込んで、最初にデイビッドに、続いてほっぺを引っ張られて悶える私に、それぞれ視線を送ってから、人差し指で自らの頬をぽりと掻いた。
「……なんか自分ら、滅茶苦茶仲えぇな」
――その認識は、激しく間違っていると思うっっ!!!!
平日の放課後。間近に迫ったテストに向けて、必死に学習する生徒たちの中で、一人悠々と読書にいそしむ少年がいた。
少年の名は、ダーザ・オーサム。
天才児と声高に誉めさえられる彼には、テスト前の学習など不要であった。テスト前に焦らずとも、普段の学習だけで簡単に上位の成績が取れる。
少年にとってはテストの成績よりも、今夢中になっている恋愛小説の続きの方がよほど大事だった。
果たして、小説のヒーローは、ヒロインに愛を受け入れてもらえるのだろうか。
大人しくて内気な主人公は、どこかあの人にも似た、毒舌で好き嫌いが激しいヒロインに、認めてもらえるのだろうか。
まるで自らの恋の行方を占うかのようなストーリー展開に、鼓動が高鳴り、自然、ページをめくる手が早くなる。
夢中で文字を負う少年に、忍び寄る一つの影。
影は、少年のすぐ隣の席に腰を降ろすと、読書に集中するあまり、影の存在すら気づいていないダーザの耳に口元を寄せた。
「……ダーザ・オーサムくん?」
愉しい時間の邪魔をされたことに不愉快そうに眉を顰めて顔をあげたダーザだが、影の顔をみた瞬間、顔面を蒼白にして、持っていた本を取り落とした。
ひ、と小さい悲鳴が喉の奥から洩れる。
「少し話があるのだけど、付き合ってくれるかしら?」
影こと、デイビッドは、そんなダーザの反応に満足げな笑みを浮かべながら、強引にその手を取った。
……そして、そんな彼らを本棚の片隅でひっそり観察する、私。
いーど。いーど。ナイス、デイビッド!
まずは、二人きりで話をするところから始めなくては。
私は自身の唇を舐めると、にいと笑って一人、拳を握った。
「……ダーザ編特別ミッション【愛と憎しみは紙一重】スタート!」
さぁ。いっちょダーザを、デイビッドに夢中にさせたろーじゃないかい。
「いや、ないない。熨斗つけてさしあげたいくらいだわ」
間髪置かずに、否定させて頂きます。
ねーわー。
実にねーわぁー。
こんな鬼畜女装野郎のことで嫉妬とか、ないない。
私のポリシーから、契約がある以上は従うけど、解放してくれるんなら速攻で飛び付きますよ? その為なら、代わりの下僕及び人身御供、必死で探すよ?
てか、探してるよ?
「……あだっ! ちょ、髪引っ張らないで! ちぎれる! キューティクル傷む!」
「……黙れ、下僕。てめぇ、がムカつくこというのが悪ぃ」
横 暴 !
「ムカつく発言されたくなかったら、もっと私に優しくしてくださーい! ぎぶみーラブ! 慈しみの心、ぷりーず!」
「あぁん? 十分優しくしてやってんだろーが。俺的には破格の扱いしてんだぞ」
「どこがですか! ならまず、体罰やめて! 女の子に暴力、良くない!」
「てめぇは女じゃねぇ。下僕だ。飼い犬だ。犬の躾は体に教え込むのが一番だろう」
人間であることまで否定するだとか、どんだけ!?
うちひしがれる私に、デイビッドはふんと鼻を鳴らすと、指を突きつけて死刑宣告を放った。
「……取り合えず代わりの下僕見つけてこねぇ限り、てめぇは一生俺の下僕だからな。覚悟しておけよ」
思わず、よよと足元に手をついて項垂れる。
……あぁ、こんな鬼畜なご主人様に虐げられて一生送るなんて、私ってばなんてかわいそう……なんて薄幸の美少女……。
「なんだ、急に黙り込んで。俺に一生仕えられることが、光栄過ぎて言葉もでねぇのか?」
「……悪夢だ。地獄だ。拷問だ」
「……ほぉ。ご主人様にんな生意気な口きくのは、この口か? あぁん?」
「いはひいはひいはひ!」
ちょ、私のぷりちー白ほっぺが、再び悪魔の手に……!!!
痛い、痛い! ちょ、それ以上もう伸びないからぁ! 千切れてしまうからぁ!
「……なんや、音する思うて来てみたら。ルクレア様来てはったんか」
突然開いた側方の扉から、キエラが現れる。部屋着なのか、スウェットを思わせる非常にラフな格好だ。
キエラはちょっと黙り込んで、最初にデイビッドに、続いてほっぺを引っ張られて悶える私に、それぞれ視線を送ってから、人差し指で自らの頬をぽりと掻いた。
「……なんか自分ら、滅茶苦茶仲えぇな」
――その認識は、激しく間違っていると思うっっ!!!!
平日の放課後。間近に迫ったテストに向けて、必死に学習する生徒たちの中で、一人悠々と読書にいそしむ少年がいた。
少年の名は、ダーザ・オーサム。
天才児と声高に誉めさえられる彼には、テスト前の学習など不要であった。テスト前に焦らずとも、普段の学習だけで簡単に上位の成績が取れる。
少年にとってはテストの成績よりも、今夢中になっている恋愛小説の続きの方がよほど大事だった。
果たして、小説のヒーローは、ヒロインに愛を受け入れてもらえるのだろうか。
大人しくて内気な主人公は、どこかあの人にも似た、毒舌で好き嫌いが激しいヒロインに、認めてもらえるのだろうか。
まるで自らの恋の行方を占うかのようなストーリー展開に、鼓動が高鳴り、自然、ページをめくる手が早くなる。
夢中で文字を負う少年に、忍び寄る一つの影。
影は、少年のすぐ隣の席に腰を降ろすと、読書に集中するあまり、影の存在すら気づいていないダーザの耳に口元を寄せた。
「……ダーザ・オーサムくん?」
愉しい時間の邪魔をされたことに不愉快そうに眉を顰めて顔をあげたダーザだが、影の顔をみた瞬間、顔面を蒼白にして、持っていた本を取り落とした。
ひ、と小さい悲鳴が喉の奥から洩れる。
「少し話があるのだけど、付き合ってくれるかしら?」
影こと、デイビッドは、そんなダーザの反応に満足げな笑みを浮かべながら、強引にその手を取った。
……そして、そんな彼らを本棚の片隅でひっそり観察する、私。
いーど。いーど。ナイス、デイビッド!
まずは、二人きりで話をするところから始めなくては。
私は自身の唇を舐めると、にいと笑って一人、拳を握った。
「……ダーザ編特別ミッション【愛と憎しみは紙一重】スタート!」
さぁ。いっちょダーザを、デイビッドに夢中にさせたろーじゃないかい。
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