上 下
22 / 191
ルクレア・ボレアという女

逆ハーエンドを目指します3

しおりを挟む
 放課後 いん ざ 空き教室。
 結界魔法を張り、ついでに外から中を覗けないような、それでいてそのことに違和感を感じないような特殊魔法も付与したその教室の床で、私は正座させられていた・

 ……うん、トイレでないだけマシだよね。名前も外見も西洋人っぽいけど、私の中身は日本人だから正座なんか全然平気だしね。ウン、大丈夫。全然ヘイキ。


「――で、てめぇは何で呼び出されたのか分かってんのか? ああ゛?」

 そんな私の前で、大股びらきで机に腰を掛けながら、メンチを切る悪魔様。

 ちょ、美少女顔で、そんなヤンキーも真っ青な巻き舌やめて! てか、足! 美少女がそんな大股びらき、らめぇぇ! 下着が見えちゃうっ!

 ……待てよ。女装している悪魔様が、一体どんな下着を履いているのか、正直なところ興味あんな。まさか女物っちゅーわけであるまい。そうだったら、流石にちょっとドンびく。
 別に悪魔様は超ミニスカというわけではないが、やはりスカートの下にトランクスはリスクが高すぎる気がする……ここはボクサーが無難か……まさかブリーフっちゅーわけではあるまい……。

 てかこの世界の男性もの下着ってどうなってのかなー。女性ものはわりかし普通だけど、男性ものもちゃんと普通なのかしら?
 洗濯物も、メイドさんが見えないところで勝手にやってるから、お父様の下着のデザインも全く分かんないぞ。てか、こう考えると、貴族令嬢にとって男性って完全に未知な生き物になってまうものね。例え前世が喪女だったとはいえ、私は一般的な性知識くらいは備わっているけど、他の子はどうなんかなー。砂糖菓子ちゃんとか、そう言うの全く無知そう。てか、無知であって欲しい。純粋無垢な、庇護よくそそるような小動物美少女って絶対世の男性的に理そ……

「ぶふっ」

「さっさと質問に答えろ、下僕」

 悪魔様のおみ足で思いっきり頭を踏まれてしまいました。そんなに力籠もってないから痛くはないけど、とても屈辱的。私はドМじゃないから感じない。

 ……あぁ、でも悪魔様に頭踏まれているってことは、今頭上げれば悪魔様の下着の中身が見れるっつ―ことでは無かろうが。未知のスカートの中が分かってしまうということではないだろうか。どうしよう、思いきって勢いつけて頭を上げてしまおうか。

『駄目だよ、ルクレア。それじゃ完全に変質者だよ。てか発想がそもそもオッサン臭いよ。本当に女か、あんた』

『いいじゃねぇか。野郎が下着見せたところで何つーこともあるまい。見ちまえ見ちまえ、変態野郎』

 あぁ、私の頭の中の天使と悪魔が言い争っている……てか、天使も悪魔も何だかんだで私を貶しているように聞こえるのは気のせいか。まるで私が痴女みたいではないか。失敬な。
 未知の領域を見たいと思うのは、何も男だけじゃない。女だってそうだ。だから、この欲求は、女として当然と言えば当然の欲きゅ……

「3秒以内に答えなかったら、ペナルティ」

「ごめんなさい、ご主人様! 私さっぱり分かりません!」

 一瞬でパンツに対する知的好奇心が吹きんだ。すぐさま私はその場で土下座して、早口でディビットに謝罪する。
 ……パンツ以上に、見てはいけない物を見てしまったのだ。

 適当に投げ出されたディビットの鞄の口から覗く、図書室から借りたと思われる一冊の古ぼけた本。
 読み取れたその本のタイトルは、『世界の拷問辞典』
 ……ちょっ、悪魔様ペナルティに何やらせる気なんですか!? 恐ろしすぎて、直接聞けないんですがっ!

 ディビットは小さく舌打ちを漏らして、私の頭から足をどかした。
 ……取りあえず、今のところペナルティは発生しないらしい。安堵で私は胸を撫で下ろす。
 悪魔様は大きく溜息を吐くと、鋭い視線で私を睨みつけた。

「……てめぇが言っていた『第二イベント』とやらがいつまで経っても起こらねぇんだが、これはどういうことだ?」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

痩せすぎ貧乳令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます

ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。 そして前世の私は… ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。 とあるお屋敷へ呼ばれて行くと、そこには細い細い風に飛ばされそうなお嬢様がいた。 お嬢様の悩みは…。。。 さぁ、お嬢様。 私のゴッドハンドで世界を変えますよ? ********************** 転生侍女シリーズ第三弾。 『おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』 『醜いと蔑まれている令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』 の続編です。 続編ですが、これだけでも楽しんでいただけます。 前作も読んでいただけるともっと嬉しいです!

だってお義姉様が

砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。 ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると…… 他サイトでも掲載中。

悪役令嬢が死んだ後

ぐう
恋愛
王立学園で殺人事件が起きた。 被害者は公爵令嬢 加害者は男爵令嬢 男爵令嬢は王立学園で多くの高位貴族令息を侍らせていたと言う。 公爵令嬢は婚約者の第二王子に常に邪険にされていた。 殺害理由はなんなのか? 視察に訪れていた第一王子の目の前で事件は起きた。第一王子が事件を調査する目的は? *一話に流血・残虐な表現が有ります。話はわかる様になっていますのでお嫌いな方は二話からお読み下さい。

家庭の事情で歪んだ悪役令嬢に転生しましたが、溺愛されすぎて歪むはずがありません。

木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるエルミナ・サディードは、両親や兄弟から虐げられて育ってきた。 その結果、彼女の性格は最悪なものとなり、主人公であるメリーナを虐め抜くような悪役令嬢となったのである。 そんなエルミナに生まれ変わった私は困惑していた。 なぜなら、ゲームの中で明かされた彼女の過去とは異なり、両親も兄弟も私のことを溺愛していたからである。 私は、確かに彼女と同じ姿をしていた。 しかも、人生の中で出会う人々もゲームの中と同じだ。 それなのに、私の扱いだけはまったく違う。 どうやら、私が転生したこの世界は、ゲームと少しだけずれているようだ。 当然のことながら、そんな環境で歪むはずはなく、私はただの公爵令嬢として育つのだった。

転生悪役令嬢は冒険者になればいいと気が付いた

よーこ
恋愛
物心ついた頃から前世の記憶持ちの悪役令嬢ベルティーア。 国の第一王子との婚約式の時、ここが乙女ゲームの世界だと気が付いた。 自分はメイン攻略対象にくっつく悪役令嬢キャラだった。 はい、詰んだ。 将来は貴族籍を剥奪されて国外追放決定です。 よし、だったら魔法があるこのファンタジーな世界を満喫しよう。 国外に追放されたら冒険者になって生きるぞヒャッホー!

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

【完結】攻略を諦めたら騎士様に溺愛されました。悪役でも幸せになれますか?

うり北 うりこ
恋愛
メイリーンは、大好きな乙女ゲームに転生をした。しかも、ヒロインだ。これは、推しの王子様との恋愛も夢じゃない! そう意気込んで学園に入学してみれば、王子様は悪役令嬢のローズリンゼットに夢中。しかも、悪役令嬢はおかめのお面をつけている。 これは、巷で流行りの悪役令嬢が主人公、ヒロインが悪役展開なのでは? 命一番なので、攻略を諦めたら騎士様の溺愛が待っていた。

どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~

涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!

処理中です...