336 / 336
選択の先2【完】
しおりを挟む
『選択肢やハートを見えなくする上に、ゲームの展開をヒントも含めて絶対に教えないようにしてって……怖くないの?』
マリアさんは困惑しながら、そう言って目を伏せた。
『私は怖いわ……。もう、陛下のイベントはすっかり乗っ取ってしまった。後はもう、出産イベントくらい。その先に何が待ち受けているか、陛下が心変わりしないかとても怖いの』
マリアさんの気持ちも、わからなくはない。下手に知識があるから、よけいその先の未知を怖いと思うのだろう。
でも、未来がわからないなんて、当たり前と言えば当たり前のこと。
この世界は誰かが攻略しつくしたゲームなんかじゃなく、それぞれの無数の選択から成り立っている現実の世界なんだから。
「--楽しみだな。どんな未来が待ち受けているか」
まだまだ私の牧場人生ははじまったばかり。
コカトリスの飼育数はもっと増やしたいし、他の危険な鳥類も飼ってみたい。
王様命令でタープナは育てなければならないし、どうせならハルクから色々教えてもらって、たくさんの植物も育ててみよう。
ラドだって、今以上に良い子に育てなければならないし、やることは山積みだ。
先はわからない。結果は全て、私の行動次第。だからこそ、やりがいがあって楽しい。
「その未来には、私が隣にいますか?」
セルドアの問いかけに、明後日の方向をむく。
セルドアはもちろん、ルートさんにもパックさんにも、ハルクにもラドにも、ドキッとしたり一緒にいて楽しいと思う気持ちはあるのだけど……マリアさんにも言った通り誰かを選ぶとかいう段階ではないんだよね。
「……まあ、全ては未来の私次第ということで」
セルドアにはライバルキャラはいないらしいけど、他の人には恋敵いるらしいし。
未来の先に誰かを好きになるのか。仮に好きになったとしても、その人が私を好きになってくれるかわからないけど、それはそれで。
ゲームの設定に縛られずに、私だけの物語を作っていこう。
その先に、私だけのハッピーエンドがあると信じて。
「さあ、セルドア。ドラゴン舎まで、ラドを迎えに行こう?」
加藤梨花改め、リッカ・カートの人生は、まだまだはじまったばかりなのだから。
マリアさんは困惑しながら、そう言って目を伏せた。
『私は怖いわ……。もう、陛下のイベントはすっかり乗っ取ってしまった。後はもう、出産イベントくらい。その先に何が待ち受けているか、陛下が心変わりしないかとても怖いの』
マリアさんの気持ちも、わからなくはない。下手に知識があるから、よけいその先の未知を怖いと思うのだろう。
でも、未来がわからないなんて、当たり前と言えば当たり前のこと。
この世界は誰かが攻略しつくしたゲームなんかじゃなく、それぞれの無数の選択から成り立っている現実の世界なんだから。
「--楽しみだな。どんな未来が待ち受けているか」
まだまだ私の牧場人生ははじまったばかり。
コカトリスの飼育数はもっと増やしたいし、他の危険な鳥類も飼ってみたい。
王様命令でタープナは育てなければならないし、どうせならハルクから色々教えてもらって、たくさんの植物も育ててみよう。
ラドだって、今以上に良い子に育てなければならないし、やることは山積みだ。
先はわからない。結果は全て、私の行動次第。だからこそ、やりがいがあって楽しい。
「その未来には、私が隣にいますか?」
セルドアの問いかけに、明後日の方向をむく。
セルドアはもちろん、ルートさんにもパックさんにも、ハルクにもラドにも、ドキッとしたり一緒にいて楽しいと思う気持ちはあるのだけど……マリアさんにも言った通り誰かを選ぶとかいう段階ではないんだよね。
「……まあ、全ては未来の私次第ということで」
セルドアにはライバルキャラはいないらしいけど、他の人には恋敵いるらしいし。
未来の先に誰かを好きになるのか。仮に好きになったとしても、その人が私を好きになってくれるかわからないけど、それはそれで。
ゲームの設定に縛られずに、私だけの物語を作っていこう。
その先に、私だけのハッピーエンドがあると信じて。
「さあ、セルドア。ドラゴン舎まで、ラドを迎えに行こう?」
加藤梨花改め、リッカ・カートの人生は、まだまだはじまったばかりなのだから。
14
お気に入りに追加
2,464
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(114件)
あなたにおすすめの小説
家庭の事情で歪んだ悪役令嬢に転生しましたが、溺愛されすぎて歪むはずがありません。
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるエルミナ・サディードは、両親や兄弟から虐げられて育ってきた。
その結果、彼女の性格は最悪なものとなり、主人公であるメリーナを虐め抜くような悪役令嬢となったのである。
そんなエルミナに生まれ変わった私は困惑していた。
なぜなら、ゲームの中で明かされた彼女の過去とは異なり、両親も兄弟も私のことを溺愛していたからである。
私は、確かに彼女と同じ姿をしていた。
しかも、人生の中で出会う人々もゲームの中と同じだ。
それなのに、私の扱いだけはまったく違う。
どうやら、私が転生したこの世界は、ゲームと少しだけずれているようだ。
当然のことながら、そんな環境で歪むはずはなく、私はただの公爵令嬢として育つのだった。
至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます
下菊みこと
恋愛
至って普通の女子高生でありながら事故に巻き込まれ(というか自分から首を突っ込み)転生した天宮めぐ。転生した先はよく知った大好きな恋愛小説の世界。でも主人公ではなくほぼ登場しない脇役姫に転生してしまった。姉姫は優しくて朗らかで誰からも愛されて、両親である国王、王妃に愛され貴公子達からもモテモテ。一方自分は妾の子で陰鬱で誰からも愛されておらず王位継承権もあってないに等しいお姫様になる予定。こんな待遇満足できるか!羨ましさこそあれど恨みはない姉姫さまを守りつつ、目指せ隣国の王太子ルート!小説家になろう様でも「主人公気質なわけでもなく恋愛フラグもなければ死亡フラグに満ち溢れているわけでもない至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます」というタイトルで掲載しています。
【完結】転生したら脳筋一家の令嬢でしたが、インテリ公爵令息と結ばれたので万事OKです。
櫻野くるみ
恋愛
ある日前世の記憶が戻ったら、この世界が乙女ゲームの舞台だと思い至った侯爵令嬢のルイーザ。
兄のテオドールが攻略対象になっていたことを思い出すと共に、大変なことに気付いてしまった。
ゲーム内でテオドールは「脳筋枠」キャラであり、家族もまとめて「脳筋一家」だったのである。
私も脳筋ってこと!?
それはイヤ!!
前世でリケジョだったルイーザが、脳筋令嬢からの脱却を目指し奮闘したら、推しの攻略対象のインテリ公爵令息と恋に落ちたお話です。
ゆるく軽いラブコメ目指しています。
最終話が長くなってしまいましたが、完結しました。
小説家になろう様でも投稿を始めました。少し修正したところがあります。
深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~
白金ひよこ
恋愛
熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!
しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!
物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?
転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?
rita
恋愛
田舎に住むごく普通のアラサー社畜の私は車で帰宅中に、
飛び出してきた猫かたぬきを避けようとしてトラックにぶつかりお陀仏したらしく、
気付くと、最近ハマっていた乙女ゲームの世界の『主人公の友達』に転生していたんだけど、
まぁ、友達でも二次元女子高生になれたし、
推しキャラやイケメンキャラやイケオジも見れるし!楽しく過ごそう!と、
思ってたらなぜか主人公を押し退け、
攻略対象キャラや攻略不可キャラからも、モテまくる事態に・・・・
ちょ、え、これどうしたらいいの!!!嬉しいけど!!!
【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です
hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。
夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。
自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。
すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。
訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。
円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・
しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・
はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?
悪役令嬢に転生したので落ちこぼれ攻略キャラを育てるつもりが逆に攻略されているのかもしれない
亜瑠真白
恋愛
推しキャラを幸せにしたい転生令嬢×裏アリ優等生攻略キャラ
社畜OLが転生した先は乙女ゲームの悪役令嬢エマ・リーステンだった。ゲーム内の推し攻略キャラ・ルイスと対面を果たしたエマは決心した。「他の攻略キャラを出し抜いて、ルイスを主人公とくっつけてやる!」と。優等生キャラのルイスや、エマの許嫁だった俺様系攻略キャラのジキウスは、ゲームのシナリオと少し様子が違うよう。
エマは無事にルイスと主人公をカップルにすることが出来るのか。それとも……
「エマ、可愛い」
いたずらっぽく笑うルイス。そんな顔、私は知らない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
なんというか、言葉の大切さを改めて感じさせられた作品でした。
世の中には以心伝心なんて言葉にしなくても通じ合える関係性を持つ方もいるけど、せっかく同じ言語で会話というコミュニケーション方法をがあるのだから、言わなくても伝わるよね、なんていうのは甘えだなぁと反省しました。
血の繋がった家族で長年生活を共にしていても相手の気持ちを汲み取れないこともあるし、かといって、付き合いが浅くても通じ合えるからといって家族との関係が稀薄な訳でもなく。
思いは相手に伝わらなければとんでもない誤解をされているかもしれないし、それどころか何も思っていないのと同じだなぁと改めて。
個人的には所々で出てくる飯テロに物凄くやられました笑
素敵な作品を読ませていただきました。
ありがとうございました(*´˘`*)♡
完結おめでとうございます。
牧場経営はこれからだと思っていたので、リッカの勇姿が見れなくなって、それは少し残念です。
多数のコカトリス相手に無双するリッカの姿を見たかった・・・。
そしてそれを見て呆然とする家族の姿を見たかった・・・!
感想ありがとうございます!返信遅くなって申し訳ありません。
コカトリス無双、父さんは知ってそうですが、お母さんとお姉さんは唖然としそうです笑
最後までお付き合いありがとうございました!
前世の、今世の家族にいつでも愛情いっぱいで、周りの人に真っ直ぐに優しさを無意識でとどけちゃうリッカちゃんが、とても好きでした。完結して寂しくなりました。またよろしければ各キャラとの番外編などぜひよろしくお願いします!
感想ありがとうございます! 返信遅くなって申し訳ありません。
リッカのこと好きになっていただけて嬉しいです。
余裕ができたら、番外編も考えてみますね。
最後までお付き合いありがとうございました!