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ラドイベント16

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 パックさんに教えてもらった場所に行くと、人型に戻ったラドが部屋の隅で入り口から背を向けるようにして、うずくまっていた。

「ラード」

 その背中に声をかけるも、沈黙が返ってくるばかりで反応はない。
 気にせずにそのままラドの方に近づいて、敢えて明るい調子で話しかける。

「お父さんとお母さんに、たっぷり搾られたんだって? 二体とも怒るとすごい迫力だろうから、さぞ怖かったでしょう」 

「…………」

「私も、パックさんとルートさん、それにハルクからもさんざん怒られたよ。今はただ泣くばっかりだったけど、明日あたりセルドアからもまた怒られるんじゃないかな。……今日は、家に帰ったら二人で反省会だね」

「…………」 

「……なに、ラド。もしかして、怒られて拗ねてるの?」 

「……ちがう」

 お、やっと反応した。
 その勢いで、そのままラドの顔を覗き込もうとしたけど、ラドは膝に顔を埋めて表情を見せてはくれなかった。

「……りっかは……」

「うん?」

「……りっかは……ぼくを、おこらないの……?」

 消え入りそうな声で告げられた問いかけに、思わず苦笑いが漏れた。

「怒らないよ。私が怒らなくてももう、ラドはいっぱい怒られたんでしょう?」

「…………」

「それとも、なに? ラドは私に怒られたいの?」 

「……おこられたほうが、いい……」

 ……おや、予想外の答えだ。
 
 蚊の鳴くような声でそう告げると、ラドはしゃくり上げた。

「……しんでたかもしれない、って……」

「うん?」

「りっかが……ぼくのせいで、しんでたかもしれないって……」

「……あー、そうだね。でも、それは私が考えなしだったせいもあるし……」

 ……一概にラドだけを責められないから、その罪悪感からよけいにラドのことを叱りにくいんだよなあ。本人が叱られること望んでても。

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