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選択の時1

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「はい。陛下がようやく時間の都合がつけられたとかで。……おそらくは、先日のドラゴンの件についてお話されたいのではないかと」

 ……つまりは、お説教か。
 やだなー。怖いなー。とため息を吐く私を、罪悪感ありありな目で見上げるラドさん。
 大丈夫。怒っちゃないよ。過ぎたことだ。気にするない。
 そんな思いをこめてラドの頭を撫でてやる。

「衣装や化粧の準備は、先日同様私が致します。ただ……」

「ただ?」

 セルドアは苦々しげに唇を噛んで少し黙り込んでから、言葉を続けた。

「……ただ、面会の場に私は同行できません。陛下は、貴女に二人きりで会いたいとのことで」

 え、なにそれ怖い。
 てか、私みたいなパンピーが、王様との二人きりで面会とか許されるものなの?

「そんな怯えなくても大丈夫ですよ。陛下は守銭奴で気難しくて、王妃以外の方には笑顔一つ見せない扱いにくいこの上ない方ですが、理不尽に臣下や民を罰したりするようなお方ではないですから。……正当な理由があれば、また別でしょうが」

「それ、何のフォローにもなってないよ。セルドア」

 正当な処罰の理由なら、ある。
 国家機密のドラゴンの存在が、私のせいで不特定多数の人間に知られてしまった。

 ぶわりと、生温い汗が全身から噴き出す。

 これ、やばくない? ピンチでない?

 た、確か王様って、私と同じ転生者仲間(っぽい)よね?
 転生者仲間特典で、寛大な心で許してくれないかしらん?

「……心配しないでください。リッカ」

 セルドアは穏やかな笑みを浮かべて、私の肩を叩いた。

「万が一リッカが捕縛されるようなことがあれば、たとえ反逆者になってでも、必ず私が貴女を救いだしますから」

「僕も! 僕もだよ、リッカ! お城壊してでも、絶対リッカ救いだすよ!」

 いや、なんも安心できない。
 私、反逆者にも逃亡者にもなりたくないし。
 そうなったら、最悪家族にも迷惑かかるし。
  


 気分一つで、物理的に私の首だって飛ばせられるような偉い方(しかも気難しいらしい)と、二人きりでお説教なんて冗談じゃない。
 けれど、パンピーに過ぎない私には当然拒否権なんかなく。

「--お前が、リッカか」

 不安に苛まれたままに、とうとうその時間がやってきてしまった。
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