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セルドアイベント?19
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「ラドー。それじゃあ、このお茶、お客さんに出してきて」
お茶が載ったお盆を差しだすと、ラドはしょぼんとした表情で俯いた。
「……僕が行っても、大丈夫なの? リッカのお姉さんたち、僕のことを警戒して来ているんでしょう」
一瞬どう誤魔化すべきか迷ったけれど、ここはやっぱりちゃんと言った方が良いかな。
小さく笑って、ラドの頭を撫でる。
「だからこそ、だよ。今のラドなら、すぐにはドラゴンだってわからないでしょ? 今のうちに、良い子なところたっぷりアピールしとけば、真実を知った時に『あれ? ドラゴンって実は無害なのかも??』ってなるでしょ」
そう簡単にはいかないだろうけど、少しでも家族の皆の警戒心は削いでおきたい。
ラドと離れるという選択肢は、私には端からないのだから。
「……わかった! 僕、リッカの家族に気に入ってもらえるように頑張るね」
ぐっと拳を握ってお茶を運ぶラドの背中をみながら、冷ましておいたシフォンケーキを取り出して、6等分に切り分けた。
搾った生クリームとともに盛り付けて、リビングの方へ持っていくと、固い表情のままお茶も手を付けないでいる姉さんたちをよそに、セルドアが優雅にお茶を啜っていた。
「お茶請けはケーキですか。リッカのお菓子はどれも大変美味しいからうれしいです。お母様が作り方を教えられたのですか?」
「……ええ、まあ。いくつかは。でも、お菓子に関しては私よりもむしろセレーヌの方が……」
母さんの目が、ちらりと姉さんに向けられたけど姉さんは何の反応も示さない。
姉さんの視線は、どこか居たたまれない様子で縮こまるラドにまっすぐ向けられていた。
「……その子が、ドラゴンなのね。リッカ」
姉さんの言葉に、父さんと母さんがぎょっと目を剥いた。
「ハミルから聞いたわ。ドラゴンは人の姿になることができるって。……幼い子どもの姿を見せれば、私が安心すると思った? 私は新聞でその子の本当の姿を知ってるわ。どんな姿をしてようが、ドラゴンが危険な生き物であることには変わりないわ」
……まあ、そう簡単にはいかないよね。やっぱり。
お茶が載ったお盆を差しだすと、ラドはしょぼんとした表情で俯いた。
「……僕が行っても、大丈夫なの? リッカのお姉さんたち、僕のことを警戒して来ているんでしょう」
一瞬どう誤魔化すべきか迷ったけれど、ここはやっぱりちゃんと言った方が良いかな。
小さく笑って、ラドの頭を撫でる。
「だからこそ、だよ。今のラドなら、すぐにはドラゴンだってわからないでしょ? 今のうちに、良い子なところたっぷりアピールしとけば、真実を知った時に『あれ? ドラゴンって実は無害なのかも??』ってなるでしょ」
そう簡単にはいかないだろうけど、少しでも家族の皆の警戒心は削いでおきたい。
ラドと離れるという選択肢は、私には端からないのだから。
「……わかった! 僕、リッカの家族に気に入ってもらえるように頑張るね」
ぐっと拳を握ってお茶を運ぶラドの背中をみながら、冷ましておいたシフォンケーキを取り出して、6等分に切り分けた。
搾った生クリームとともに盛り付けて、リビングの方へ持っていくと、固い表情のままお茶も手を付けないでいる姉さんたちをよそに、セルドアが優雅にお茶を啜っていた。
「お茶請けはケーキですか。リッカのお菓子はどれも大変美味しいからうれしいです。お母様が作り方を教えられたのですか?」
「……ええ、まあ。いくつかは。でも、お菓子に関しては私よりもむしろセレーヌの方が……」
母さんの目が、ちらりと姉さんに向けられたけど姉さんは何の反応も示さない。
姉さんの視線は、どこか居たたまれない様子で縮こまるラドにまっすぐ向けられていた。
「……その子が、ドラゴンなのね。リッカ」
姉さんの言葉に、父さんと母さんがぎょっと目を剥いた。
「ハミルから聞いたわ。ドラゴンは人の姿になることができるって。……幼い子どもの姿を見せれば、私が安心すると思った? 私は新聞でその子の本当の姿を知ってるわ。どんな姿をしてようが、ドラゴンが危険な生き物であることには変わりないわ」
……まあ、そう簡単にはいかないよね。やっぱり。
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