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セルドアイベント?20

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「……それでも、まんまドラゴンの姿よりは良いでしょ」

 小さく苦笑いをして、姉さんにずいとシフォンケーキの皿を押しやる。

「それより、まあ、まずはケーキでも食べてリラックスしてよ。朝ご飯まだでしょ」

 昨日のあの後、通信機で「明日セルドアが転移魔法で迎えに行くから、とりあえず話は明日まで待って欲しい」と伝えた結果、一刻も早く私を連れ帰ろうと逸る姉さんとの折中案として朝一で集まることになった。そんなわけで、今日の朝ご飯ゲストはルートさんではなく、セルドアと姉さんたちだ。
 いつものルーティンができなくなることに(というかラドに会えないことに)ルートさんは難色を示すかと思ったけど、存外あっさり受け入れてくれた。
 ……いつもは残念な人なのに、「家族と話し合うのか。……応援している」といつにない大人の笑みを浮かべて頭を撫でるルートさんの姿に、ドキドキしたのは、ここだけの話だ。
 勘違いしちゃいけない。ルートさんは見かけは武人!って感じの筋肉男前だけど、中身はドラゴン狂の変態だ。大丈夫、ちゃんとわかってる。うっかりときめいたりしてない……してないよ、うん。多分。

 未だ固い表情のままの姉さんだったけど、促されるままに一口ケーキを口に運び、目を開いた。

「……美味しい。これアカネルの実が入っているのね。しかも、干したものではなく、生の」

「うん。姉さんの好物だからさ」

「でも、今の季節じゃ簡単に手には入るものじゃないでしょ。一体どうやって用意したの?」

「ちょっとした伝手があってさ」

 ……ありがとう、ハルク!
 ハルクが魔術式ビニールハウスで一年中アカネルを栽培してくれてるおかげで、姉さんの態度が少し軟化したよ! 
 すんげえ恩着せがましかったけど、ちゃんと後でハルクにも同じケーキをもう一つ焼いて食べさせたげるからチャラにしてね!

「懐かしいわ。このケーキ。……昔、私がコカトリスに襲われて怪我をした時も、リッカは同じケーキを焼いてくれたわよね」
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