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ラドイベント17
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「……ぼくがおとなだったら、ほのおもせいぎょできたっていわれた」
「……うん」
「ぼくがおとなだったら、もやしたいものだけ、かげんしてもやせたって……ひが、もえうつっても、すぐにけせたって……できないのは、ぼくがこどものあかしだって……」
そこで、ラドはようやく涙と鼻水でぐちゃぐちゃに濡れた顔を上げた。
「いっしょにそらをとんで、りっかに、かっこいいとこ、みせたかったんだ……いっしょに、そらをでーとして、ぼくはもうおとなだって……りっかのつがいにふさわしいっておもってほしくて………それなのに」
「…………」
「……それなのに、ぼくのせいで、りっかをきずつけた……しなせるところだった」
しゃくり上げながら、ラドは私に頭を下げた。
「……ごめん、なさい、りっか……ごめんなさい……こどもで、ごめんなさい……」
すすり泣くラドの姿に、胸が痛んだ。
……子どもでごめんなさいなんて、ラドに言わせたくなかったな。
「……自分が子どもだって気づけただけで、ラドは一歩大人に近づいたんだと思うよ」
その場に膝をついて、泣くラドの体を抱き締めて、その頭を撫でる。
「確かにラドは未熟な子どもだったかも知れないけど……それなら、ラドを止められずに暴走させて、考えなしに危ない行動をとった私だって未熟で、ラドの育て手失格だ」
心底心配掛けた皆の姿をみたら、自分がどれだけ馬鹿なことをしたか改めて実感した。
確かに私は加藤梨花としての記憶があるし、その分死に対する恐怖心が薄いのだけど……それでも、リッカ・カートとしての人生は一度だけだし、死んでしまえばリッカとしてやり直すことはできない。……大切な人達とも、もう二度と会えなくなる。
置いていく苦しさは知っているはずなのに、あの瞬間そのことがすっかり頭から抜けていた私は、本当に馬鹿だ。
「……うん」
「ぼくがおとなだったら、もやしたいものだけ、かげんしてもやせたって……ひが、もえうつっても、すぐにけせたって……できないのは、ぼくがこどものあかしだって……」
そこで、ラドはようやく涙と鼻水でぐちゃぐちゃに濡れた顔を上げた。
「いっしょにそらをとんで、りっかに、かっこいいとこ、みせたかったんだ……いっしょに、そらをでーとして、ぼくはもうおとなだって……りっかのつがいにふさわしいっておもってほしくて………それなのに」
「…………」
「……それなのに、ぼくのせいで、りっかをきずつけた……しなせるところだった」
しゃくり上げながら、ラドは私に頭を下げた。
「……ごめん、なさい、りっか……ごめんなさい……こどもで、ごめんなさい……」
すすり泣くラドの姿に、胸が痛んだ。
……子どもでごめんなさいなんて、ラドに言わせたくなかったな。
「……自分が子どもだって気づけただけで、ラドは一歩大人に近づいたんだと思うよ」
その場に膝をついて、泣くラドの体を抱き締めて、その頭を撫でる。
「確かにラドは未熟な子どもだったかも知れないけど……それなら、ラドを止められずに暴走させて、考えなしに危ない行動をとった私だって未熟で、ラドの育て手失格だ」
心底心配掛けた皆の姿をみたら、自分がどれだけ馬鹿なことをしたか改めて実感した。
確かに私は加藤梨花としての記憶があるし、その分死に対する恐怖心が薄いのだけど……それでも、リッカ・カートとしての人生は一度だけだし、死んでしまえばリッカとしてやり直すことはできない。……大切な人達とも、もう二度と会えなくなる。
置いていく苦しさは知っているはずなのに、あの瞬間そのことがすっかり頭から抜けていた私は、本当に馬鹿だ。
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