転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました

セルドアイベント？8

｢セルドア！　大丈夫なの！？　姉さんたち、亜空間に取り残されてない！？｣

｢私を誰だと思ってるんです。リッカ。仮にも、魔術師長の位をもらってる男ですよ。そんな魔術初心者がしでかすようなミス、するわけないじゃないですか｣

｢だ、だってセルドアが自分で、触れてなければ転移魔法がうまくいかないって……｣

　セルドアがそう言ってたからこそ、私は毎回セルドアに抱き着いて転移してたのに。
　私の言葉にセルドアは一瞬｢しまった｣という表情を浮かべて、すぐににっこり笑った。

｢……ああ、あれはあくまで、二人一緒に転移魔法で移動する場合だけですよ。ええ。別に私が移動しないなら、問題はないんです｣

｢……これ以上嘘ついたら、セルドアのこと嫌いになるかもよ｣

｢－－すみません。出会った時の貴女があまりにも生意気だったので、からかいました｣

　だ　ま　さ　れ　て　た！

　うわー、最近では当たり前みたいに自分からセルドアに抱き着きに行ってたのに！
　あれが完全に無意味なものだったら、私、ただの痛い人じゃん！　恥ずかしい！

｢……ああ、でも、接触面積が多い方が転移魔法が行使しやすいのは本当ですよ。私ほどの魔術師ならともかく、魔法があまり得意ではない魔術師と一緒に転移する場合は絶対にくっついていた方が安全です。下手したら本当に、亜空間に放り出されますから｣

｢……でも、セルドアなら必要ないんでしょ｣

｢絶対に失敗しない自信はありますが、それでも100パーセント成功するとはいいきれないのが魔法です。0.00001％でも危険があるなら、少しでも安全な方法をとるべきだと私は思いますね。だから、リッカ。これからも転移の際は、今まで通りでお願いします。大事な貴女に万が一、億が一なことがあってはいけませんから｣